第44話 ルールは破るためにある、訳ではない

 〆切です!

 カクコン期間もいよいよ読者選考を残すのみとなりました。

 みなさん、完結しましたか? いや、完結していなくてもいいのか。二月七日までが読者選考だから、それまでに完結すれば。

 募集要項は『〆切までに十万文字以上であること』ですしね。

 私は短編賞ですから『〆切までに一万文字以内で作品が完結していること』です。

 取りあえず、無事一作、短編賞に投げることができたえーきちです。

 皆さまいかがお過ごしでしょうか?

 カクコン〆切の本日一月三十一日、実は集英社みらい文庫大賞の〆切でもありました。

 しかし、カクコンは二十三時五十九分まで。要するに今日いっぱいなのですが、みらい文庫の〆切はWEB応募は十三時〆切でした。

 ハッキリ言って、何でそんな時間を〆切にしたのか。仕事をしている人からすれば、実質〆切は昨日です。

 そのせいで、とんでもない目にあった男がいました。

 そんな彼の証言を聞いてみましょう。



 *    *    *


 みらい文庫大賞の作品はもう一作応募してあるんです。それで、某小説賞に落選した作品を改稿してみらい文庫に出そうと思っていました。

 カクコンの短編賞に一作書くと公言してしまったため、まずはそっちを完成させてからの改稿です。

 問題は27行×40文字で80枚だった作品を27行×40文字で70枚にしなければいけません。

 みらい文庫の体裁は児童向け文庫の中で一番ページ数が少ないんです。

 そして、昨日の十一時くらいに改稿が終わりました。

 ここ最近はどこの小説賞へもWEB応募していたので、今回ももちろんWEB応募するつもりでした。ここで、事件が発生します。


 さあ、送ろうとみらい文庫大賞の要綱を読んだら……

 なんと文字数オーバー!


 みらい文庫の書式で70枚以内をクリアしているのに、テキストデータ入稿の上限は五万文字でした。その時点で私の作品は四千文字オーバー。


 詰んだ……

 今から四千文字削るなんて絶対無理や。


 しかし、テキストデータ以外にも応募方法はありました。それはWordデータです。なんとWordデータだと書式を設定すればみらい文庫の体裁で70枚までOKでした。


 ところが、私のパソコンにはWordが入っていなーい!!


 私は考えました。Wordがないなら互換性のあるフリーソフトでやればいいんじゃないか、と。すぐにネットを探します。

 どれがいいのかもよくわからずに、取りあえずWordっぽいソフトをダウンロードして書式を設定しました。

 しかし、使いなれていないせいか、はたまたフリーソフトがクソなのか、いくら書式を設定してもまともに設定できません。(28行で設定しているのに、プレビューで見ると26行しかないとか)

 この時点で十一時半が過ぎてます。

 ちなみにまだ風呂に入っていません。


「アカーン! 絶対ムリや! こんなソフトで保存したファイルなんて信用できん!」と、ブチギレました。


 もう、最終手段です。

 WEB応募は諦めて、郵送応募にしよう。そうしよう。

 最初のページに本名やプロフィール詳細、2ページ目にあらすじ、3ページ目から本文で27行×40文字で70枚まで。

 WEB応募は三十一日の十三時までだけど、郵送応募は三十一日の当日消印有効。

 いける、これなら大丈夫だと、久しぶりにプリンターを起動!


 プリンタのディスプレイに『ライトシアンのインクが残り少ないです』の文字。


 枚数は70枚くらいだ。なんとか最後まで印刷できるか?

 私は印刷を開始しました。

 すると、プリントアウトが久しぶりすぎて印刷設定が間違っていることに気づきます。ここまでに30枚印刷してました。

 それをキャンセルして最初から設定しなおしです。

 この時点で日をまたぎます。

 まだ風呂に入っていません。

 さあ、印刷開始だ。


『ライトシアンがありません』

 ガッデム! なんてこったー!


