第35話 わたし、パンツはいてます

 

 嫁が夢をみたようだ。

 わたしがパンツをはかずに出かけてしまい、嫁がわたしのパンツを片手に持って追いかけるという夢だったそうだ。嫁は夢の中で必死にわたしを追いかけたそうだ。しかしわたしはパンツをはかないまま逃げた。嫁は夢の中で叫んだ「お願い、パンツはいて!!!!」


 嫁の目覚めは最悪だった。

 普段明るい嫁も、今朝は本当に不機嫌だ。

 起きるなり、わたしにこう言った。

「ねえ、なんでパンツはかないの!」

 

 わたしははいている。どんな夢を見ようが勝手だが、夢と現実を混同しないでもらいたい。


 嫁の機嫌は一日中悪かった。

 何度も「パンツはいてね。」

 と言われた。


 わたしは、今までもパンツをきちんとはいてきたし、今もはいている。そしてこれからもパンツをはき続けるのである。


 その日の夜、わたしは風呂に入るときに思った。

 パンツぬいでいいんだっけ……?


 いいのである。

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