眠くなっちゃう
ある日の帰り、家からほど近いコンビニで嫁の車を見つけた。
店内にいるようだ。
『わたしもコンビニ寄ろうかな』
嫁とわたしは訳あって、同じ車種に乗っている。同じ車が二台並ぶのが楽しいから迷わず横にとめた。
お気に入りの車。色は嫁のがキャンディーホワイト。わたしのがピュアホワイト。少しだけ違うところが、またお気に入り。
ウイーンと自動ドアが開く。「いらっしゃいませ!!」店員の明るい挨拶。いつも思うが、このコンビニは店員の対応が気持ちいい。
パンが並んでいる棚の前で嫁を発見!
静かに近づいて、嫁の方からわたしに気づくのを待つ。何故なら、声をかけようものなら、「うあぁぁああーー!!!」と驚いて、店内中に声が響いてしまうからだ。そんなことが何度かあった。少しの事で驚く様は結婚当初から変わらない。
『あれれ……』
嫁は一点をみつめたまま動かない。触れるほど近づいて、やっとわたしの存在に気が付いた。と同時に嫁の体がもたれかかってきた。「何やってんだよ!」と体を押し返すと、嫁は半分寝ていた。
その後、よたよたと私の後をただ付いてきた。屈んで1.5リットルの麦茶を取り、冷蔵庫の扉を閉め、振り向くと嫁が目を閉じたまま立っていた。
『ね、寝ている』
「ねえ、もうわたし行ってもいい?」
半分寝たままそう言った嫁。
「いいよ」
レジをわたしにまかせ、ゆっくりと歩き店から出て行った。
支払いを済ませ、嫁の車を覗くと、ハンドルに頭を付けて寝ている。
『一度寝てから帰ったほうが安全だろう』
そのままにして、わたしは自分の車で帰宅。
しばらくして嫁が帰ってきた。
まだ眠そうな嫁は、そのままベッドにダイブ。
……こんなことはよくある。
食べている最中に寝てしまう事さえある。赤ん坊と同じだ。
そこはずっと変わらない。
でも、それでいい。
むしろ、それがいい。
『嫁らしくて、いいじゃないか』……そう思っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます