三の段 ご隠居さまの秘密
つまり、大名の
「ご
「ご隠居の
「……忍者だったら菰野藩の
「いえいえ、
「で、でも、おかしいぞ。忍者を雇うお金はないのに、ご隠居さまは
「うわー、すごい。すっごくお金がかかりそうですねぇ~!」
「それだけじゃない。ご隠居さまは遊びたいほうだいなんだ。しょっちゅうお忍びで
義苗さまが言っている犬は、ヨーロッパの貴族たちが
そんな
「菰野藩は、ご隠居さまが遊ぶ金をどうやって用意しているんだろう?
毎日ボーっとしているしか
「そんなに心配なら、私が調べましょうか? ご隠居さまのお部屋を調べたら、きっと菰野藩の
「え? いいのか?」
「モチのロンです! 野たれ死にしかけていたところを助けていただいたご
ミヤは胸をドンと力強くたたき、そう言いました。
おお、さすがは伊賀忍者! なかなか
(お……オレの話をちゃんと聞いてくれて、力を
ずっとぼっちだった義苗さまは感動のあまり
「わかった。よろしく
と、言いました。
くノ一ミヤは、「お
「すごい。一瞬で消えるなんて……。さすがは伊賀忍者だな。あんなに
義苗さまは感心して、そうつぶやきました。
本当ですねぇ、いったいどんな問題があってどこの殿さまも彼女を雇わなか……。
どっかぁーーーん‼
どごぉぉーーーん‼
ちゅどぉーーーん‼
「な、ななななんだ、さっきの
義苗さまはビックリ
これは……十中八九、くノ一ミヤの
「
どたどたどたどた~‼ と、いくつもの足音が
とんでもない騒ぎになってしまった……と義苗さまが頭を
「よ、義苗! 屋敷の
とわめくように言い
松平定信さまとは、今の
「なんで松平定信さまの仕業だとかんちがいしているんだろう。一万石ちょいしかない小さな菰野藩が、幕府に目をつけられるわけがないじゃんか」
義苗さまが首をかしげていると、
「うわっ、ビックリした! いきなり背後からあらわれるなよ!」
「ご隠居さまの部屋から
「は、早いな。でも、さっきの爆発音はなんだったんだ?」
「
「思ったので?」
「屋敷の西側にあった
「なんでそうなる⁉」
義苗さまは、ミヤの
「
「そーいう問題じゃなくって、なんで蔵を爆破したんだ!」
「そんなの決まっているじゃないですかぁ。屋敷の西側で騒ぎを起こしたら、屋敷の東側にいるご隠居さまや家来たちがビックリして、西側に
ドヤ顔でミヤはそう語りましたが、義苗さまはちっとも感心できません。
「あのさ……。忍者なんだから、もうちょっと
「でもぉ~……。私、
「……おまえがどこの大名家からも
義苗さまがため息をつくと、ミヤはぷくぅ~っとほっぺたをふくらませました。
「むぅ~! せっかくお殿さまのためにがんばったのに、ほめてくれないのですか? すねますよ? すねて、ご隠居さまの部屋から盗んできたものを
「え? お、おい、ちょっと待て。
義苗さまが必死になってお願いすると、ミヤは何とか
「いきますよ?
……『くノ一ミヤは伊賀の里で一番の美少女! 忍びの術もピカイチ!
はい、どうぞ!」
「なんか、美少女が3回ぐらい入っているんだけど……」
「女の子は、可愛いとか、美少女って言われたら、
もはやどっちの立場が上なのかわからなくなってきましたが、言わないと
「『くノ一ミヤは伊賀の里で一番の美少女! 忍びの術もピカイチ! 大名屋敷に忍びこむなんて朝飯前! さすがは美少女くノ一ミヤ! 君に不可能はない!
……はぁはぁはぁ。こ、これで
ミヤは満足したらしく、「むふぅ~!」と
「ちゃららっちゃらぁ~ん! ご隠居さまの重要書類ぃ~!」
「なんだ、この紙のたばは?」
「見たらわかりますです。はい、どうぞ」
義苗さまは、ミヤから紙のたばを受け取り、そのうちの一枚を見ました。
「これは……
義苗さまは、おどろきのあまりひっくり返りそうになりました。
ウワーオ‼ 400両の借金⁉ そいつはべらぼうな
ふむ、たしかに。読者のみなさんのおっしゃる通りでござる。よろしい、説明しましょう。
……と言っても、「1両が現代の金に
昔の人々の生活は、現代のみなさんとはだいぶちがいます。江戸時代は250年も続き、その間に物の
「1両とは現代の〇〇円ぐらいでござる!」
と
ただ、それだと読者のみなさんも
江戸時代の大工さんは、20日ほど働いて1両のお金を
で、現代の大工さんが1日働いてもらうお金(
大工さんのお給料で換算したら、1両はなんと30万円です!
1両が30万円なので、400両は1億2千万円という計算になりまする。
ほら、義苗さまがビックリ仰天するのもわかったでしょ?(ちなみに、お米の値段を基準にして換算すると、2520万円になります。どちらにしても気が遠くなるような金額ですな)
「なんで400両なんて大金を借金しているんだ⁉ 遊ぶための金にしても高すぎる!」
「ご領地で大相撲をやるんですよね? たぶん、そのためのお金も入っているんじゃないでしょうかぁ~?」
「他の書類もぜーんぶ借用書だ! 江戸や京都、
「今、ざっと計算してみたのですが、合計すると菰野藩には9千8百両の借金があるみたいですね……」
「きゅ、きゅきゅきゅ9千8百両ぉぉぉ⁉」
9千8百両。この時代の大工さんのお給料で換算すると、29億4千万円ですな。
菰野藩の借金は、殿さまである義苗さまに
「きゅ……きゅう……きゅうせん……はっぴゃくりょお……」
「殿さま? ええと~……だいじょーぶですか?」
「きゅっ、きゅっ、きゅう~♪ きゅっ、きゅっ、きゅう~♪ きゅっ、きゅっ、きゅう~♪」
「あっ、
主人公が壊れて
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