日和-11 冒険日和

━━━━━━━━みらい視点

「えーっと、砂の城はどうやってつくるんだっけ。沙弥さや、わかる?」

「すみません、私も完成形しかみたことないです・・・とりあえず、砂を山のようにしてみませんか?」

「そうだね、とりあえず砂を盛り上げてみてそこから形を整えていってみようか」

みんな作り方はわからないんだ・・・完成するのかな?

沙侑さゆ、砂をたくさん集めてきて」

「うん」

沙侑ちゃん1人ってなんだか心配だな・・・私も一緒にやろうかな。作り方とか知らないし、材料集めくらいはやらなきゃ。

「あ、あのっ、私も砂を集めてきます!」

「お、ありがとう。ついでに、沙侑ちゃんも見てあげていて」

「わかりました」


「あっ、えっと、さ、沙侑ちゃん、一緒に砂集めよう」

「ん・・・」

えーっと、ただ適当に砂を集めるって言っても砂を盛り上げるわけだから、バケツがあったほうがいいよね。

「えっと、まず、バケツ取りに行こう」

「うん」


バケツをもらいに泊まる所に一旦戻ってきた。

「パパー、バケツない?」

あれ、いないのかな?

「みらいお姉ちゃん、この部屋にいる人探してる?」

あ、いた。

「ありがとう」


「パパー?」

「ん?おぉ、みらいか。すまんな。仕事に集中していて気が付かなかったよ。それで、どうしたんだい?」

「バケツってここにある?」

「あぁ、外の物置にあるよ。たくさんあるから、適当に持って行っていいよ」

「ありがとう」


 砂浜に戻ってきた。

「みらいお姉ちゃん、どのくらい集めたらいい?」

「うーん・・・」

私自身、砂の城というものを今さっき初めて見たから、どのくらいの量が必要なのかが分からない・・・

「とりあえず、このバケツ10杯分くらい集めよう。重たかったら私が持つから」

私自身も全然力はないけど。

「わかった」



30分くらい経ったかな。何とか2人でバケツ10杯分の砂を集めた。

綾乃あやの先輩、集めてきました!」

「ありがとう!そこに置いといて」

「はい。では、次の分を持ってきますね」

「あ、何杯か集めてくれたんだ」

「あの、誰か運ぶのを手伝ってください」

「いいよ、沙弥ちゃん、どのあたりに盛るか位置の目印的なものを作っておいて」

「わかりました」



「え、こんなに集めてくれたの!?」

「はい、どのくらい必要か分からなかったので、2人でバケツ10杯分集めました」

「これは確かに人手が必要だね」


「おーい、綾乃ー」

あ、日和ひより先輩だ。あれ、陽香はるかさんがおぶられてる。

「どうしたの、って、何があったの!?」

「あぁ、陽香が足つちゃったみたいで、どこか日よけ傘的なあれ刺してないかなって」

「あ、あのよく砂浜に行くと見かけるやつね、ないけど、どうしよ」

「大丈夫なのです!はるちゃん、足をつってしまっただけなので、ここで大丈夫なのです!」

「そう?ならいいけど。そういや綾乃たちは何をやってるの?」

「あぁ、砂の城を作ろうって今、砂をみらいちゃんと沙侑ちゃんに集めてもらったから、それを運ぼうとしていたところだよ。あ、日和、手伝って」

「OK」


日和先輩にも手伝ってもらって何とか10杯分1か所にまとめることができた。私たちが砂を集めていたのは、道路のすぐ近くだったから、砂集めの場所を考えておけばよかった。

「すみません、私が確認も取らないで適当にバケツ10杯分なんて判断をしてしまったばっかりに・・・」

「いいよいいよ、少なくなってまた集めるほうが面倒だろうし」

「それじゃあ、砂の城作り始めるのです!」

えっと、砂を盛り上げたらよかったよね。

「そういや、砂の城ってどうやって作るの?」

あ、日和先輩も知らないのか。これ、さっきみた写真みたいにできるのかな。

「今調べてみましたが、霧吹きとかがあったほうが作りやすいらしいですよ」

沙弥さん、調べるの速い。


「じゃあ、私が取ってくるよ」

「綾乃先輩、私が取ってきますよ」

「いいよ、みらいちゃんは砂集め頑張ってくれたし、休憩がてらここにいて」

「おーい、みらいー」

あ、日和先輩が呼んでる。

「分かりました。綾乃先輩、お願いします」



 綾乃先輩が霧吹きを持ってきてくれて、皆でちょっとずつ砂を固めながら砂の城が完成に近づいてきた。


「よしっ、こんなものかな」

日和先輩が仕上げをしてくれて、砂の城は完成した。

「おぉー、やっと完成したのです!」


「おーい、みんな、そろそろお昼にしよう」

あ、パパが来た。

「はーい」




 昼食後。

「冒険に行くのです!」

 冒険って、この島に冒険するようなところはなさそうだけど。あっ、探検みたいな感覚で言ったのかな、陽香は。

「行くのはいいけど、どのあたりに行くの?」

「ホテルの裏にある小さな山とかいいんじゃない?」

「あの、私も行きたいのですが、山だと、沙侑が少し心配で・・・」

「あー・・・、たしかに」

「あのっ、わっ、私が沙侑ちゃんと一緒にいますっ。私、この島のことはだいたい知っていますし」

うーん、たしかにちょっと心配だけど、沙侑は行きたかったりしないのかな?

