第22弾 アンダーエルフ

「アンダーエルフ、ですか...」

「アルイゴ、知っているのか?」

「エルフの一種で、攻撃に特化した種族と聞いておりますが... 情報が少ないのです。主に地下で暮らす種族なので...」

「おや、知っていましたか... 一応、アンダーエルフっていう種族はいない事になっているんですけどね」

「僕は初めて知ったよ...」ムイルも驚いている。 

「さて、と。おしゃべりはこのぐらいでいいですかね!」言うなり、アンダーエルフはこっちに突っ込んで来た。どういう事だ?

普通、相手の戦闘力がわからない場合、遠距離から攻撃を仕掛けてみるはずだ。しかし、アンダーエルフは普通に突っ込んで来た。強烈なカウンターを食らう可能性があるため、致命的な悪手に等しい。

ムイルが「風刃」を放つ。瞬時にして生み出された風の刃は一秒もかからずにアンダーエルフに迫り、その体に当たった瞬間、

「な...!」ムイルの目が驚愕に見開かれた。

「なるほど、小結界... しかも、「吸収系」ですか...」アルイゴが苦々しい表情を浮かべる。

「昇さん! あれに魔法は効きません! あなたの出番です! その武器を!」これを撃てってことか?

俺はアンダーエルフの肩の辺りを大まかに狙って撃った。

「がっ!」結果は命中。アンダーエルフを止める事に成功した。

「魔法は効かないのに、何で銃は効くんだ...?」

「弓ではない飛び道具... しかも魔力を帯びていないのにその威力ですか... 聞いた事も見たこともありません...」アンダーエルフは途切れ途切れに言う。

「こいつは捕縛しておいた方がいいな...」俺は『創造』でロープを作ろうとする。が、

「...そうはいきませんよ!」アンダーエルフはナイフを取り出すと、ムイルに向けて投擲した。

まずい、このままでは間に合わずにムイルにナイフが届いてしまう! ナイフだけを撃てるか? いや、やるしかない!

しかし、ナイフはムイルのかなり手前で何かに弾かれた。どうやらアルイゴが魔法を使ったようだ。今度はアンダーエルフが驚く版だった。

「光属性なのにこのナイフが弾かれた!? まさか、そんなことが出来るのは、天使ぐらいしかいないはず...」

「...そのまさかですよ」アルイゴが答えた。いや、いつものアルイゴとは違う。

怒りのオーラが立ち上っている。

「適当に痛め付けて捕縛するつもりでしたが、気が変わりました。貴方には特別に飛びきりの地獄をプレゼントしましょう」完全にキレている。

「ムイル、アルイゴってあんなのだったか?」

「いやぁ、僕も初めて見たなぁ...」

俺達は後をアルイゴに任せて、一旦洞窟から出てくる事にした。天使ってキレたら皆あんなになるのか? 天使の国へ行くのが怖いなぁ...

その後、洞窟内から転移してきたアルイゴと合流した。全身に赤い液体が付着していたのは新しいファッションだと信じたい。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界に銃を持ち込んだらチートな件。 粉羽朱足 @hasutaru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