大麻のリズムに体を預けて

やたら爽やかな海風でも吹けばうっと怯んでしまう様な人々と、顔も時間もじんわりと覆っていく大量の大麻。アジャンタという小さな宿で彼等が吐き出した煙は、どこに消えるのか。何かを共有する人達と、しない人達と、それ等を全て包み込むインドの空気の中で放たれる、やたらリズムを持った会話、それは明日には無意味な会話。読者それぞれの「沈没」と奥まった「願い」、或いは「鬱屈した何か」に、無風なリズムで語りかけて来る小説だと思う。