第33話 旅行計画!?
「おはよう、ルナ」
「あ、ハル君。おはよう。あ、そうだ。今日放課後お家行ってもいい? おじいちゃんに聞きたい事あるんだ」
「うん。いいよ」
ハル君は、満面の笑みで頷いた。
笑顔はこっちの方がいいなぁ。シマールだとフッって言う感じで笑顔とは言わないもんね。
「なになに? もうカップル誕生?」
え! カップル?
見れば足が長くてすらっとしていて、胸が私よりあって髪は胸ぐらいまであるウエーブ。
私より年上に見えるけど同じクラスの人だ。名前わからないけど……。
「あ、いえ……」
「怪しいなぁ。今、ルナ、ハル君って呼び合ってたじゃん」
女子生徒の後ろからひょいっと出て来た男子生徒。彼は、女子生徒に隠れるくらい小柄。
その彼が、体をねじらせマネて? 言った。
私、そんな話し方してないから!
って、ルナっていうあだ名聞かれた!
やっぱり『ツグミ』って呼んでもらおうかな……。
「幼馴染だったんだ。昔からそう呼び合っている」
ボソッと二人にハル君は説明してくれた。
へ~っと、二人は頷く。
「で、そのお二人さんは、もう部活決めた?」
「僕達は、ファンタジーに入部したよ」
「え? もう入部しちゃったの?!」
男子生徒が聞いた。ハルくんがサラッと言うと、女子生徒は驚く。
まあ、驚くよね。大抵の人は、今日から見学だよね。
「決めるの早くない? 部の内容より先輩方がどんな人かによるみたいだよ?」
大丈夫と女子生徒が言うけど、ハルくんは大丈夫だと返す。私も頷いておいた。
出来れば、カナ君とも幼馴染だとは知られたくない。色々面倒になりそうだからね。
「ふうん。残念だったな、田島」
「あぁもう。二人ゲットかと思ったのに!」
女子生徒は、田島さんと言うらしい。
それはどうでもいいけど、ゲットって何?
「ゲットってどういう意味?」
「うん? 私と佐藤君と新しく部を作ろうかって事になってね」
「え? 作るの? って、何部?」
「それはまだ決まってないんだよね。とりあえず先輩がいない方がいいかなって事になってさ。じゃ、二人はそっちで頑張って!」
凄い理由で部を作るのね。何かやりたい事があるわけでもないと。
うーん。でもある意味、私達の部も……いや、ファンタジー部として機能しているか。
「ねえ、む、向こうに入るって言わないよね?」
「うん? いや、ないよ」
「よかった」
私が考えこんでいたからだろうけど、私、副部長でもあるんだけど。
ハルくんは、胸を撫で下ろしホッとした様子をみせていた。
大丈夫なのになぁ。
そして、放課後。私達は部室へ向かう。
扉を開ければ話し声が……何故か三人分!
「あら、待っていたわよ」
マリアさんが言うと、うんうんと精霊のタフィーくんが頷いた。
三人目の正体は、タフィーくんだった!
何故いるのよ。
「おたくらここに毎日来てるんだってな!」
「毎日というか、学校がある日ね」
「学校って、勉強だかするところらしいな。今、聞いた」
勉強の意味を知っているかは別として、凄く興味を持ちましたという顔をしてタフィーくんは言う。
毎日現れそうだよ……。
「あ、そうそう。今月末の土曜日に札幌の依頼受けて来ましたわ」
「札幌!?」
マリアさんが言うと、ハル君が驚いた。
って、私もよ! どうしよう。たぶん、お母さんが帰って来るから行けないかも……。
「あなた達に合わせましたわ」
「あの……もしかしたら行けないかも」
私の言葉に三人は、えっと言う顔つきをした。
まさか私が行けないとは思ってもいなかったのかも。
「あら、ごめんなさい。旅行とか予定聞いてから引き受ければよかったわね。でも大丈夫よ。二人からだから。金曜日から泊まりで行けるからちょっとした旅行気分も味わえると思ったのですが……」
「泊まり!?」
「部活でなら旅費でるからな」
カナ君がそう言うもお金の事で驚いたんじゃないけど。
まあ、どちらにしても私はいけない。
☆ ☆ ☆
「君達ねぇ……はぁ」
私達は、部室を直ぐに出てハル君達の家におじゃました。
おじいちゃんは、いなかったけどハル君のお父さんはいた。
おじさんは、眉間に皺を寄せている。部活での旅行の件を話したから。
どうやら部活で遠出する場合は保護者同伴じゃなくてはいけないみたい。
それなのに、もう引き受けちゃってるんだけど。
「いいじゃん。どうせ仕事で行く予定だったんだし」
「え? そうなの?」
カナ君の言葉に驚いて言うと、そうだと三人は頷いた。
だから受けたんだってマリアさんが付け加える。
「俺達、ウィザードとしてコンサートジャックするんだ。それで日曜日に現地入り。だから土曜日はフリーだからさ」
「え!? ジャック! 大丈夫なの? そんな事をして」
「嫌ですわ。これは催しでしてよ」
「僕達のファンは、どの日にジャックされるのかって全日程買う人もいるよ」
あ、そっか。そうだよね。打ち合わせ済みなんだよね。
ラジオジャックの時もそうだったもんね。焦った~。
でもどの日にって、コンサートジャックも定番なの? 知らなかった!
「事務所の春の祭典のコンサートをやるからね。今年は北海道!」
そう言う事か。
カナ君の言葉で理解した。事務所のって事は、いろんな人が出るって事だよね?
「僕達の名前は載ってないけど、ジャックは絶対あるだろうってネットでは話されているからね」
「まあ、父さんの作戦だけどな。売り上げ好調だったらしい。俺達をダシに使うなってぇの!」
なるほど。ウィザードがジャックするかもってワザとネットで流したのね。
そっかぁ。コンサートかぁ。もう手に入らないよね。
って、いつなんだろう? 日曜日に行くって事は日曜日? それとも月曜日かな?
「でも、ルナが行かないなら意味ないか?」
「そうね……。変更できたらしますわ」
「ごめんなさい。ちょっと用事でどうしても……」
「気にしなくていいよ」
「どちらにしても二人が参加出来る日程を聞いてみますわ!」
気にしないでと三人は言ってくれた。
本来は、ハル君とカナ君の分の奉仕分らしいから二人が出来る日を探すという事に。
「ただいま。おや、来ていたのか」
『リアム! この世界って面白いな!』
そうだった。大人しいから忘れていたけど、タフィーくんも一緒に着いて来たんだった!
大丈夫なのかな?
「森にいないと思ったらここにいたか。もうこの世界になれましたか?」
『あぁ。ちょっとだるいな。でも楽しい! 俺様がいる森の近くにもルナ来るみたいだし。今日は、ついて来た』
「あぁ、学校か。そうだな。部室のみにして頂きたい。勉強に身が入らなくなるからなあ」
『部室?』
「今日、俺達がいた場所だよ」
『わかった。そうする』
言わないと教室までやっぱり来るところだったのね!
「あの、父さん……。この方は?」
きっとずっと気になっていたんだろうけど。
おじさんは、おじいちゃんにタフィーくんをチラッと見て聞いた。
「あぁ。タフィー殿と言って、ルナのパートナーだ」
「何!」
驚いた顔でおじさんは私を見る。
言いたい事はわかります。向こうの世界の人間じゃないものね、私。
「連れて帰って来たんですね……。はぁ」
おじさんは、深いため息をつく。
厄介ごとが増えたって顔をされた。
君の(魔法使いの)ナイトになりたくて すみ 小桜 @sumitan
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