作者が、文章を綴ることについての思いを自由に書き留め、さらりと次の話へ繋がっていく。書いては消し、また書いて……まさにブラックボードのように伸び伸びと自由な雰囲気の作品です。
創作論というものをじっくり読むのが少し苦手な私。少しでも押し付けがましい空気があると、それぞれが思うような書き方でいいじゃないか……という気持ちが湧き、そこから先を読む気を失ってしまいます。
けれど、この作品には、そんな上から押し付けるような気配は一切ありません。作者が呼吸をするような、自然で自由な思い。読み手も、そんな空気に心を解し、素直に頷くことができます。
文章を綴ること。物語を紡ぐこと。そのことへの作者の愛情と熱意が篭りつつも、穏やかで優しい。そんな素敵な作品です。