我が息子の目覚め

 

「ん……お! 我が息子が久しぶり元気だ」


 目が覚めると、下半身に何やら違和感を感じた為に確認すると我が息子が元気いっぱいに背伸びをしていた。キングの元では毎日ボロ雑巾の様になっていた為、息子はずっと寝たままであった。


 「多分アレだな、1年ぶり異性と出会ったから息子が長い眠りから起きたんだな、うん。いい事だ」

 「ジンさん!起きて下さい!出稼ぎに行ってた人達が帰ってきました!……ってその体勢どうしたんですか?」


 突然入ってきたシャルロットに驚き、俺は即座に足を組み、上半身をたたみ息子を全力で隠す。


 「あ、いやーこうすると背中が良く伸びるんだよねー!アハハ」


 自分でも何言ってるか分からんが、とりあえずコレでセーフだろ。


 「ん?……あ! 別に気にしなくて良いですよ!男性なら誰だって朝は立つって事ぐらい知ってますから」

 「あ……うん。そうだね」

 「フフ、それとも、アレですか?ジンさん短小?」

 「え!いや、あの、えっと…」

 「あ!すいません、いきなり失礼でしたね。でも、安心してください、私は短小でも大丈夫です!……ん?なんかこれだと意味が違う気が?まぁいっか!じゃあ、とりあえずスッキリしたら外来てくださいね、門が重くて開かないですよ!」

 「うん、分かった」


 シャルロットは颯爽と去って行った。そして、我が息子はいつのまにか穏やかになっていた。色々とツッコミたい事を言っていたが、まぁ、別にいいか。


 ◇◇◇


 外に出ると、朝から大勢の人が石門を開けようと大勢で門を押していたので、俺もそれに加勢して一緒に押した。


 「フンッ!!!」


 石門はピクリとも動かなかった。まるで壁の様に。


 「開きませんねー。どうしましょう?」

 「んー、まぁ、とりあえず、一旦壊すか」

 「そうですね!」


 シャルロットが皆に呼びかけて石門から離れて、扉の外にいる人たちも横に移動して貰う。


 【風刃】


 風の刃で石門を破壊したつまりだったが、傷一つついてない。うん、硬すぎ

 空間魔法からカラドボルグを取り出し、石門を切り裂く。こちらに倒れてきた石門を更に切り裂く。地面にめり込んだ石門の破片をみると、なんかムカついたので更に切り裂いた。


 「あの、ジンさん? だ、大丈夫ですか?」

 「えっ?あ〜、うん。もう大丈夫」


 周囲の目線が集まっている事に気づき、石門如きにキレた自分が恥ずかしくなった。


 「おお、君が、この壁を築いてくれたのか。助かるよ」


 外から出稼ぎに出ていた人達が入ってくる、8人の男達で、皆歴戦の戦士の様な姿をしている。


 「あ、どうも」


 手を差し出されたので、拍手する。


 「あ、ジンさん。手、洗ってます?」


 おい、やめろ。俺はしてないぞ!


 「ん?手がどうかしたのか?」

 「いや、なんでもないです!気にしないで下さい」

 「そうか。まぁ、よろしくな」

 「あ、ハイ」


 8人の男達は大量の荷物を馬車に乗せており、その荷物を村人に配布を始めた。そんな中、シャルロットが俺のところによって来た。


 「あの〜、ジンさん。こんな事言うのなんですけど、貯めるのは身体に良くないですよ」

 「ん?なんの話?……ってあれか」

 「あ! 出す場所を探してるんでしたら、そこら辺にして土を被せたらいいですよ!」


 んー、さっきからこの子は何を言ってるんだろ。やめてほしいな。こっちは一年そう言う事を忘れていたんだから。よし


 「あのさ、そう言う事は」

 「ふうじん!!」

 「しゅるしゅるしゅる〜!どーん!」


 村の子供が俺の真似をして風刃ごっこなるモノをして来た。それは一人が風刃と言い、もう一人が風の刃の役になり対象物に体当たりすると言う実に子供っぽい遊びである。普通ならば軽くやられたフリでもして付き合うものだが、それは現在俺に最悪の事態を招いたのである。


 現在、俺は地面に仰向けに倒れている。

 現在、俺の上にはシャルロットが乗っている。

 現在、俺の息子の位置に異性が乗っている。

 現在、俺の息子は元気いっぱいに起立している。

 もう一度言う、起・立・しているのだ!


 「あ、あ、ジ、ジンさん、あ、あの」

 「何も言わないで……」

 「ハイ」


 シャルロットは顔を真っ赤に染めており、俺は顔を真っ青にしている。そこに、純粋な子供が更に現状を悪くしに来る。


 「シャルロット姉ーちゃんも倒れてよー!」


 子供が俺の上に乗っているシャルロットを激しく、それはもう激しく揺さぶる。


 「あッ、だめ。今、動かすとジンさんが」

 「っ!」


 あ〜あ。もぅ、しーらね。俺は悪くねーし。


 溜まりに溜まった火薬が爆発し、銃砲身を通り発射される。発射した弾丸は下着を通過して、ズボンも通過してジワーと侵略範囲を広げ始める。


 「なんか変な匂いするー」

 「き、気のせい!気のせい!さ、友達と遊んでおいで!」

 「そうするー!」


 無邪気な破壊者は颯爽とこの場を去って行った。

そして、残ったのは誤魔化すことを諦めた男となんとかこの現実を誤魔化そうと粘る女の二人であった

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異世界転移 独楽屋敷 @loto1

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