第15話 エイプリル・フール
「で、どうして、こうなっちゃったのかしら?」
「原因は冬美さんですよ」
「わたし?そうかなぁ」
「とぼけなくても大丈夫ですよ。春香と夏希は『春の夢を見たことにする』て言ってましたよ。特に夏希に『ありがとう』とか涙目で言われる俺を、冬美さんは腕組みして黙ってるだけなんて」
「春香は『秋雄は、昔から年上好みだからね。私と婚約しておきながら、卒園式前に幼稚園の先生とチューして、「俺、センセと結婚する」だもの。振られるより、振ったほうがましだから、だから、私から婚約破棄したの』って、可笑しくて可笑しくて。笑いを堪えるのに必死だったのよ」
「まったく、懲りないなあ。冬美さん、元カレを振る時に、『私、このコと婚約したの。親が決めた事だから、私の事は綺麗サッパリ忘れて』ですよ。俺、震える彼氏の前で眼が泳がせるしかなくて、困りました」
「だって、秋雄を好きになっちゃったんだから、仕方ないでしょう?」
「それ、2週間前の話ですよ……まあ、いいんですけどね。俺、冬美さん大好きだから」
「好き好き言っても、人前でキスとかハグとかしないわよ」
「わかってます。そういう約束ですから。春香からデートの話があった時に、冬美さんに相談しておいて本当に良かった」
「待ち合わせ場所に来たのが夏希で、春香と夏希が、エイプリル・フールで秋雄をからかっているだけかと思っていたけれど。秋雄が私の言う通りに動いてくれたから、事無きを得たけれど、危なかったわよね」
「まったく、今日がエイプリル・フールで良かった」
エイプリル・フール ?&! @NANDA-OO
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます