白雲の遺跡 2
重量級のものが、音を立ててゆっくりと遺跡を移動している。
その振動を感じながら、セイルとハイネルは別の意味で体を震わせていた。
振動の主は、セイルたちに襲い掛かって来た、深い焦げ茶色をしたゴーレムだ。数は一体。木材で出来たウッドゴーレムである。
ずいぶんと長い間放置されていたようで、ウッドゴーレムの体には植物の芽や蔦が巻きついていた。だが先ほどのハイネルの攻撃によって、それらは焼け焦げ、歩くたびにハラハラと地面に落下している。
だがウッドゴーレム自体には、さしてダメージは与えられていないようで、その歩みは止まらない。
警戒色と呼ばれる赤色の光を目に灯らせ、その振動に驚いて飛び出て来る大きなネズミのような魔獣を、巨大な腕で薙ぎ払っていた。
「……うわぁ」
セイルは空高く飛んで行くネズミの魔獣を見上げ、呆然とした声を漏らした。それはハイネルも同様で、眼鏡の奥の目を虚ろにしている。
さて、この二人がどこにいるかと言うと。
遺跡を逃げ回っていたセイルとハイネルは、走っている最中に、崩れかけた岩壁の向こうに、小さな部屋を見つけたのだ。
そこへ、ゴーレムの意識がネズミの魔獣に映った隙を見て飛び込んだのである。
何とか隠れられたものの、ウッドゴーレム自体は近くにいるため、生きた心地はしないという表情をしていた。
「ハイネル。あれ、ウッドゴーレムですよね?」
「ええ、そのはずです」
「燃えませんでしたね」
「燃えませんでしたねぇ。……ぐうう、まさかの耐火性のウッドゴーレム……」
ハイネルは悔しげに唸った。
ウッドゴーレムとは、その名前の通り、木材で作られたゴーレムだ。
数あるゴーレム種の中では、その素材からして、最も倒しやすいと言われている。
だが別にウッドゴーレムが弱い、という事ではない。ゴーレム種であるため、ウッドゴーレムもまた頑丈でタフだ。
倒しやすい、というのは、単に弱点が分かりやすく当てやすい、という意味である。
基本的に木は火で燃える。例外はあれど、大体はそうだ。だが、どういう訳か、二人を襲ってきたウッドゴーレムに火は聞かなかった。
「高かったのに……」
ハイネルはしょんぼりと呟いて、鞄の中に手を入れた。
そして中から、先ほど彼がウッドゴーレムに投げたものと、全く同じものを二つ取り出す。
先ほどはそれどころではないので分からなかったが、そのボールの表面には何やら古代語が綴られていた。
セイルは古代語の知識に関してはさほど明るくないので、何が書いてあるのかは分からなかったが、それが何であるかは理解した。
魔法の効果を持つ道具――マジックアイテムだ。
「マジックアイテムですか?」
「ええ、そうですとも! 分かります? 分かります? フッ美しいでしょう? これは火の魔法を宿したもので『火トカゲ』と言う名前のマジックアイテムなのですよ!」
セイルが尋ねた途端に、ハイネルが目を輝かせた。
落ち込んでいた顔はどこへやら、その表情はイキイキとし始める。
「これはですね! 投げてぶつけると炎を纏った爆発を起こすのです。通常の火薬玉と同じサイズで、火薬玉以上の効果を持つすぐれもの。し・か・も、一つ一つに製造番号が決められおり、同じものは二つと存在しいのですよ! どうです、美しいでしょう、素晴らしいでしょう!」
見事なまでの早口かつ饒舌っぷりだ。
セイルが面食らって目を丸くしているのもお構いなしに、ハイネルはマジックアイテムについて語り続ける。
やれ、製造番号がどうとか。
やれ、素材がどうとか。
興味がないわけではないが、その説明を受け止めるための準備がなかったセイルは、口をぱくぱくとしている。
だがしかし、やはりハイネルはおかまいなしだ。
