第45話 嫁の原点

 

 嫁から何度も聞いた話だ。

 

 嫁が5歳の時、夜中に家の階段のところで何かが輝いていたそうだ。

 嫁ははっきり分かったそうだ、あれは天使だと。

 

 はっきりと姿かたちを見ることはできなかったようだ。

 何故ならはっきりとみえない程輝いていたからだと言う。

 

 素晴らしい輝きをずっと見ていたいと思い、部屋のドアを開け放しにしたそうだ。

 すると天使はすっと消えたそうだ。


 翌日、家族に話したが誰も信じてくれず、ショックを受けたらしい。


 嫁はこの頃からサイキックだったのだ。

 5歳の嫁は、天使の輝きと雰囲気からおそらく愛を感じ取ったのだろう。

 ここで感じ得たものが、嫁のその後の価値観の基準になったと言う。

 

 この経験が嫁の原点なのだ。


 その後、嫁は幽体離脱で天国に行ってみたりと、色々な経験を積んだ。

 離脱をしているときは息が浅く、死んでしまうのではないかといつも思うらしい。

 嫁は言う。

「死んでも全然かまわないと思うくらい、楽な世界だよ」


 最近、また息が浅くなることが多いと言う。

 

 わたしは心から願う。

 まだ死なないで!

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