第7話 星の導きそして別れ

俺と彩音が星に選ばれた?

ちょっとなに言ってるかわかんねぇな。


星の導き…それって結局なんなの?



翔太なら分かりますよね。

私の名前を聞いてたら顔色が変わりましたし

多分もう私の事理解してるんでしょうね。


あぁ。

あんたは神話の時代に存在してた神だ。

パラス…あんたはアテナの友人だろ?

でもそれだけじゃあ俺や彩音を十二星座が選んだ理由にはならない。

黄道12星座は太陽の周りにある星座だ。

もし選ぶとしたら太陽神アポロが選ぶはずだ

あんたが選べるわけが無い。



そうです…私では選べません。

だから星の導きなのです。

この12星座は意識を持っています。

特に獅子座はリーダーシップ

牡羊座座は勇敢な行動を取れる星座の2つです。

その2つの星座に選ばれたのです。


よくわからないですけどその2つが私たちの手の甲に現れたってことはなにかあるんですか?


えぇ。もちろんありますよ。

ですが今のあなた方にお話しする事はまだ出来ません。


な、なんでだよ!


心の整理が必要だからです。


そう言ってパラスは消えた。


2人は起きて。

今起きた事を明確に思い出し。

そして話し合った。


話してるうちに翔太は涙を我慢できなくなっていた。

親友を亡くし母も亡くした自分に妹の彩音が生きていた事に心底感謝をしていた。


本当に彩音だけでも生きててくれてよかった

もし彩音まで死んでたら僕は独りぼっちだったよ。


…あのねお兄ちゃん。

私が生きていたのはお母さんのおかげなんだよ。

お母さんも悟ってたのかもしれない。

このお家が崩れるって。

だからね?

地震が起きた時お母さんが咄嗟に私の背中を押して庭に出してくれたの。

その時に翔太と必死に《生きて》って…

これがお母さんから言われた最後の…


最後の言葉と言いかけた彩音だったが突然の母の死によって不安感に狩られ自分の兄が生きているという安心感に狩られて、彩音は嬉しさと悲しさで胸いっぱいになっていた。


彩音…。


その事を悟ったであろう翔太はそっと彩音を抱きしめた。

その温もりを感じながら彩音は今まで溜め込んでいた悲しみを解き放つ様に泣いた。


泣いた後は彩音はぐっすり寝てしまった。

どれだけ不安だったんだろう。

母が死に僕は康太のいる街にいた。

彩音からしたらそれはもう悪夢と言うより地獄だ。

そんな思いをさせてしまった僕は最低だ。と

自分で呪った。

更には自分と同じ紋章が刻まれた事も気になっていた。


彩音…お前が残ってくれたんだ…。

僕は君を失いたくない。

だから死んでも大切な妹を守ってみせるよ。


そう呟いて僕は眠りについた。


翌日から始まる

新たな試練がある事はこの時誰も予想してなかった。


翔太はまた夢を見た。


しょ…う…た…しょう…た…


ん…なんだろう?

誰かに呼ばれてる気がする…。


翔太は誰か呼ばれて返事をしたいが起き上がれない。

だが幸い目は開けられるので目を開けてみるとそこには母親の姿があった。


え?か、母さん…なんで…。


え?なんでってなんで?


だって…母さん瓦礫に埋もれて死んじゃったじゃん…。

なのになんで生きてるんだよ…。


……翔太に会えないで死んだ事が心残りで多分残っちまったんだろうね。

そういえば彩音は無事だった?


そっか…うん。無事だよ。母さんが背中を押してくれなかったらきっと彩音も死んじゃってた。本当にありがとう。

そしてごめんなさい。

母さんの言うことちゃんと聞いていればもしかしたら母さんも死なないで済んだのかもしれないのに。


ううん。気にしてないわ。

だって翔太や彩音が…私の大事な息子と娘が生きてたんですもの…そりゃあ後悔だってあるけど、でも生きててくれることが私にとっては幸せで自慢なの。

もし、あの時2人のうちどっちか死んじゃってたとしたら私の方が後悔して、おかしくなるわよ。


そっかぁ…。


さて、翔太とも会えたし私はこれで満足。

だからもうそろそろ逝くわ。


え…彩音には会わなくていいの?


んーん。さっき会ったの。

今はパラスの所にいるわ。


え?母さんなんでパラスの事を知ってるんだ?


あれ?言ってなかったっけ?

私も一度紋章を与えられてたのよ。

でもそれが何年か前…そうねぇ。

翔太が生まれる2年くらい前かなぁ〜。

突然無くなっちゃったの。

あら?翔太の紋章は…星座なのね。

私は植物…花の紋章だったわ。


そうなんだ。

パラスは母さんの所にもいたんだね。


えぇ。

さぁ彩音が待ってるわ。

早くパラスの所へ行きなさい。


うん。

あ、母さん。


ん?なに翔太?


返事をした母親に翔太は抱き着いた。

抱きついて言いたかった事を母親に言った。


《母さん…僕のことを産んでくれてありがとう。彩音の事を産んでくれてありがとう。僕の事をここまで育ててくれてありがとう…彩音を守ってくれてありがとう…。僕たち家族を愛してくれて…本当にありがとう。》


うん…。


母親は涙を流しながら返事をしていた。


さぁ。行きなさい。

そして私の分まで2人で協力して生きて!

私はいつまでも貴方たちを見守ってます。


うん、行ってくるね!

さようなら…。


そう呟いて僕は歩いて行った。


うん…頑張ってね。

あなた方をここまでまだ愛せて本当に良かった。

あー。幸せだった。

出来ることなら子どもたちの結婚式とか見なかったなぁ…えへへ。


さよなら…翔太…彩音…私の愛する子どもたち。


そう言って母は姿を消した。

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夢の中に降りた一つの星 @takuya1997

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