この『火トカゲ』というマジッくアイテムがどれほど素晴らしいのかを、効果を交えて事細かに説明したあとは、発明した魔法使いの生い立ちにまで話が飛びそうになったので、セイルは慌てて制する。
「つ、つまり、素晴らしいマジックアイテムの『火とかげ』は、ぶつけると炎を纏って爆発するんですね。わーすごーい! かっこいー!」
セイルはとりあえず賞賛してみる。
するとハイネルは「そうでしょう、そうでしょう」と満足気味だった。
セイルが若干引き気味で、かつ、かなりわざとらしかったのだが、ハイネルは気にした風でもなく。
とりあえず、存分に語り終えてスッキリしたようで、落ち着いたハイネルは話を戻した。
「残りが二個ですが、効果がないとすると困りましたね。僕の武器はこれしかないのですよ」
「マジですか」
「セイルはどうですか?」
「わたしの武器はこの水音の杖ですが……」
そう言って、セイルは『水音の杖』と呼んだ、音叉のような形の白い杖をハイネルに見せた。
ハイネルはくい、と眼鏡を押し上げ覗き込む。
「ほほう。殴るのですか?」
「いえ、さすがにゴーレムを殴ると折れそうな気がします。元々これは地面を鳴らす為に使うものなので」
「鳴らすとどうなるのですか?」
「水源が見つかります」
「ダウジング……」
そう、ダウジングだ。いざという時便利なような、今は必要ないような。ハイネルはそんな視線をセイルに向けた。
セイルは困ったように笑いながら、ハイネルも似たようなものじゃないかなと思ったが、言葉にしなかった。
それからハイネルはふうと息を吐くと壁に背中を預ける。
「万事休すですね……見つからないように身を隠して、救援が来るのを待ちましょう」
「救援?」
「新人の実技テストの時はですね、あまりに遅くなっても戻ってこない時や、緊急事態に限っては、ギルドから捜索隊が出るのですよ」
「へえ、そうなんですか」
捜索隊の言葉にセイルはほっとした顔で息を吐き、杖をぎゅと抱きしめた。
表情の読めない相手にずっと追いかけられるのは、さすがに怖かったのだろう。
「大丈夫ですよ。もし見つかったとしても、あのウッドゴーレムの動きは遅いですし、落ち着いて逃げていれば何とかなりますから」
セイルの様子を見て気遣うようにハイネルは微笑んだ。
一緒になって涙目で逃げ回っていたハイネルだったが、こういう時はやはり年上らしさが出る。
つられてセイルも笑い返した。
そうして落ち着いたところで、二人は鞄から水筒を取り出し、一口飲んだ。
「さて、攻撃手段がありませんので、今のうちに何か作戦でも考えておきましょうか」
「そうですね。……それにしても、そもそもどうしてゴーレムがああなったかですよね」
「ゴーレムを動かすには何か指示を出す道具を必要とするらしいのですが、それに何か不具合でも出たか、あるいは本体の老朽化か故障で、その指示が受け取れなくなっているかでしょうか。この遺跡に人が住んでいたずっと昔から、ゴーレムはいるみたいですから」
「…………どうにもならない時は、わたしの方にも少し考えがあります」
「ほほう。では、頼りにしていますよ、セイル」
「合点!」
にこりと笑いあう二人の上に、不意に黒い影が掛かった。
和やかだった空間は一瞬にして凍りつき、セイルとハイネルはギギギギと音が鳴りそうな動きで振り返る。
――――隙間から、ウッドゴーレムが覗きこんでいた。
「うわあっ!」
「ひいいっ!」
どうやら話し声が聞こえてしまったようだ。
隙間から腕を伸ばしたウッドゴーレムを間一髪ですり抜けて、セイルとハイネルは部屋を転がるように飛び出す。
ウッドゴーレムは隙間に腕をぶつけ、擦りながら方向を変え、セイルたちを追いかけてくる。
「意外と勘が良いゴーレムですね!」
「勘!? ゴーレムにですか!?」
「それにこれ、もしかしてもしかしなくても、遺跡の隅から隅まで知っているんじゃ!?」
