恐怖でやる気を上げる『損失回避の心理』

 今回は損失回避の心理をうまく突いて、新人賞やコンテストに応募してみようという話です。

 この損失回避の心理というのはギャンブルと密接に関わっていますので、解説にもちょっと熱が入りました笑



 カクヨムは色々なコンテストを随時開催しております。

 また、多くの出版社では定期的に新人賞の募集を行っていますね。

 こうしたコンテストや新人賞に応募するつもりで執筆するのをオススメします。……と言っても


 ――俺は趣味で書いてるから、コンテストや新人賞に出すつもりはない!


 という人もいらっしゃいますよね?。

 私も創作は楽しんでこそだと思ってますので、無理に新人賞に応募しろとは言いません。

 ですが、選択肢が多くて損はしませんよね?

 それに良い物が出来上がったら、実力試しをしたくなることもあるかと思います。

 『出せない』という選択肢だけよりかは、『出せる』けど『出さない』という選択肢がある方が絶対にいいです。

 人間は自分で選んだ結果に対しては、後悔しにくいこともわかっていますしね。



 と、そろそろコンテストに応募する利点を挙げていきましょう。

 まずは、締め切りが予め設定されているということです。これはモチベーションを保つ上で大切だと以前述べましたね。


 次に目的意識を持って取り組むことは、実力の向上に繫がるという点です。

 自分一人で楽しむためと割り切っている人は別ですが、多くの人は自分が書いた作品を他人に評価されたいと思っています。ネットに小説をアップしてる時点で間違いありません。

 そのためにはやはり、実力があるに超したことはないでしょう。

 たとえ中身に本質的な違いがなかったとしても『演出』『キャラ立ち』『文章の流麗さ』が違えば、評価はガラリと変わってきますからね。


 そして最後に……おまたせしました! 損失回避の心理です!

 人間というのは掴めたかもしれないチャンスを逃すのをとても嫌います。

 とある実験の結果、人間は自分が『得をした場合』よりも『損をした場合』の方が3倍も心を揺り動かされるということが判りました。

 つまりベクトルは反対ですが『3000円手に入れる』ことと『1000円失う』ことは同じくらい感情に残るということです。


 このことから言えるのは『これをやった結果何を得られるのか?』というメリットよりも『これをやらなかった結果、何を失うのか?』というデメリットを提示した方が、人は3倍も行動できる可能性が上がるということです。


 私がカクヨムで初投稿した『21世紀のカジノプロ、無一文で異世界へ。』は、もともと『働く人小説コンテスト』というのに応募するために書き上げたものでした。

 というのも、カジノプロは職業と言っていいのかすら微妙な、かなりマイナーな職種。そもそも日本人カジノプロはいても、日本にはカジノプロが存在しません。だからこそ確実に興味を引ける自信がありました。


 いちおう調べてみれば、他に働く人をテーマにしたコンテストは全然見つからなかった。

 上手く書けば受賞もありえるのではないかという作品だ。なら、このネタをいま書かないでいつ書くんだ?

 こうした動機を下に、私はなんとか期日までに規定文字数をクリアした。

 もしかしたらこうしたチャンスが、今後現れないかもしれないからだ。このチャンスを逃す訳にはいかないだろう。


 これが損失回避の心理を用いて、長編作品を書く一つのコツだ。

 もし、温めているネタでおあつらえのコンテストがあったら、多少日程が厳しくてもチャレンジしてみる価値があるだろう。

 しかし、読者の中には「いま俺が書いてるの、そこまでオリジナリティーないし……」と悲観する人もいるだろうが、それは発想が悪い。


 ライトノベルの最王手『電撃文庫』は新人賞を年に1回しか行っていない。

 つまり締め切りを過ぎると、次に応募できるのは一年後となる。

 アナタはいったい何年後まで、小説を書いてると思いますか? プロにならない限り、何十年も書き続けてるということはないはずだ。

 ということはだよ? 電撃文庫の新人賞に応募できるチャンスはそう何度もない。普通の人は2回か3回だ。その内の貴重な一回を、怠惰に過ごして潰してもいいのか?



 危機感を持つことで作品を完結させる。

 その手段として、コンテストに応募するつもりで書いてはどうだろうか?

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