美少女だらけの異世界ダンジョン再建計画

KACLA −カクラ−

episode0.プロローグ

 太陽の日差しが照り付けるお昼ごろ。俺は、アイラの善良なるパシリとして、胸を張ってお天道様の下を歩く。見渡せば美少女。なんてこの世界は天国なのだろう。転生してよかったと心底思う。

 ことの発端は、昨日。学校の屋上から日課の、学校1の美少女、柚木アイラを望遠鏡で観察していた時のことだ。授業をサボって校庭にいるアイラを眺めていたのだが、望遠鏡越しに目が合ってしまったのだ。

 4階建ての校舎の屋上にいる俺と校庭にいるアイラと目があったことには驚いたが、誰だか分からないと思って臆せず覗いていた。

 一瞬だったんだ。姿が見えないと思ったらアイラが俺の背後にいた。


「ねえ、私のこと見てたよね?」


 冷たい声で話しかけられて・・・。なんか興奮した。

 だから、こう答えたんだ。


「俺になにか用ですか? お嬢さん」


 きっとさらに冷たい言葉で罵ってくれる。そう思ってた・・・。


「お、お嬢さん!? あなた女扱いうまいのね」

「は!? 頭ファ!?」

「決めたわ。あなた、現世を捨てなさい」


 彼女は、嬉しそうにニコニコしている。もしかして、作り笑いとかその類じゃ・・・。でも、現世を捨てなさいなんて・・・。俺は、怖かった。しかし、漢である俺は臆せず聞く。


「怒った?」


 一応自己防衛のために、腕をシュッシュとボクシングのように動かしながら。


「怒ってないよ」

「怒った?」

「怒ってないよ」


 なんだかどこかで見たことあるやり取りを二回ほどしたころ。


「異世界に興味はない?」


 と、これまた笑顔で聞かれた。もちろん興味はあるが、相手が何を意図してこの質問をしているのか見当がつかない。


「突然どうしたの?」


 当然、俺はそう切り返す。別に煽っているわけではない。至極当然の言葉だ。


「実は、私異世界からきたの」

「は!? 頭ファッ!?」

「そんなこと言わないでよ。私だって勇気を出して告白しているんだから」

「こ・・・告白!?」


 その言葉を聞いた途端俺は頭が真っ白になった。生まれて17年。一度として女にモテたことのないこの俺が。告白!?


「違うっ! で、異世界来るの? こないの?」


 目の大きい端正な顔立ちの美少女に、よくわからないことを聞かれているが、現実世界に満足していない俺は、行くことにした。


「でも、条件があるの。ダンジョンを再建してくれないかしら?」

「ふぁ?」

「だからね、私たちの世界だとダンジョンって勇者の練習施設なの。でも、最近別の練習場ができちゃって、人が来ないのよ。このままだとダンジョンに住んでる私たちの居場所がなくなっちゃうの・・・」


 もしこれが本当だったら面白そうだ。ぜひ、参加したいものだ。だから、迷わず答える。


「行きます!!」


 次の瞬間、あぐらをかいた体が宙に・・・。おっと、どこかのカルトとは関係ないぞ。思いついた奴不謹慎な!

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