歴史は繰り返す

 平成の時代が終わり、新しい年号に変わって十数年経ち皆の耳にも年号が定着してきた頃。ブラウン管テレビの残酷な怪事件は皆の記憶からは薄れていた。各々が身辺の平和を謳歌し、恐怖が目の前にあったことなど忘れていた。

 数年前から新型テレビへの移行が全国的に始まっていた。

 かくして液晶テレビの普及率は時の経過ごとに減少していき、相反的に新型テレビの普及率は著しく上昇していった。

 家電量販店に液晶テレビは消え、新型テレビが値札を付けられて並び、各家庭に出回る。この出来事に似た前例がある。

 お気づきだろうが、ブラウン管テレビから液晶テレビへの変遷だ。この際も同様の経過を辿った。

 歴史は繰り返される。

 今もこうして、山奥の木造一軒家で農家の男性が死骸となって横たわっている。 当然、男性の傍には現在では目にしなくなった液晶テレビが奇怪にも、死体を眺めるかのように置かれている。

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懐かし家電の怪死事件 青キング(Aoking) @112428

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