第46話 アフリカツメガエル


 ある求人情報誌を見ながら嫁が言った。


「ねーアフリカツメガエルだって、研究のために実験用に使うカエルを飼育する仕事だってよ、ねー気持ち悪いの我慢すれば、カエルの飼育でお金もらえるのかなー」


 嫁は、雨の日に出没する大きなカエルをみると、キャーと言って走り出す。

 大きなカエルは苦手なのだ。

 だから飼育なんて無理に決まっている。


 嫁は詳しく内容を読み始めた。

「えーと、水は毎日取り替えて、水温20度を保ってと……

 結構大変だね。

 えーと最初に何十疋か買い取ってホルモン注射をして

 年に三回、一回に2000個位の卵を産んで……」


 想像が膨らんで、気持ちの悪さに声も出なくなったようだ。


 しばらくしてから一言。


「……無理だ」


 わたしは思った。

 そんなの最初から分かってるのに……

 嫁のリサーチは、最初から無理だと思う事まで調べる。

 というか嫁は無理だと思っていないところが天然だ。


 しかし奇跡と思うような結果があるとき、きっかけは嫁のリサーチだったことも沢山ある。


 わたしが嫁から学んだこと。

 それは、あらゆる可能性を最初から否定しない事である。

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