「……そう言えば、ずっとここにいるゴーレムでしたね!」
逃げ道を先導するハイネルについて走りながら、セイルは握った杖の底で地面を叩いた。
ポーン、とピアノの鍵盤のような音の波が生まれる。
音に気付いたハイネルが顔だけで振り返った。
「セイル?」
「すみませんハイネル、ちょっと手を引いてもらっていいですか?」
「良く分かりませんが、分かりました!」
セイルの頼みに一瞬怪訝そうな顔をしたハイネルだったが、緊急事態の為か、特に何も考えずに彼女の手を取った。
ハイネルに手を引かれて走る形になったセイルは、そのまま目を閉じ、杖から響いた音の波に意識を合わせて集中し始める。
――――すると、セイルの周りに、金色の砂のような光がさらさらと集まり始めた。
ハイネルは前を向いているため気が付かない。
走っているにも関わらずついてくる金色の砂は、すうとセイルに吸い込まれていく。
そしてセイルの瞼の裏に、ある光景が映し出され始めた。
走っている為集中が上手く行かないのか、見えてくる光景はジジッと黒い線が入って、粗い。
粗いが、何とか見えた。
それはセイル達がやってくる少し前の遺跡の様子だった。
目に緑色の光を宿したウッドゴーレムが、一人の若い冒険者に手を伸ばしている。
若い冒険者は落ちていた瓦礫に躓いて転び、どこかの回廊の壁に勢い良くぶつかった。
その衝撃で壁が剥がれ、中からは、真ん中に青い卵型の石が付いたずらっとスイッチの並ぶ板が現れる。
スイッチの一つが逆の方向へ変わったと思うと、ウッドゴーレムの目がすうと赤色に染まり――――、
そこでセイルは目を開いた。
「ハイネル、さっき私達が隠れていた部屋、覚えていますか?」
「覚えていますが、それが何か?」
「その近くに、ゴーレムの動作を制御するスイッチみたいなものがあります!」
「はい!?」
ハイネルが目を剥いてセイルを見た。
「どういう事です、先程は何も――――」
「お願いします、ハイネル。理由は後で説明します!」
セイルは真剣な目でハイネルを見た。
ハイネルはぐっと言葉を詰まらせた後、ウッドゴーレムに視線を送り、悩むように目を閉じ、
「――――――いいでしょう!」
ニッと笑って走り出した。
若干青ざめながらもしっかりとハイネルは頷くと、セイルの手を離し、鞄から地図を取り出す。
地図をざっと確認をすると握りしめ、セイルに向かって頷いた。
「こちらです!」
力強いハイネルの声に「はい!」と大きな声で答え、セイルはその背を追う。
二人はウッドゴーレムから距離を取る為、少し遠回りをしつつ走った。
ぜいぜいと息が切れる。息をするたびのどが痛い。
けれど自分で言い出した事だ。泣き言など飲み込んでセイルは走った。
だって、ハイネルは信じてくれたのだ。
理由も説明もなくただ「そこへ行け」と言った自分の言葉を、会ってまだ数時間しか経っていない自分の言葉をハイネルは信じてくれたのだ。
泣き言なんて言っている暇はない。
「見えた!」
セイルとハイネルは全力で走り続けて十数分。
ぐるりと回廊を周って、二人は目的の場所へと辿り着いた。
ちょうど最初にウッドゴーレムを発見した場所の先。
最初に左折するはずだった回廊を真っ直ぐ進んだ場所である。
「こ、ここがそう、ですが……どのあたりですか?」
肩で息をしながらハイネルが尋ねると、セイルは「こちらです」と歩いた。
部屋から歩いて数歩先の回廊の壁に、それはあった。
黒い板だ。
その真ん中に卵型の、青く光る石がはまっていた。
「これが、ゴーレムの制御盤……」
床にはぱらぱらとした瓦礫が落ちており、形から見て恐らくその制御盤のフタだったものだろう。
制御盤の上下には合わせて十のスイッチがあり、中央の青い石からそれぞれに光の線が伸びている。
