旅行帰りの主人公が、唐突に刑事から呼び止められる。
あなたがハワイに行っていた一週間の間に連続殺人事件が起こっている。あなたにはその被害者たちと共通する点がある……。
こちらのお話、基本的に会話劇です。最初は普通なのに、刑事から情報のピースが提示されるごとに不穏を帯びて、最後の最後で全部のピースがカチっと噛み合わさってひとつの悲劇を完成させる……そんなドラマチックな構成に加えて、作品へ含めた皮肉を引っぱって引っぱって、最後にガリっと噛ませるスパイシーな演出!
さらにオチがタイトルと連動して、演出の辛さを倍増させるわけです。
総評でもないんですけど、これは会話劇だからこその手法ですよねぇ。地の文主体だと読者さんに与えちゃう情報が多くなりすぎて、うまく効いてこないですから。説明しない選択が正しくプラスに働いてます。
読後に引く辛みの余韻、あなたも味わってみませんか?
(夏はサクサク! 短い4選!/文=髙橋 剛)