現代から近未来を思い描いて書いてるSF要素を含んだ作品なのに、本当にその時代の中で、あたかも経験者が記した体験談かのように臨場感のある自然な文体です。ただ知識やアイデアを集積させるだけの努力に留まらず、集めた素材をしっかり作者さん自身の中で租借し消化しきったからこそ生み出せたものだと思います。
ここまで構想を煮詰めて推敲された創作姿勢と信念に脱帽です。
場面の描写とは、著者自身が考えた世界観に読者を引き込む上で最も重要な表現技法だと思います。ぜひ、これから小説を書こうとされている方には参考にして頂きたい作品です。