「お姉ちゃん、眠い・・・」

 あー、これはホテルにいたほうがいいな。

「あの、沙侑は1回寝たら起こすのが大変なくらい寝入ってしまいますので、一緒にいてくれたほうが安心ではありますが、沙侑が寝てから行く、というのでも」

「いえいえ、大丈夫ですよ、パパも仕事をしているだろうし、誰書いたほうがいいじゃないですか」

「そうですか、なら、沙侑をお願いします」

「はいっ」



 ということで、みらいと沙侑以外のメンバーでホテル裏の小さな山を散歩、おっと、冒険しているわけだけど、沙侑とみらいもなにか楽しめる事ないかな。

「あの、はるちゃん、ここで肝試ししてみない?」

「おぉ!おもしろそうなのです!」

「単に肝試しするだけじゃなく、少し手を加えておばけ屋敷みたいに驚かすものも追加してみない?」

「でも、それじゃ沙侑ちゃんはどうするの?暗くなってからって余計に怖くない?」

「それは夕方あたりに始めて、沙侑には私達の誰かがついていくとか」

「まぁ、それなら大丈夫・・・なのかな?どう?沙弥?」

「誰かと一緒なら大丈夫だた思います。それに、今私達が特に何も考えずに散歩しているので、お化け屋敷のように驚かすものを考えながら散歩したほうがこの時間ももっと楽しくなりそうですし」

「あ、でも、そもそもやっていいのかな?」

「まぁ大丈夫じゃない?一応確認とってみようか」


『もしもし、みらい』

『あ、日和先輩、どうかしましたか?』

『みらいのお父さんいるよね?』

『はい、いますよ。変わりましょうか?』

『お願い』

『わかりました』


『どうしたんだい、日和君』

『仕事中にすみません』

『気にしなくていいよ』

『今、みらいが沙侑を見てくれていると思うんですけど、夕方あたりになったら、みらいと沙侑を呼んで肝試しをやりたいんですけど』

『おぉ、楽しそうじゃないか』

『沙侑はいいんですけど、みらいはこの島のことはだいたい分かっているみたいで』

『あぁ、みらいは中学生の頃の夏休みは毎年ここに来ていたからね』

『それで、お化け屋敷のような驚かすようなものを作りたいんですけど、ホテルの裏の山でやってもいいですか?』

『問題ないよ、ただ、山火事だけには注意してね』

『わかりました、ありがとうございます!』

山火事って、別に火は使わないから問題ないんだけどね。


「で、どうだった?」

「山火事を起こさなければいいよ、だって」

「一体どんな聞き方をしたのよ・・・」

 普通に聞いただけで、しかも使う気もまかったし、火の話とかしてないんだけどなぁ。

「問題ないのでしたら、次は内容をどうするかですね」

「はるちゃんに考えがあるのです!」


 陽香曰く、みらいと沙侑が参加者プレイヤーで、私達はスタッフというこちにして、道の途中で私達が立って、私達から何かしらのアイテムを貰い、最後に立っている人にアイテムを貰えばクリアというのはどうか、とのことだ。

「うん、いいんじゃない」

「その【何か】を決めないといけませんね」

「それは、今山に居ますし、散歩の途中で見つけたものはどうでしょう?」

「それいいね!」

 知らない間に冒険が散歩になってるよね。って、陽香以外最初から冒険とは言ってなかったか。

「山で見つけた何か・・・何にします?」

「質問というか議題がループしてるね」

「山のもの、だけだと物が多すぎて迷いそうなのです」

「あ、珍しいと思ったものにするのはどうでしょう?」

「そうしよっか」


 でも珍しいものか。キノコとか?いや、でもキノコってどれが毒ありなのかもわからないし危ないな。何か珍しいものか・・・。ん?んん?え?


「すー。すー」


 女の子が寝てる!?

