下剋上

非リア充兼復讐の鬼

第1話

 女装癖がある友人、高城勇司は小説を書く事が好きな男だった。怠惰なオレ達が雑誌を読んだりゲームをして遊んでいた頃、勇司は黙々と小説を書いていた。

 その後、勇司は高校生で作家デビューを果たし瞬く間にベストセラー作家…と呼ばれる作家になりオレ達を驚かせた。







「…まさかあいつがベストセラー作家になるなんてな…」

 同窓会が行われている室内。そこで友人に勇司の話をふった美青年、小猫樹利也はそのあどけなさが残る顔にある目を細めた。

「そうだな」その時、酒を飲んでいた樹利也の友人はハイボールを飲むとそう言い樹利也と昔話をし始めた。

 ほどなくして昔話に花を咲かせた樹利也達はアイツがベストセラー作家になれるんだからオレ達だって…と言い以前から考えていたベンチャービジネスを友人たちとし始めた。

 数ヵ月後、樹利也達が始めたビジネスは大失敗をし樹利也達に莫大な借金を背負わせた。

 それから借金を返す手立てを考え始めた樹利也達はベストセラー作家になり多忙を理由に同窓会に来なかった勇司にカネを借りる為、勇司が住み続けている家に足を運んだ。




「…懐かしい…」

 勇司が住み続けている家の前。そこでその目を細めた樹利也は刹那、用件を思い出した。

「いますように…」祈るような気持ちで押したインターホンはピンポーン…と言う平凡な音を立てて鳴った。

 ほどなくしてインターホンから勇司のどちら様ですか?と言う声が聞こえて来た。

「オレだよ」

「…樹利也?」

「そう」樹利也はその顔を綻ばせた。

「いい時に来たね」勇司はそう言うとその顔を綻ばせた。

 それから玄関に向かい玄関の鍵と扉を開けた勇司は樹利也達と再会し室内に招き入れた。

「今日〆切だったんだ。結構ヤバかったけどなんとか間に合わせる事が出来て…」

 明るい勇司とは対照的に暗い表情の樹利也達の様子に勘のイイ勇司はすぐに気付いた。

「何かあった?」

「実は…」

 それからベンチャービジネスをし失敗した事、莫大な借金を少しでも何とかする為、勇司に会いに来た事を話した樹利也はカネの話をしたとたん勇司の目の色が変わるのを見過ごさなかった。

 やっぱダメか…。

 樹利也がそう思った刹那、勇司がその口を開いた。

「貸してあげてもいいけど」

「「エッ」」樹利也達の言葉がシンクロする。

「条件がある」

「ナニ?」

 それから勇司の口から出た言葉にオレ達は言葉を失った。

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