3枚目 崩壊

「ようやく休める~!」


 ホテルに着いた私は汗を流し、すぐに布団に入った。


 時差ボケを初めて経験した。


 視界がだんだんと暗くなり、眠りに落ちた。


 しばらくすると、ベットから私は落とされた。


 最初は強盗にでも入られたかと思った私だったが、誰かが呼んでいる。


 扉を開けようと足を動かしたその時、


「きゃっ!?」


 私はその場で転んでしまった。


 近くに転がっていた三脚を使って何とか鍵を開けたが、外側からは開かないようだ。


 揺れが収まり、私は窓から出ることを決意した。


 ここは2階だが、すぐ隣にハシゴがあった。


 カメラを首にかけそのはしごから降りようとした。


「海咲!」


 ガイドさんが扉をこじ開けてくれたのだ。


 そして、すぐに外に出た私はカメラを構えた。


 外は無惨な状態だった。外壁が至る所に落ちている。壁には大きなヒビがある。


「危ないぞ!」


 その言葉が街中に響いた。


 その声の方を見ると、ビルが倒れかかっていた。


 まだ動いている。


 私はシャッターをきれなかった。


 あまりの衝撃に自分の安全を優先してしまった。


 未来にメッセージを残すために世界を旅しているのに、これでは意味が無い。


「助けて!」


 不意に声が届いた。


 そこには、幼い少女が座り込んでしまっていた。


 咄嗟に身体が動いた。


 シャッターを切りながら少女の元に全力で走る。


「海咲・・・!?」


 少女を安全なところに投げ飛ばして、私はすぐに方向を逆向きにした。


 だけど間に合わなかった。


「海咲、大丈夫か!?」


 その声に気づいて目を開くと、視界には白い壁に蛍光灯があった。


 身体の至る所に縫った跡があった。


「あの女の子は!?」


「なんのことだい?」


「私が助けたはずの少女は!?」


「助けた?お前は車に撥ねられたんだぞ?」


 そんなはずはない。あれは明らかに現実だった。


「車に・・・?」


 やっぱり信じられない。


 ────カメラ!


 あれを見れば分かるはず!


「カメラは!?」


「これか?」


 その記録を見ても写真はなかった。


「あ、そういえば、お前が飛び込んで少女を助けたんだったな。良かった。どっちも生きていて。」


 私は夢を見ていたのかもしれない。


 そして、私は再び人々を救えるように世界へと旅立つ。

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写真を取りに行ったら 囲会多マッキー @makky20030217

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