 私はプリンターインクを探します。

 確かどこかにあった気が……ありました!

 箱の中にプリンターインクはふたつしかなく、ひとつがライトシアンです。

 私は急いでインクを交換して取りあえずテスト印刷をします。

 ところが先ほどのキャンセルが正常に動いていなかったのか、前の設定のまま最初から印刷が開始されました。

 慌てて再びキャンセルします。パソコンでプリンター設定を出して、ソフトからキャンセルしてやっとプリントできるようになりました。


 ここでとりあえず落ち着こうと風呂に入ります。

 カラスの行水です。暖房の利いた部屋以外は10℃以下です。風邪ひくわ!

 私は髪が長いので、乾かすのに時間がかかります。なので、印刷しながら髪を乾かそうと、頭にバスタオルを巻いて印刷開始です!


『黒インクが残り少ないです』

 ウソやろがー!


 残ったひとつのインクは何色だっただろう。慌てて確認します。

 なななんと、黒インクでした!

 ホッと胸を撫で下ろして、やっと印刷開始です!


 この時点で零時四十五分。

 明日は五時半起きです!


 印刷しながら髪を乾かし、なんとかすべてプリントアウトできたのが一時半くらい。これを家内に出してもらえば……最後にみらい文庫のページを確認します。


 なんですと!? 郵送でも応募フォームを入力しないといけない!?

 マジか!


 急いで入力です。

 確認して送信ボタンを押すと、『このページをプリントアウトして原稿の最初につけてください』だって!?

 もう、プリンタは電源を落としてあります。

 午前二時近く、私はまたプリンタをつなぎ直して、応募フォームをプリントアウト。

 それを原稿の最初につけて、ダブルクリップで止めます。

 みらい文庫の住所をプリントアウトした紙と一緒に原稿を居間のテーブルに置いて、やっと眠れました。

 睡眠時間三時間半。

 いやー、つらかった。

 要項はもっと早目の確認をオススメします。

 ギリギリ、ダメ、ぜったい!



 *    *    *


 こんなドラマがあったとかなかったとか。

 問題は要綱です。

 カクコンの要綱は単純ですが、他の公募は今回のようにややこしいものも多々あります。

 そもそもなんでテキストデータの上限を設けているのか。

 書式に収まっていればそれで問題ないはずなのに。

 これがつばさ文庫だとまた違います。

 カクヨム応募とWEB応募は11.2万文字まで。27行×40文字で100枚のつばさ文庫の体裁にあっていれば問題ありません。

 郵送応募は27行×40文字で100枚まで。

 さて、これを読んで、どこが文字数上限のラインかわかりますか?


 編集者は言います。

 目を皿のように要綱をしっかり読んで、それに準じた応募をしてください、と。

 仮にも編集部なら、もっとわかりやすく書けやしないですかね?

 ルールは破ってはダメです。絶対にダメです。

 なぜならそれが決まりだから。破れば、ルールも守れない人だと編集部にレッテルを貼られます。

 それなら、ルールも徹底してもらえるとありがたいのですが。と、誰もが思うんじゃないかなー?



 *    *    *


 さて、今回のカクコンは、本当に皆さまの作品を読みに行けていません。

 〆切直前までこんなことをやっているようなヤツなので……や、私の事とは言いませんけど。

 それでも自作の宣伝はしちゃうぞ!


『おしごとが忙しくて』

https://kakuyomu.jp/works/16816927859764901534


 Twitterをやっていたら、突然叙述トリックを書きたくなって書いてみました。

 掲示板のところを書いているときは、「何書いてるんだろ、自分」なんて思いながら書きましたけど、思いのほか楽しんでもらえたようでよかったです。

 もっと文字数があった方が上手く書けるきもしましたけど。

 まだの方は、よろしければ読んでやってください!

 読者選考は二月七日までですよー!(と、ダイマしてみた)

 それでは皆さま、また来月!

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