第28話 子供に見つめられる


 嫁はよく子供に見つめられる。

 三歳くらいの子供が走りよって来て、嫁をじーっと見つめて走り去る。

 お母さんに抱っこされた赤ちゃんが、後ろにいる嫁を見つめる。


 赤ちゃんはだいたい人を見つめるものだが、嫁を見つめるときの赤ちゃんの目は、嫁に何かを話しかけているように見える。

 きっとこう話しているのだとわたしは推測する。


「ねーあんたさー、体は大人だけどさー中身は子供だろー、だから仲間だよねー。」


 とにかく嫁は子供に見つめられることが多いのである。


 あれ……今わたしの目の前で、お母さんに抱っこされているこの子、わたしを見つめている。


「ねーあんたもさー中身は子供だろー。」

 

 実は……その通りです。

 嫁とわたしは、子供心を忘れていません。

 ていうか、子供そのものかもしれない。


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