第43話 嫁の母親

 嫁の実家に行ったときのこと。

 嫁の母親が、おもしろい話を思い出したので聞いてほしいと言う。


「ねーえー、聞いて、昔の話なんだけれどね。あのね、何かの集まりのレクリエーションでね、しりとりをしていたのよー。

しりとりといってもね、歌のしりとりだったのー。

わたしの前の人の歌が【た】で終わったのね。

【た】から始まる歌を考えたんだけどね、難しいじゃないの。

でも一つだけ浮かんだから、何も考えずに歌い始めたの。


 た♪ん♬た♪ん♬たぬきの♪きん……


 その先は歌えないじゃない。

 

 みんなシーンとしちゃって。

 恥ずかしかったーーー!


 ね!!!!おもしろいでしょう?

 アッハハハハハッハハハハハハハ」



 自ら話し、自ら笑うところは嫁そっくりだ。

 この人が嫁を産んだ。

 間違いないようだ。

 産んでくれてありがとう。

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