「あのー」

とりあえず起こしてみる。こんなところで寝ていたら風邪引くだろうし危ないし。

「すー。すー」

 よくねるなぁ。神奈みたいだな。

「ふにゃっ」

 わっ、びっくりした。

「だ、誰?あ、事案がわかるもの持っちゅう?スマホとか腕時計とか」

「あるよ。えーっと、今は午後2時くらいだね」

「ありゃ、もうそんな時間になっちょったんだな。ありがとう」

 あ、どこかに行ってしまった。


「日和、さっきのこ誰?知り合いとか?」

「いや、知らない人。ただ、こんなところで寝ていたら風邪引くだろうし起こしてみた」



 さて、気を取り直して珍しいもの・・・。何かないのかな。

「珍しいもの、すぐに思いつかないし、もう、そこらへんにたくさんあるものとかでもいいんじゃない?」

「確かに、珍しいものといわれて何も思いつきませんでしたし、たくさんあるもので作ったほうがかんたんですね」

「ひよちゃんひよちゃん、落ち葉を使って音がなるようなゾーン作ってみたいのです!」

「お、それいいね。落ち葉なんてそこらじゅうに落ちているし、そういう感じで作っていく?」

「そのほうが夕方までに間に合うんじゃない?」

「そうだね」

「私は、踏んだらかんたんに折れて音がりそうな木の枝わ探してくるよ」

「綾乃さん、私も一緒にいいですか?」

「いいよ、沙弥」

「2人で行動するなら、私は陽香と落ち葉集めやろうかな。いい?」

「ウエルカムなのです!」

「集めたものはどうしよっか」

「ここに集める?作るのはみんなで協力してやるとして、素材だけここに集める」

「いいね、そうしよっか」



「さて陽香、落ち葉を集めるんだけど、なるべく湿っていないものを集めるよ」

「落ち葉ならなんんでもいいのではないのです?」

「湿っていたり濡れていたりしたら、踏んでも音がならないだろうし、滑りそうになる可能性もあるしね」

「なるほど!」

「と、いうことで湿っていない阿知波を集めよう」

「おー!」



-綾乃視点-


 木の枝、木の枝、どのくらいの太さ、長さがいいのかな。

「綾乃さん、私、あっちの方でさがしてきますね」

「あ、はーい」

 木の枝が鉛筆くらいの大きさの枝だと踏んでも音がならないというかそもそも折れてくれもしないだろうし、小さすぎると、踏んで、折れてくれはするかもしれないけど、音は聞こえないだろうし、踏んだ事自体に気が付かないかもしれない。ちょうどいい木の枝はないのかなぁ。

「ねぇねぇ、何しゆが?」

誰だろうこの子。あ、さっき日和が起こしていた子かな。きっと。

「えっと、木の枝を集めているんだよ」

「枝?何でもいいの?」

「いや、足で踏んだ時にパキッってなるような枝だね」

「一緒にやってもいい?」

「え?手伝ってくれるの?」

「うん、そうそう。ひましてたら、あなたを見つけて何しゆのかなーっておもってね」

 暇だったから山に中に行くって凄いな。

「それじゃあ、手伝ってもらおうかな」

「まかされた!集めたらここに持ってくるき!」



-日和視点-


「ひよちゃんひよちゃん、この落ち葉たち、ベッドみたいなのです!」

「濡れているところもあるかもしれないから気をつけてね」

特に、下の方とか、雨で濡れて乾かないままそのままあるだろうし。

「はいなのです!」

 しかしまぁ、こんなにあるし、ざっくりとって、湿ってそうな部分だけ除けばたくさん手に入るな。



-みらい視点-


「みらい、ちょっと来てくれないかな」


「なーに?」

「日和君たちが外にいる間に何か楽しいことの準備をしてみないかい?例えばこの部屋で宝探しとか」

宝探し、楽しそう。

「やってみたい」

「なら、隠すものを決めよう」

「ペットボトルと缶のジュース、菓子パン、カップラーメン、スナック菓子・・・」

「食べ物系ばかりだね」

「見つけたらそれを食べるって感じはどうかなって思うけど、ダメ?」

「ふむ、面白そうだね。いいんじゃないかな」


 最終的に隠すものは、ペットボトルと缶のジュース、菓子パン、カップラーメン、おにぎり、コンビニのパスタ、カレー、ハンバーガー、食パン、ジャガーチップスの10個になった。

 隠すものは決まったし、どこにかくそうかな。

「みらい、5個はこっちが隠すから残り5個をお願い」

「分かった。ジュース2つとハンバーガー、ジャガーチップス・・・あとは、おにぎりを隠すね」


 んー、隠すものは食べ物だし、ほこりが多そうな場所とかは避けよう。どうしようかなぁ。

 おにぎりはティッシュ箱の裏に置こう。机を壁に寄せて、ティッシュを少し多めに出して、見つけにくいようにして、缶ジュースは机の足の下に。もしも踏んでしまっても缶ジュースならすぐに中身が出てくることはないだろうし。ペットボトルジュースは、洗面台のところにおいて、ハンバーガーは、なんか机の上にある湯呑みたいなのが入っている茶色っぽい少し大きな入れ物の中に。うーん、残りはジャガーチップス。うーん、あ、これは普通に袋の中に入れておこう。まさか入っているとは思わないよね?


あれ、パパ、何か箱を作っている。

「パパ、これ何?」

「この中に物を隠すんだよ」

「え、でもこんなにたくさんの箱、どこに隠すの?」

「いや、かくさないよ?」

「え?」

「宝探しといえば、宝箱だからな。1人1回だけ空けてもいいようにして、2分にの1の確率で当たるようにした。どこにあるかわからない宝を探して、宝箱もあって楽しそうだろ?」

「宝箱だったんだね」

「ちなみに、みんなが引いて、残った箱の中に景品があれば、それはみらいのもの、これでいいだろう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

日和日和 -ひよりびより- 諏訪野ヒロ @suwano-hiro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