十のスイッチの内九つは緑色の光だが、一つだけ赤色の光が伸びているものがあった。
線を辿って行くと、スイッチが他と違って下りている。
「これですね」
ハイネルは制御盤に手を伸ばし、カチリと、向きの違うスイッチを上げる。
すると、すうと赤色の光の線は緑へと色を変えた。
セイルとハイネルは顔を見合わせて、両手をぱしりと合わせて笑う。
そのままウッドゴーレムの方を見た。
二人の視線の先でウッドゴーレムがギギギと動きを緩める。
その目が赤色から緑色へと染まり始めた。
二人が「よしっ」とガッツポーズをした。
その、矢先の事だ。
ウッドゴーレムの前に、先程ウッドゴーレムによって吹き飛ばされた、大きなネズミのような魔獣の仲間が数匹現れた。
どうやら仲間を攻撃されて怒っているようだ。
嫌な、予感がした
「…………まさか」
魔獣は「チュー!」と鳴くと、ウッドゴーレムに飛び掛かって行く。
『あ』
セイルとハイネルの声が重なった。
ウッドゴーレムは自身が攻撃をされると、それに反応するようにその大きな腕を振り回し、勢いよく魔獣を吹き飛す。
魔獣は涙のようなものをキラキラと振りまきながら、高く高く弧を描いて空を飛び、遺跡の向こうへ消えて行った。
そしてウッドゴーレムは、
――――目を赤く爛々と光らせている。
「お馬鹿――――ッ!」
「気持ちは分からないでもないけど、何て事してくれちゃったんですか――――ッ!」
緑色になりかけたウッドゴーレムの目は警戒色の赤色に戻る。
そして、再度ドシーン、ドシーンとセイル達を目がけて向かい始めた。
先程のゴーレムの制御盤のスイッチは恐らく正常であろう状態に元に戻した。
ならばあれは正常な状態での警戒色だ。
正常に攻撃行動に出ているのだ。
こうなってしまえば制御盤のスイッチではどうにもならない。
「他に何か……」
「ゴーレム類は外装に大きなダメージを受けると機能を停止すると言われています。でも、僕のマジックアイテムでも駄目だとすると、他に手は……」
「大きなダメージ?」
ハイネルの言葉に何か思いついたようにセイルは辺りを見回す。
すると、セイル達が今いる場所から少し先に、ハイネルが最初にマジックアイテムを投げた場所があった。
見れば石の床には亀裂が入っている。床だけではなく、土の地面の方にもそれは繋がっており、さらにその少し下には川が流れている。
セイルは大きく頷くとハイネルを見上げた。
「ハイネル、あそこを!」
セイルの指さした場所を見たハイネルが目を張る。
ウッドゴーレムをあそこにおびき寄せれば川に落とせるかもしれない。
だが、この高さでは大した衝撃を与える事は出来ないだろう。
「あの程度では恐らく無理ですよ!?」
「大丈夫、わたしに考えがあります!」
「…………分かりました!」
もはやヤケクソである。
制御盤の事を思いついたのもセイルだ。何か考えがあるというのなら、それに乗ってやろうじゃないか。
二人は必死の形相で走り出すと、上手くその場にウッドゴーレムを追い込めるように角度を調整する。
今度は逃げるのではなく、待ちである。
ドシーン、ドシーンと体に響く重い音にセイルとハイネルの顔色は青ざめていた。
「あと少し……もう少し……」
鞄から『火トカゲ』を取り出し手でいじりながら、ハイネルは自分を落ち着けるようにぶつぶつと呟く。
そしてウッドゴーレムがひびわれた石の床に差し掛かった時、
「今だ!」
掛け声と共に『火トカゲ』を投げた。
今度はウッドゴーレムではなく、それが立つ床を狙ってである。
床にぶつかった瞬間、けたたましい音と火柱を上げ『火トカゲ』は爆発する。
同時にピシピシッと何かが崩れる音が聞こえ、次いで重い物が落ちる音と、水しぶきが上がった。
煙が晴れて行くと、川の中にウッドゴーレムが落ちているのが見えた。
