第5話 引導
知ってたよ! 気づいてたさ! わかってる!
死んだよ! ほんとうさ! 嘘だ!
「……ぅ……聞かせて」
逃げたんだ、嫌になったんだ、誰も味方なんてしてくれなかった。一人でいつづけた。
いつだってあのモノ共は言いやがった、「はみ出し者」ってな、
あんなのと比べれば生きてたに違いないさ。不良品じゃない、独立したんだ。
四角形と比べて三角形の方が劣るだなんていったい誰がきめた、
価値をわかってないだけだ、大切さを見過ごすほどの鈍感なんだ、
やつらにとっちゃ他律が自律なんだよ、壁一枚どころかもうそれこそおんなじだ、しかもそれを「正義」だって、あぁなんて愚かな‼
そこで言葉を切った、この昂ぶりはどれくらいのものだろうか。
中身が膨れ上がる、
久しい感覚だ。
「聞かせて」
――が欲しかった、弱かった、
ただ一人でも多く「必要」だって、その言葉さえあれば怖くなんてなかった。
闘うにはあまりにも弱すぎたんだ、だから求めた。どんなものにでも立ち向かう覚悟だったさ、黒色にだって容赦なく吐きかけてやれる、ぶち壊してやれるはずだった!
でも……最期までなんにもだ。知ってたはずだったんだ、脆さもなにもかも。でもそんなの妄想の内でしかなかった!
だから狂ってやったのさ、あんなのが追いすがることすら許さないようなすごい事を見せつけてやったんだ! 壁をぶっ叩くんだ、モノ共を揺らしてやるのさ!
「聞かせ――」
いわれずともわかっちゃいるさ、ムナクソ野郎には全部お見通しのことだ、
そうさそうとも、ただの「さみしさ」だ! 残りカスには虚無感ときた!
しっているさ心のうちなんて! 死ぬのは怖いよ! 生きたいよ! もっと‼
激しく、苛烈に生を感じるんだ、激烈に壁を叩き続けるんだ‼
生きるってのは相当に厳しいんだ! でもそれ以上に求めちまうんだよ!
まだなんだ! まだだ!
高鳴る、近づく、今やすでにパンパンに膨れ上がった。
まだ――‼
「きみがひつよう」
シニガミはLを食べた。
死神対話 遠藤幸次 @HardEnd
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。死神対話の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます