第45話 一次通過って簡単なの?

 ここ最近、気づいたら月末。気づいたらエッセイ書いてない。の繰り返しをしているえーきちです。皆さまいかがおすごしでしょうか?

 今年も早、六分の一が終わりました。

 時の流れの速さについて行けません。

「Rockersはジュークボックスレースで、ジュークボックスにコインを入れ、それと同時に表にかけ出てバイクにエンジンをかけカフェ前のノース・サーキュラー・ロードを通りの南に下った所にある ローターリーを回り、どれだけ早く曲が終わる前に帰ってくるかを競ったんだぜ」なんて言いながらバイクで風を切っていた頃(交通違反はダメよ)が懐かしいです。知らんがな。その速さとちゃうし!

 時の流れが時速ぬゆわkmでかっ飛んでいる気がします。



 *    *    *


 さて、今月は何をやっていたんだろう? と思い返してみても、執筆か推敲かTwitter(これが無駄)くらいしか思い浮かびません。

 無駄に時間を浪費しているウチに、次から次へと周りが受賞&入賞していくんですよね。

 Twitterが創作クラスタなので、余計にそう感じるのかもしれません。

 一月あれば、本当に毎週のように「受賞しました」とか「○次通過しました」とかTLで見る事ができます。

 嘘ではありません。Twitterをやっていると本当にしょっちゅう見ます。

 あまりにも見すぎて「あれ? もしかして選考通過とか小説賞受賞とかって簡単なんちゃう?」などという考えが浮かんできてしまうくらいです。

「兄ちゃん、なんでこんなに片っ端から受賞していくん?」

 思わず兄ちゃんに聞いてしまいたくなります。


 では、果たして選考通過は本当に簡単なのか?

 毎回どこへ出しても選考通過する人がいます。逆に、どこへ出しても通過できない人もいます。

 何年公募活動しても入賞なんて遙か彼方。かと思えば、ぽっと出の作家さんが受賞をかっさらっていってしまったり。

 年功序列なんてありません。必要なのは実力と運です。

 公募には魔物が住んでいるんじゃないかなんて思う時もあります。


 私の娘が以前本気でピアノを学んでいた事もあり、それにちなんで「小説賞の一次選考通過って、ピアノで言う地区予選みたいなもんでしょ?」なんて言われた事があります。それって、本当にそうでしょうか?

 カクヨムなど小説投稿サイトで活動していれば当たり前の事なのですが、長編小説を完結させるのは本来誰にでもできる事ではありません。

 小説は完結させただけで予選通過と言えるのでは……ちょっと待ってください。

 ピアノだって誰でも弾けるものではありません。

 私はギターをやっていましたがピアノはからっきしです。家にグランドピアノがあるのに、です。

 せっかくピアノもある事だしと、娘が四歳の時に発表会で弾いた『きらきらぼし』を練習してみました。

 なんとか弾けるようになりましたが、娘が四歳の時ですからね、四歳。

 それ以降に弾いた曲なんか、練習する気もおきませんでした。

 ということは、小説を完結させるのも、ピアノを一曲弾くのも、誰にもできる事ではない、という結論に達します。

 ならばやっぱり、一次選考は地区予選なのか?

 ここにひとつ、小説賞とピアノコンクールの決定的な違いが存在するのです。


 その違いを説明するには、まずピアノのコンクールとはどんなものなのかを説明しなければなりません。

 ピアノのコンクールはどのコンクールでも年齢に応じた部門が設定されています。

 しかし、コンクールによっては自分の年齢以上の部門に出場する事ができます。しかし逆にその年齢以下のコンクールには絶対に出る事はできません。

 部門が上がれば上がるほど、そのコンクールで入賞するのは難しくなり、年齢制限のない部門での入賞はプロに最も近いコンクールとなるわけです。

 ショパコンはまただいぶ違いますけど。

 極端な話、小学校一年生でも年齢制限のないコンクールに出場できます。

 ははは、そんなバカななんて思う方もいると思いますが、実際に小学生で特級グランプリも珍しくありません。

 これがピアノコンクールの世界です。

 ここまで聞けば、公募に挑戦されている作家様なら違いがわかったと思います。

 その違いこそが、公募が難しいと言える証拠となるわけです。


 簡潔に言ってしまえば、通常のピアノコンクールにプロは出場しません。

 出場する意味がないからです。

 中にはショパコンのように、プロが出場するようなコンクールもありますが、一般的なコンクールにおいてプロが参加する事はありません。

 コンクールとは名を売る手段だからです。プロとアマチュアが競う事はまずありません。

 しかし、小説賞は違います。

 新人賞でプロ不可の規定がない限り、どんな小説賞にもプロが参加します。

 当たり前のようにプロが受賞をかっさらっていきます。

 小説賞参加者は、その商業作家様たちを押しのけて入賞しなければなりません。

 商業作家様たちは、出版社の担当がついて実際に自分の作品を世に出している方々です。ノウハウが違います。出版サイドの正直な意見も聞く事ができます。

 そこと戦わなければいけない小説賞の選考通過が、ピアノコンクールの選考通過と同じわけがない。

 私はそう断言します。

 小説賞はプロの作家様も落選する世界です。

 周りが選考通過しようが入賞しようが、間違っても簡単な世界ではありません。


 と、そうでも思いながら書かないと心が折れそうになってくるので。

 小説を完結させて、公募に出している作家様たちは凄いんだぞ、と声を大にして言いたいのです。



 *    *    *


 ね、これは応募数の多さなんて関係ないと思うのです。

 もちろんネット小説大賞とかカクコンとか、ン千ン万作の入賞なんて気が遠くなる話ですけど、児童向け文庫のように少ない応募数であっても簡単になんて選考通過も入賞もできないんですよ。


 と、小説賞の難しさを書いたところで……

「赤いきつね」「緑のたぬき」幸せしみるショートストーリーコンテストで薮坂様が緑のたぬき物語賞を受賞しました!

 応募作品数1,309作品中のトップ2作品の一作です。

 短編だから簡単、なんて事は絶対にないですからね。

 1,309作品の中の一作になんて普通なれませんからね。

 ちなみに赤いきつね物語賞受賞者は商業作家様です。

 薮坂様、おめでとうございます!


『その警察官は、緑のたぬきが食べられない。』

https://kakuyomu.jp/works/16816700429170786354


 読まれていない方は是非読んでみてください。


 私も負けていられないなー、なんていつも思っているんですけどね。

 簡単じゃないんですよ、簡単じゃ。

 それではまた来月!

 

 

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