蛍火


わたしは嫁の何処に魅かれたのか、そして今もなお何処に魅かれているのか、それが分かった。


「神秘的なところ」


それはまた、わたしにとって嫁をいつまでも新鮮に感じる理由でもある。



わたしは嫁が文字通り変わっている人だと思う。


わたしは嫁は天才だと思う。


わたしは嫁はで良い意味で常識外れな人だと思う。


わたしは嫁は心が優しい人だと思う


わたしは嫁は心が厳しい人だとも思う。


長く一緒に居ると、お互い色々な事を思う。





でも……


「蛍火」


嫁を一言で表すならこれがぴたりだ。


わたしの今までの人生は夜が多かった。


いまも、わたしを取り巻くあらゆる事、わたしを取り巻くあらゆる人達は問題が山積みである。先など見えない。


もしかしたら、世の中大半の人がそうなのかもしれない。


でも、「蛍火」は夜だから美しい。


嫁はわたしにとって夜の「蛍火」だった。



最近、わたしは「蛍火」をもう一つ見つけた。


自分の中に……


わたしの内側が光り始めているのを感じる。



嫁の「蛍火」が、わたしの中にいる蛍に光を分けてくれた。


何年もかかったが、わたしの蛍が火を灯した。



だから今は夏虫が二匹。


さあ、これからどこに行こうか。


いや、どこにも行くまい。


二匹でいれば、ここで十分。

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