第7話 【新婚生活】~北条院玲奈の場合~

 わたくしの名前は、北条院玲奈よ。

わたくしに相応しい殿方が中々、居なくて困っていますの。

 どうしたら、わたくしを満足させてくださるだんなさまが現れるのか、どなか教えて下さいな☆オホホホ!!γ(▽´ )ツヾ( `▽)ゞオホホホ!!



~出社前~


「あなた!本日のお仕事も頑張って下さいな。」

「ああ」


そんな朝の挨拶が交わされる。


「浮気はご法度ですわよ!」

「分かってる」


玲奈は夫にそう言ってみた。


「行ってらっしゃいませ」

       ・

       ・

       ・


<帰宅後>


 「ただいま」


夫が帰宅した。


「“待っておりました”わ」


玲奈がおかえりと言わない。


「えっ?(な、何かセリフに違和感が??)」


夫は、微妙な変化に戸惑った。


「もちろん“浮気”などしておりませんわね?」


玲奈は、再確認の意味も含めて、聞いてみた。


「あ、ああ。してない!」


夫は、きっぱりと言った。


「“断言”しましたわね?」


玲奈の目の奥がキラっと光ったように見えた。


「したが、どうした?」


夫は、しれっと答えた。


「時に本日のお弁当・・・いかがでしたか?」


玲奈は、朝、夫に持たせたお弁当の話を振ってみた。


「う、美味かったよ!!」


夫は、突然の振りに、一瞬、どもったが、即答した。


「(ピクッ!)“何時頃”に“どこで”食べましたの?」


玲奈は違和感を覚え、詳細を問い詰めた。


「12時に事務所で食べたよ!」


夫は、食べた事実を伝えた。


「執事!!」


玲奈は、執事を呼んだ。


「はい」


執事が、玲奈の元にやってきた。


「報告なさい!」


玲奈は報告を求めた。


 「報告?」


夫は、何のことか分からなかった。


「では、読み上げます!午前中・・・滞りなく仕事をこなします。しかし・・・職務中・・・女性社員の視線を浴びましてそれに答えるようなウインクがしばしば

ありまして、仕事そっちのけでしばらくは、女性社員たちと会話を楽しみます」


執事は、本日の玲奈の夫の行動報告を玲奈に行っている。


「(ピクッ!)」


玲奈は、眉間がピクっとした。


「え?」


夫は、報告内容を聞いて、目が点になった。


「正午・・・昼食時に“玲奈様がお作りになられたお弁当”をお開けになった瞬間にだんな様は“この世の終わりのような顔”をして、トイレに駆け込みました」


執事が報告を続ける。


 「えっ?(な、なんで知ってんの??)」


夫は、その執事の報告の事実に驚く。


「(ピクピクッ!)」


玲奈は怒りを露にしている。


「そして・・・そのお弁当を“一口も食さず”にそのままトイレに流してしまいました」


 執事は報告をする。


 「ドキッ!」


夫は、身体が硬直した。


「(ピクピクピクッ!)」


玲奈は、怒りで顔面がピクピクしている。


「トイレから出た所で、仕事中に熱烈な視線を送って来ていた一人の女性に声を掛けられました。そして、その女性の手作り弁当をペロリと全部たいらげました」


 執事の報告はまだ続く。


 「びくっ!」


夫は、正確な執事の報告に身体が、びくっと震えた。


「ワナワナワナワナ・・・・・」


玲奈の身体は、わなわなと震えている。


「その後、その女性と別れ、別の女と会い・・・アフターコーヒーを飲みました。もちろん玲奈様のお渡しした水筒の中身は、“開封することもなく”焼却炉に捨てられてました」


 執事の報告は、続く。


「ブチッ!」


玲奈の何かがキレた。


「びくびくっ!!」


夫は、びくびくしている。








「そして・・・昼食後、また滞りなく仕事をこなしましたが、ただ・・・・・15時45分~16時過ぎに“空白”の時間がございます。何でも昼間の女性たちと“女子トイレ”に入って行ったみたいなのですが・・・・・そこで何をしていたのかは分かりませんが、“何やらアヤシイ声”が聴こえて来たとこから想像しますと恐らく・・・・・は、玲奈様に対する裏切り行為をしていたと推察されます」



「報告はもういいわ!」


玲奈は、執事に言った。


「はい」


執事は、返事した。


「カチッ!(こっそりと、SPスイッチを押した・・)」


玲奈は、冷静さを取り戻している。


 「ま、待てよ!れ、玲奈・・・お、落ち着けよ?」


夫は、必死だ。


「わたくしは、落ち着いていますわよ!落ち着いていないのは、あなたの方じゃ、ありませんの?」


玲奈は、正論を夫に言う。


「ち、違うんだよ!あ、あれはだな~!!そ、そのぉ~(汗)」


夫は、何かいい言い訳がないか模索している。


「お呼びでございますか?お嬢様」


玲奈付きのSPがやって来た。


「お呼びにより参上しました!お嬢様」


玲奈付きのSPがもう1人現れた。


「ご苦労!“ソレ”を処分なさってください!!」


玲奈は、SPたちにそう命令を下した。


「了解しました。がしっ!」


SPの1人が、玲奈の夫を拘束した。


「かしこまりました。がしっ!」


もう1人のSPも片側から、玲奈の夫を掴んだ。


 「お、おい!ま、待てって!!じょ、冗談だろ?」


玲奈の夫は、身の危険を感じ取って、必死の弁明をする。


「いいえ!わたくし、生まれてこの方、冗談など申したことは一度もございませんの、そうですわね?」


「御意」


執事がそう答えた。


「れ、玲奈・・・お、俺たち“夫婦”じゃねぇか必死)」


夫は、そう言った。


「”元”を付けて下さるかしら?さきほど、離婚届けを提出しておきましたわ」


玲奈は冷たくそうあしらった。


「んな―――――――!!ま、待て!いや、待ってくれ!!」


元、夫は、抵抗を試みる。


「さようなら!“永遠”にね。クスクスッ★」


玲奈は、夫に別れの挨拶をした。


「た、た、た、助けてくれ~~~~~!!!!!(泣)」


玲奈の元、夫は、命乞いしている。


「それでは、“次のだんな様”の所に行きますわよ」


そう言ったのは玲奈だった。


「はい・・・次は“176番目のだんな様”ですね」


そう言ったのは、執事だ。


「今度のは、何日続くのかしら?」


玲奈は、ふう、とため息をついて、そんなことを言った。


「今回は、わずか1週間でしたね」


執事が苦笑いしながら、言った。


「今まで2週間以上持った、殿方がいらっしゃいませんわ」


玲奈は、言う。


「過去最高が10日でしたな」


執事は言う。


「これでは、いつまで経っても新婚旅行にも行けやしないわ」


玲奈が残念そうにそう言った。


「全くですね、玲奈お嬢様(笑)」


執事が言った、


「オッホッホッホッホッホッホッ★」


玲奈の高笑いが部屋中に響いた。


                 完

最凶主婦降臨!

第8話 【新婚生活】~君島沙耶花の場合Ⅱ~へつづく

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最凶主婦降臨! 黄昏の夜月(たそがれのナイトムーン) @night-moon-crisis

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