扉一枚を隔てたその向こうで俺の弟とその幼なじみの女の子がナニかやってるっぽい。

Rau.@良羽

扉一枚を隔てたその向こうで俺の弟とその幼なじみがナニかやってるっぽい。

 注意!



 この話は、



 まごうことなく『全年齢対象』です。




 ただし、表現がアレなので、



 注意しておいてくださいね。


 人前はまずいです。人前は。







  季節は冬。人肌恋しくなる季節。

 夏は夏で人々は開放的になってまあイロイロする人も増えるのだろうが、某大手アイドル事務所の社長さんが言う「恋の季節?you、そんなの1年中だよ」という言葉を信じたい。


 まあそんなわけで、これは冬の休日の昼下がり、若い男女、正確に言えば高校生の男女の話である。


 若い男女、正確に言えば高校(ry が一つの部屋に二人っきりでいたとして、ヤること・・・いや、やることは一つしか無いだろう。まあぼかした言い方をすれば愛の営み?という感じだろうか。




 これは、まあ、そういうお話。













「ただいま~」

 高校2年生の俺は間延びした声で台所にいた母に自分が帰ってきたことを告げ、「おかえり」と母が返すのをほぼスルーしながら制服を脱ぎ始める。

 冒頭で「冬の休日の昼下がり」と記載したがまあ休日講座があったとかそんな補足を付けてもらえれば幸いである。

「あれ?佑樹ゆうきは?あいつは今日講座無かったろ?」

 佑樹というのは俺の1つ下の弟のことで、詳しく説明するのはめんどくさいので紹介はここらへんにしておこう。

 あ、ちなみに俺は矢島和人やじま かずとというイケメンでモテモテでスペクタクルでハイパーメディアクリエイターな高校2年生だ。身長は174cm、体重はヒミツで、誕生日は9月21日、好きなものはキュートでグラマーなガール、血液型はクワガタ、なんつってほんとはA型のちょっとシャイなグッドルッキングアンドグッドデザインなボーイだ。

 ※カタカナの部分は読まなくて結構です。


 まあ冗談はこのくらいにして。



「佑樹?ああ、それなら2階に佑樹の幼馴染みの里佳りかちゃんと一緒にいるけど」

 さりげなく説明してくれた母に和人は感謝しながら「ふうん」とだけ言い、制服を脱ぎ、昼食を摂るべく台所に戻った。

「母さん俺のメシは?」

「そこにあるでしょ」

 ・・・仕方なく俺は、「たっぷりがっぷり背脂豚骨」を手に取った。お湯を入れたらすぐ美味しいすごく美味しい♪


 たっぷりがっぷり背脂豚骨を食べ終わると母から「これ2階に持っていってやって」とお盆に乗ったケーキとジュースを手渡され、俺は食べ物のグレードの違いに違和感を抱きつつも弟の部屋の前までやって来た。





 その時だったのだ。


「ねえ・・・佑樹。そろそろ始めよっか?」



 始める?


 いったい何をーー?


 和人は佑樹の部屋の前でお盆を持ったまま立ち尽くしている。二人の会話を聞くために息を潜め、足音を立てないように摺り足で部屋に近づく。


「ああ。とっとと始めようぜ!」

 佑樹の言葉と共に何やらギシギシと物音が聞こえてくる。

「も~、そんなにがっつかなくてもちゃんとヤるってばぁ」

「待ちきれねーよ!早くシようぜ!」



(お、おい・・・!?こ、これってもしかして・・・いや、もしかしなくても、アレか!?あの・・・ピー(自主規制)か!?)

 部屋の外で和人は驚き固まっている。

 しかし佑樹と里佳はそんなことも露知らずどんどん話を進めていく。


「わぁ・・・すっごく太いね」

「当たり前だろ。ちゃんとこの日のために用意したんだから」

「でも・・・私どうすればいいのか分かんないよ?」

「どうだっていいだろ。何やったってコレはオイシイはずだ」



(あっ、あいつの・・・そんなに太いのか?俺だってまだ負けてないと思うんだけどな)

 部屋の外で和人は変なところに食いつきながらも聞き耳をたて続けている。



「うーん・・・、とりあえずこうしちゃおっか♪」

「うおっ!?そんな、イキナリっ・・・。こんなのヤバイって・・・!」

「うわっ、服にかかっちゃった!」

「あー、ほんとだ。まあでもこれからまだまだ汚れるだろうし、気にしなくて良いよ」

「わかった。ところで、そろそろ入れちゃう?」

「もちろん。この瞬間を俺はずっと待ってたんだぜ?」

「じゃあ、入れるよ?」

「ちょっと待って。全部入るのか?」

「分かんないけど、取りあえずヤってみよ~♪」



(ま、マジかよ・・・高校生で、嘘だろこんなの・・・。しかも、俺の弟が、幼馴染みとなんて・・・、羨ま・・・いや、不埒だろ・・・)

 和人が煩悩と戦っていることも露知らず、佑樹と里佳の二人は止まらない。



「うおっ・・・全部入った」

「ほら言ったじゃん。どうよ私のは?」

「すげえな。やっぱ初めてを里佳にして正解だよ」

「でしょでしょ~?」


 扉一枚を隔てた先に、二人の衣擦れの音が聞こえてくる。

 和人はあちらから姿は見えないのだが、隠れるように体を小さくして、気配を消していた。


「もっとイくよ~?」

「あぁっ、里佳、もう出るって・・・」

「えっ、ちょ、ちょっと待ってよ!」

「ああっ、で、出るっ・・・あっあああ・・・」




(・・・今さらだけど、どうしようこの状況・・・)

 青ざめたような、或いは赤く火照ったような、不思議な血の巡りを和人は感じながら動けずにいた。

 弟に先に「卒業」されたショックもあったかもしれない。



「そう言えば里佳、今日は縛らなくていいのか?」



「縛っ・・・!?」

 思わず声を出しそうになった和人は慌てて自分を制する。

(そんなことまでしようとしてるのかあの二人は・・・!)

