怪異が出てくるホラーテイストの作品ですが、主人公の「ボク」を語り部に置いた二人称視点のような構成のため、ホラー要素が苦手な人でも充分に楽しめる作品に仕上がっています。どこか児童向けの絵本のような雰囲気を感じさせる、ほのぼのとした終わり方がとても良いです。わずか9千字という短編なのに、長編作品を読んだ後のような余韻が楽しめる作品です。
夏休みを満喫中のミツル少年。蝉の鳴き声、スイカやラジオ体操というワードからはどこか懐かしい風景がすぐに連想されますが、こういう土地だからこそ怪異が潜んでいるのかもしれません。ミツル少年と怪異からの視点で語られた物語は最終的に結び付き、想像外の――しかし子供が主人公だからこそ納得のできる展開に突入します。はたして「虻干様」の正体とは。ソレに気付いたとき、更なる恐怖が待っているかもしれません。
子供は近づいてはいけないと言われる不吉な場所がある。とある夏休み、川でキャンプをする素行不良な男女が、問題の場所に踏み入ってしまい……。恐怖にざわざわしながら迎えるラストには、想像し得なかった展開が待ち受けています。さぁ、その目で確かめてください!