だがやはりその程度の衝撃ではゴーレムを停止させるダメージに足りないようで、ウッドゴーレムは直ぐに起き上がった。
「駄目か……!」
「大丈夫です!」
セイルは水音の杖の底で地面を突く。
ポーン、と、まるでピアノの鍵盤を弾いたような音が辺りに響いた。
静かで澄んだ音の波が波紋のように自分の体を通り抜けた事をハイネルは感じて、思わずセイルを見る。
先程聞こえた音と同じだ。
セイルは視線を逸らさず、ウッドゴーレムが川から上がり、崖を登って来るのをじっと待った。
杖を握った手は緊張の汗でじっとりと濡れている。
「――――来た」
頭から足の先までずぶ濡れのウッドゴーレムの目は、相変わらず警戒色の赤が爛々と光っている。
ずるり、ずるりと、崖を上がると、地面に水溜まりを作りながらゆっくりと、セイルとハイネルに一直線に向かって来る。
身構えるハイネルの隣で、セイルは杖の先をウッドゴーレムに向けた。
「行きます」
するとセイルの体から金色の砂のような光が現れた。
そしてそれはセイルの杖の先に向かってさらさらと集まり始める。
「"ログティア"セイル・ヴェルスより、ウッドゴーレムへ。ログの名は"太陽"――――照らし、熱せよ。衣よ乾け!」
ゴーレムが回廊まで登りきった時だ。
セイルが言葉を言い終えると、金色の砂がウッドゴーレムに向かって飛び、その頭上で弾ける。
その瞬間、熱を伴った強い光がウッドゴーレムに降り注ぐ。
あまりの眩しさにハイネルは反射的に腕で顔を隠した。セイルも同様だ。
その眩しさの向こう側で、じゅわっと、水が蒸発する音が聞こえた。
光は数十秒で収まり、恐る恐る腕を下ろしたセイルとハイネルの視線の先には、体から湯気を立てたウッドゴーレムが立っている。
ウッドゴーレムはまだ動かない。
ごくりと喉を鳴らした瞬間、その大きな足に、ピシリ、と亀裂が入るのがはっきりと見えた。
「ハイネル!」
「くらいなさい!」
セイルがハイネルの名を呼んだとほぼ同時だ。
ハイネルは鞄から最後の『火トカゲ』を取り出すと、ウッドゴーレムに向かって思い切り投げつけた。
ドオンと激しい音を立てて『火トカゲ』は爆発する。
セイルとハイネルは煙から身を守るように体を低くした。
「…………どうだ?」
ゆっくりと煙が晴れて行く。
そこには変わらずウッドゴーレムが立っていた。
ごくりと喉が鳴る。
すると、足に入った亀裂からピシピシと小さな亀裂が広がり始めるのが見えた。
祈るように二人が見つめている二人の耳にバキッと音がしたが届いたかと思うと、ウッドゴーレムは膝をつき、地面へと倒れ込んだ。
しばらくその大きな腕をを動かしていたが、やがて目から光を消し、動かなくなった。
「か、勝った……」
倒れたウッドゴーレムを見て緊張の糸が切れたのか、セイルとハイネルはへなへなとへたり込む。
走って出た汗とは別の汗がドッと出てきた。
「うわ、汗でびしょびしょですよ。ああ、死ぬかと思った……」
「あー上手く行って良かったぁ……」
両手をつくと、ぽたぽたと汗が落ちた。
「それにしても良く思いつきましたね、アレ」
「やー、ははは。うちの近所に住んでいる大工のおじさんが、前にあんな事言っていたなぁって」
セイルとハイネルは「ははは」とお互いに笑いあうと、倒れたウッドゴーレムを見て大きく息を吐いた。
「ログティアだったのですね」
「はい。黙っていてすみません」
「いえ、助かりました」
セイルとハイネルは動けるようになるまで休憩すると立ち上がる。
ウッドゴーレムを気にしながらも、一先ずは白雲の花の採取が先だと、遺跡の一番奥にある白雲の花の群生地へと向かって歩き出した。
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