十八の段 菰野を守れ!(前編)
夜明け前。
義苗さまは、これだけの人数の
「オレは、菰野の民たちと彼らが心をこめて育てた作物を守りたい。領内に
義苗さまの服装は、
「オレたちは、殿さまのために働ける日が来るのをずっと待っとったんや!」
「殿さまのため、民たちのため、死に物
などと、
「義苗どの。その猪
「え? チカじいさま⁉ 手伝ってくださるのですか?」
義苗さまたちが陣屋を出発する直前、
「もちろんじゃ。ワシらは菰野の大相撲を見物するためにお忍びでやって来たのだ。その大相撲を
チカじいも、これは定信さまの隠密の
「いつも湯の山温泉で楽しませてもらっているお礼じゃ。ぞんぶんに
「し、しかし、チカじいさまにご迷惑をかけるわけには……」
義苗さまがためらっていると、「
「お、
義苗さまが
「義苗さま。もうしわけありませんが、義苗さまのことはみんなに話しました。
小野川関がそう言って
「オレは、
谷風梶之助といえば、小野川関のライバルで、後に第四代
「気持ちは
義苗さまはためらいましたが、南川先生が
「『
江戸の屋敷でぐーたら生活をしていた
そんなふうに殿さまががんばってきたからこそ、殿さまに協力したいと名乗り出る味方ができたのですよ。今のあなたはもう一人ぼっちではありません。人を愛し、人に愛される、立派な殿さまへと一歩近づいたのです。集まった仲間の力に
「南川先生……。わかった! みんなにも手伝ってもらおう!」
こうして、義苗さまは菰野藩士57人、尾張藩士8人、力士たち60数人を
合計120数人の
「おいらたちを
勢子とは、狩りをする時に大声を出したり、大きな音を立てたりして、
「もうすぐ夜が明ける。朝になったら狩りを始めよう。……ただ、今回の狩りはいつもとはちがうから
馬公子さまが菰野の地図を見つめながら、そう言いました。
菰野藩は狩りをする時、山にいる獣たちをシシ垣まで追いつめて狩っていました。しかし、今回はシシ垣の内側に数十頭の猪たちが入りこんでしまったのです。侵入される前にやっつけるのと、侵入されてから猪を探してやっつけるのでは
「せめて、猪たちがどこにいるのかがわかったらな……」
義苗さまがそうつぶやくと、ミヤが「
「そろそろ鳥たちが
「あっ、そうか。ミヤは動物と仲良くなれるんだったな。だったら、猪とも仲良くなって、菰野から出て行くように
「それはちょっと無理です。あいつら、私を見ると
動物に好かれやすい
ミヤが「かー! かー!」とカラスの鳴きマネをすると、たくさんのカラスたちが森から飛んで来て、ミヤの前でとまりました。
「
「
カラスたちは
「殿さま。近くをうろついていた猪2頭を捕まえてぼたん
「腹ペコだったから、それはありがたい。ミヤにたくさん食わせてやってくれ。
みんなでぼたん鍋を食べ、朝日がのぼってしばらくたった
「殿さま、猪の群れがどこにいるのかわかりましたです!」
カラスたちからの
「あちこちに散らばっているが、
「それから、
ミヤはそう言い、隠密たちがいる地点に
「シシ垣を
小野川関がそう言うと、弟子のハギちゃんも「おいらも
「ミヤも
「わかった。みんな、相手は
かくして、ミヤと力士たちは隠密の
義苗さまはカラスが教えてくれた猪たちの
「
義苗さまは家来たちにそう命令を
いざ猪狩り! いざ隠密退治! 負けるな、義苗さま!
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