第11話

お茶のあと、女王さまは、「宝物」の部屋にやってきました。みーちゃんとフィーもいっしょです。


「ここなら、ひょっとしてありそうね。」


女王さまは、言いました。

その部屋は、女王様や家来のねずみたちが、道ばたで見つけては持ち帰ってきた、「すてきなもの」が、床の上に所狭しと置かれていました。きらきら光るガラスのちいさな小鳥や、ピンクのチョウチョ結びのリポン、いつかだれかが落とした片方だけの金色のピアス、水色のキャンディ、白い鳩の羽毛、みーちゃんはひとつひとつ、そっと見てまわりました。すると、足もとに、かさりと何かがさわりました。それは、チョコレートの銀紙でした。


「ほほほ、それ、素敵でしょう。」


女王様が拾い上げて言います。


「ほら、匂いをかぐと、チョコレートのいい匂いがするでしょう。それにこれは、とてもカサカサと、良い音がするのよ。」


女王様は、優雅に、銀紙を振りました。たしかに、カサカサと、良い音がしました。


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野ねずみの女王様 カイド @kaid

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