テスト100点の秘密
夢宮らて
第1話
「今回も100点だね!」
「うん。次も頑張ろうね」
「もちろん! あ、でさ、ここの問題なんだけど……」
2人で100点を取る。
私はしおりに向けて言う。
しおりは控えめな笑顔になって、話を続け、私はそれに乗る。
そして、次のテストに備える。
それがいつも。
朝、私・
でも、どこか懐かしい。何度も見たことがあるような……。
しおり。しおりの部屋だ。
最近は私の家に来るどころか放課後遊ぶ事さえ少なくなり、2学期からは一度も遊んでいないけれど、記憶はまだ鮮明に残っている。
しおりの部屋は、小1から小4まで、私が毎日のように行って遊んでいた場所だ。
しおりは嫌な顔ひとつせず、私を出迎え、笑顔で遊んでいた。
……それも、もう7ヶ月以上昔の事になってしまった。
また遊びたいなぁ……。
そう思った直後、私の――いや、しおりの――部屋のドアが勢いよく開けられた。
「しおり、なにぐずぐずしてんだ。まだ金曜日だ」
……この人、誰だっけ。しおりの家族…………。
あ。
「
「は?」
翔龍さんは、呆れたと言うように嫌そうな顔をした。
しおりの家に遊びに行った時、すごく優しくしてくれて、今でも感謝している人だ。
「なんだよ、名前呼びなんて失礼な」
……これ、ちゃんと言った方が良いかな?
「あの、私、さっき起きたらしおりの部屋に居たんです。しおりの姿は見当たらなくて……」
「……そのしゃべり方、……相野りら……?」
「はい!!」
ちょっと説明しただけでフルネームが出るなんて、さすが翔龍さんだ。
「でも、俺にはしおりにしか見えないけど……」
どういう事?
私はおそるおそる鏡を見た。
そこに映っているのは、紛れもなくしおり……。
「うっそぉーーーー!!??」
「う、うるさい」
あ、すみませんでした……。
「とりあえず、事情聴取はながらで。時間ないし」
翔龍さんはそう言って、リビングに行った。
さすが私立中学生徒。私がしおりの家に何度も行っているから間取りぐらいは覚えている、と分かっている。
私も、すぐにリビングへ足を運んだ。
テスト100点の秘密 夢宮らて @yumemiyarate1yumesizuku
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