第11話 ライバルとアイドルと腰布
新しくできた山には、ガイアの笑い顔が浮かび上がっていた。比喩ではなく、物理的にラズベリーの草で。その日から誰が言い出したと言う訳でもなく、おっさん山と普通に言われるようになった。
僕は草原で遊んでいる村の友達たちに女の子を紹介した。
「あたし、ラビリンス!よろしくね!」
「「きゃぁ!かわいい!」」
「お嬢様みたな服きてる!」
「えへへ。この服、バニードレスって言うんだよ!」
そんな中、ただ一人、危機を感じていたモノがいた。
「ラビリンスちゃんはどこからきたの?」
「えへへ。緑のお月様だよ!」
「うっそだーw」
わしの地位が、村一番の人気者の地位が
「あ!この草しっておるか?パリパリ草と言って、食べるとパリパリするのじゃ!」
ラビリンスは思った。この子、あたしとキャラがかぶっていると…。
「えへへ。知ってるよ。味ないけどパリパリが止まらないよね。」
「そうなのじゃ!」
「こそげ落とした干し肉と、いっしょに食べるとおいしいよ。」
ノノのその発言に、ライラとラビリンスが疑問符を浮かべていると。
スンゴロがインベントリから干し肉を取り出して、ナイフでシャッシャッと干し肉をこそげ落としパリパリ草と一緒にライラとラビリンスに手渡す。二人は渡されたパリパリ草を口に含む。
パリパリ…
「「?!」」
めちゃくちゃおいしいぃ!!!
うまいのじゃ!!!
「私んちは、塩レモンが人気だよ。」
「僕んちは、ハーブかな。」
「あたいのうちは、はちみつアップルパリパリだよ。」
なにそれ?!
うまそうなのじゃ!!
ライラの知識は300年以上前の子供時代の知識。ある程度のモノが手に入るようになった今の子とは比べるまでもなかった。
このままではまずいわ!
挽回するのじゃ!
二人の目が交錯し、その瞬間、ライバルは休戦協定を結んだ。
「ね!ね!こっちのヒヤロエを知ってる?本を開くように割いて、体に貼るとヒヤッとして気持ちいぃぃの!」
「そうじゃ!うちみとか、捻挫にいいんじゃぞ!」
自分たちに話題の中心を取り戻したかに思えたが…。
「これ、すりつぶしたミントと貼ると気持ちいいよね!」
そういって、宿屋の娘のミルがインベントリからミントを出し、両手でもむように
おそる、おそる、手にしているヒヤロエを貼ると…。
「「ヒヤァァァァァァ!!!」」
めちゃくちゃスース―!!
すごい!なんじゃこれ!!
「うちは、熱出した時にラベンダーと一緒におでこに貼ってもらった。」
「ぼくのオヤジは、二日酔いの時に薬草と一緒におでこに貼ってるよ。」
二日酔いに効くの?
知らなかったのじゃ!
ラビリンスの知識は1000年前、この世界でオークキングが進行してきたときに呼び出されとき、戦士たちが打ち身に貼っていたのを見た程度だった。
ライラもラビリンスも、村の子供たちからしたら、老人を通り越して古代人なみの時の差があった。その知識のちぐはぐっぷりが子供たちに好かれていることをライラは知らない。
「ちなみにじゃ。ゴブリンの腰布って、雑巾に使うと長持ちしていい…。」
「「「…。」」」
ライラとラビリンスは子供たちの表情を見て必死に空気を読む。
「ライラおねーちゃん。ばっちぃよ!!」
「じょ、冗談なのじゃ…。」
「なんだ、冗談か!」
「「「ワハハハハハ!!」」」
はははは…。
はははは…。
ちなみに、村で一番人気のアイドルは、タマとポチである。ライラがいないときは、スキルレベルを上げるために良く呼び出されている。
村の少年は超異次元召喚魔法を覚えました。 酔玉 火種 @yoidama-hidane
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