project1.ダンジョン再建化計画

 気がつくと、いかにも堅牢そうな洞窟が眼下に広がっていた。


「こっちよ」


 って!? 後ろに先程の美少女、アイラがいたようで、目の前の洞窟に入れと手招きしている。

 中は、円形の空間が広がっており、中央には受付と書かれた貧相なカウンターがある。どこもかしこもボロボロで、営業しているのかさえ怪しく感じる。

 アイラ自身も、ため息をついているあたり、現状を理解しているのだろう。


「受付がいないわよ? また業務放棄?」


 じゃなくて、受付が不在なことにため息をついていたようだ。


「とりあえず、ショウ。あなた、ダンジョンの視察する?」

「いきなり俺に話振る!? ってまって。その前になんで俺の名前知ってるの?」

「だって、学校で私を観察していたじゃない。そんなの、調べるわよ」


 恥ずかしい・・・。もう何も聞きたくない。


「で、視察する?」

「は、はい」


「まずは、地下一階層。このダンジョンは地下にのびてるから、覚えておいてちょうだいね」


 と、進んでいくと、先程の惨状とは打って変わって、なんとなくよくアニメで見ているみたいなダンジョンが出現する。

 中は割とまともなんだな。


「地下一階層。ミノタウロスよ」

「え!? はやくない? ダンジョンにミノタウロスと出会うのは間違っているのではないだろうか?」

「どこかで聞いたようなこと言わないでくれない? 訴えられるわよ 」


 だって、ミノタウロスってなかなかの強敵だよね? あのファイア○ルトでも倒すの苦戦してたしね。


「で、俺の能力はなんだ?」

「ノーマルよ」

「もっと、ウィザードとかかっこよくできないのか?」

「それは、役職よ。それに、レアリティでいけばノーマルなんて普通いないわよ」


 ふっ。っと馬鹿にしたような笑みを浮かべるアイラに腹が立ってくる。


「大丈夫よ。きっとあなたの想像しているミノタウロスじゃないわ」


「あ、アイラ様」


 ロリ声が聞こえてくる。冒険者だろうか?


「ミノちゃん! あれからお客さんは何人きた?」

「0人です」


 もう、お察しだろう。黒い髪の毛に、牛のような角を生やしたロリがいる。

 さあ、これは人によっては難易度高いぞ。


「ミノタウロスって君?」

「そうです!」


 えっへんと胸をはっているようだが。小ささを強調してしまうという残念な結果になってしまった。


「見たところ強くなさそうだが」

「・・・。先代のミノタウロス様が逃亡されてしまいまして・・・」


 は? なにここ。そんなやばいところなの?  確かにダンジョンって牢獄らしいけど・・・。


「もういい。地上に引き返そう」

「いいの? ショウ」


 という訳で地上に戻ってきた。このおそまつさ。一流のダンジョンだ。さて、どう変えてくれよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

美少女だらけの異世界ダンジョン再建計画 KACLA −カクラ− @kacla

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