 俺なんてまだ童貞だってのに、と、口の中だけで呟く。


「ん?いや、今日は良いや」

「そっか」

「あれ?もう切れちゃったかな?」



 何が切れたのかと和人は聴力を最大限自力で高める。

 目をそばだてるように耳をそういった状態にした。



「切れたのか?十分あったと思うんだけどなぁ」

「使いすぎてたのかな?」

「ん~、じゃあ、『無し』でヤってみる?」



 疑問は確信に変わり、和人はドアノブに手を添える。

(『無し』・・・って、アレか?アレという名のアレか!?男性用の、あの、きょ、局部につける!?)


 もはや心理の中でも呂律ろれつが回らない。

 だがそこには二人の将来を思いやる和人の心配があった。

(アレ無しのアレなんて、もしかしたらもしかするかもしれない。そうなったらあの二人は幸せになんてなれなくなる!愛し合うことに罪はないけど、これは佑樹の兄として止めねば!)


「もう生でいいか?」

「何言ってんのよ、そんなの無理に決まって・・・」

「一回!一回で良いからよ!」

「・・・ん~、仕方ないなぁ」

「じゃ、いくよ?」


 和人は手をかけていたドアノブを捻る。





「お、お前らっ!何やっ・・・」





 和人は目の前の風景を見て、絶句した。




 部屋の中には和人が懸念していたようなスペクタクルなことは何もなく、至って普通の平和な風景が広がっていた。



「あれ、どうしたの兄ちゃん」

「お邪魔してまーす♪」



小さな木製のテーブルに携帯用ガスコンロ、その上に鍋を置き、二人が向き合っていた。鍋の中にはベースのパイタンスープに、雑に切られた野菜やほぼ挽き肉と化した肉団子が入れられており、不恰好だった。

 特にその中で目を引いたのは明らかに多すぎるだろうと人目で分かるほどの大量のしめじだった。




「・・・え、えっと?」

「どうしたの」

「い、いや・・・まあ、とりあえずケーキとジュースどうぞ」

「あ、ありがとうございます」

 深々と頭を下げる里佳にすっかり氷が溶けてしまったジュースとイチゴが乾いて少し水分を失ったケーキをお盆ごと手渡す。


「これ、何やってたの?」

「鍋パです、鍋パ」

「でも今ガスが切れちゃってさ。兄ちゃん持ってない?」

「すまん、持ってない」

「そっか。じゃあどうしようこの生の白菜。もうしめじに飽きてきたからそろそろ味を変えていきたいな、って思ってたんだけどな」



 話を聞きながら和人は大体を理解していた。


 それではここでもう一度二人の会話を見てみよう。











「ねえ・・・佑樹。そろそろ始めよっか?(鍋パを)」

「ああ。とっとと始めようぜ!」

「も~、そんなにがっつかなくてもちゃんとやるってばぁ」

「待ちきれねーよ!早くしようぜ!」

「わぁ・・・すっごく太いね(大根が)」

「当たり前だろ。ちゃんとこの日のために用意したんだから(スーパーで)」

「でも・・・私どうすればいいのか分かんないよ?(調理方法が)」

「どうだっていいだろ。何やったってコレはオイシイはずだ」

「うーん・・・、とりあえずこうしちゃおっか(ほぼ切らないまま鍋の中にどぼーん)」

「うおっ!?そんな、イキナリっ・・・。こんなのヤバイって・・・!」

「うわっ、服にかかっちゃった!(勢いよく入れたので)」

「あー、ほんとだ。まあでもこれからまだまだ汚れるだろうし(里佳の調理が下手すぎて)、気にしなくて良いよ」

「わかった。ところで、そろそろ入れちゃう?(しめじを)」

「もちろん。この瞬間を俺はずっと待ってたんだぜ?(しめじが好きだから)」

「じゃあ、入れるよ?」

「ちょっと待って。全部入るのか?(量が多すぎて)」

「分かんないけど、取りあえずやってみよ~♪」

「うおっ・・・全部入った(しめじが)」

「ほら言ったじゃん。どうよ私の(用意した鍋)は?」

「すげえな。やっぱ初めてを里佳にして正解だよ(鍋パの相手を)」

「でしょでしょ~?」



「もっとイくよ~?(しめじを)」

「あぁっ、里佳、もう出るって・・・(鍋からスープが)」

「えっ、ちょ、ちょっと待ってよ!(しめじ入れてる最中だから)」

「ああっ、で、出るっ・・・あっあああ・・・(鍋からスープが)」



「そう言えば里佳、今日は縛らなくていいのか?(髪の毛)」

「ん?いや、今日は良いや(結ぶのがめんどくさい)」

「そっか」

「あれ?もう切れちゃったかな?(コンロの火が)」

「切れたのか?十分あったと思うんだけどなぁ(ガスが)」

「使いすぎてたのかな?(ガスを)」

「ん~、じゃあ、『無し』でやってみる?」



「もう生でいいか?(白菜)」

「何言ってんのよ、そんなの(生の白菜)無理に決まって・・・」

「一回!一回で良いからよ!(鍋パでテンションが上がっててノリノリ)」

「・・・ん~、仕方ないなぁ(ノリに合わせる)」

「じゃ、いくよ?」












「・・・なるほどな」


 和人はしみじみと頷きながら納得していた。







 どうしたんですか?と、何も知らない里佳がきょとんとして言った。

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