2学期
EP11 始業式
「―――き!―――るき!」
優しくて、聞き慣れた妹の声。
やけに近くで聞こえる。
目が覚めた。
妹がいた。
添い寝していた。
海音と、時雨。
2人とも俺の寝顔を見てニヤニヤしていたのだろうか。
「おはよ。2人とも。」
「おはよ。お兄ちゃん。」
「おはよ…煌兄…」
「さて。起きるか。2人とも、出るぞ〜」
「えっ…!!」
「………!!!」
どうしたの…?
2人とも。
と思った時にはもう遅い。
2人は下着姿だった。
「あ…」
「お兄ちゃん…見ないで…?」
「……にぃ…?」
「ごめんなさい…ごめんなさい…もう少し眠ってます。」
「「忘れてね?」」
時雨と海音の声が重なった。
いや、忘れてって言われてもねぇ…
脳内に焼き付いてしまったから…
しばらくは忘れられないかな。
妹たちの下着を見てしまってからだいたい30分。
「はぁっ…はあっ…やばいやばい…遅刻する!」
思いっきり二度寝をして、寝坊した。
朝ごはんは抜いて、急いで着替えて学校に向かう。
2学期早々遅刻なんて御免だ!
そんな気持ちで十字路を直進しようとしたとき―
横から来る人に気づかなかった。
「え…」
と言った時にはもうぶつかっていた。
「いてて…って、大丈夫ですか!?」
よく見たらぶつかった相手はなんと女の子だった。
遅刻しそうだけど、自分の不注意でもあるし放っておくわけにはいかない。
「う~っ…いたぁい…」
どうやら軽症で済んでいるようだ。
「あ、あのっ…ごめんなさい!」
「…え?あ、いえいえ!こちらこそすみません」
「じゃあ僕は急いでるんでこれで…って、その制服、同じ学校…」
「ほ、ほんとですかっ!?よければ一緒に行きませんか?まだ道に慣れてなくて…」
「いいけど…あ。時間…」
時計を見た。8時30分。
遅刻だ。
「はぁ…。もういいや。行こうか…」
「何かあったのですか?」
「いや、始業式遅れた…」
「ええっ!?駄目じゃないですか!!」
「いや、いいんだ…どうせ校長の話を聞くだけなんだ。大丈夫だよ」
「そ、そうですか…」
「そういえば、名前は…」
「あ、言うのが遅れました。私、
「俺は
あまり道草も食えない。
歩きながら俺はいろいろ質問していたが、彼女は笑顔で答えてくれた。
明るい子だ。
のんびり話しながら歩いていると、もう学校についていた。
「ここだよ。今の道を通れば多分一番近いよ」
「そうですか!ご丁寧にどうもありがとうございます」
「いえいえ。楽しかったです。じゃあ、またどこかで会いましょ!」
「はい!」
「それじゃ、僕はこれで」
手を振り校門の前で別れた。
ガラッ―
と教室のドアを開けたが誰もいない。
「なんか、朝から凄いな…」
のんびりと自分の席に着き、みんなが来るまで本を読むことにした。
数十分後。
みんなが帰ってきた。
「あれ?煌姫じゃん。遅刻なんて珍しいね」
「あ、あぁ…ちょっと迷子に道を教えてたら…」
「相変わらず優しいんだね、煌姫は」
「あはは…」
「はーい。みんな席についてーって、冷那月お前遅刻か」
「あ、はい…すみません」
「まぁいいや。あとで職員室にこい」
「…はい」
「煌姫、どんまい。」
「…」
「さて。唐突な話だが―今日からこのクラスに転校生がやってくる。入ってこい」
ん…?
いや、まさかとは思うけど…
ガラッ―と教室のドアを開け入ってきた。
その子は、俺が道案内してあげた子だった。
その子が教卓の前に立った瞬間、俺と目が合った。
「「え…?」」
フラグ回収。
デレデレな姉と妹達に困ってます くりゃんて @freedom_dive
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