第51話 君は太陽の様で

俺を巡っての小説対決(本気対決)は3組が取り合う事になった。

正確には、出版して部数で対決する。

ではその出版について、どうするのかという話なのだが、流石に3組同時では枠が取れなかった。

山手さんはお怒り気味だったが、変更になって自費出版という事になった。

これで売り上げて勝負する。

それで良いのか、オイ、とツッコミを入れたが城山さん(編集者)によると。

一応、出版は出来る様にしたそうで。

と言うか、そんな美味しいものは逃がしませんよ、と城山さん。

いや、良いのかよこれで。


「全く。城山には頭が上がらないわね!」


「そうだな」


「.....」


「.....」


「なんでこんな所に集まっているの?私達」


「いやー。ここが一番、落ち着くな。な?雄大」


俺の家に、山手さん、撫子さん、ノラ、俺、ゴッド牧瀬、そら、ミタちゃん。

その人物が集まっている。

いや、それは良いんですけど6人の有名人が集まるって良いのかこれ?

ああそういや、次いでに真も居る。

俺を巡ってを言うと、発狂したがそれでも今の状況で納得してくれた。


「す、スゲェ。ゆ、有名な小説家がズラリだぜ.....ウヘヘヘへ」


よだれ垂らして、ってか。

キモイなコイツ。

俺は頭に手を添えて、デジャブを思い出しながら思う。

何故、俺ん家なのだろうか、と。


「撫子さんどういう事っすか?これ」


「これはな、取り敢えずパーッとやってから小説を書き始めようぜ、というパーティーだな。雄大の家でやる事になったのは.....まぁ、アレだ。すまん」


頭を下げる、撫子さんに俺は慌てて否定する。

なんだか良く分からないが、小説家ってそういうもんか?

俺は思いながら、言う。


「.....まぁ良いんですけど.....」


「ちょっと雄大!お菓子が無くなったわよ!」


「何でだよ!俺を使うな!」


いや、まぁ良いんだけどさ!

と、思っていると。

白虎が猫耳パーカーでやって来た。

眠気まなこを擦って欠伸をしている。


「五月蝿いなぁ。つーか、何だよこれ?」


「パーティーだと。五月蝿くてすまんな。白虎」


「パーティーね」


白虎は頭をボリボリ掻きながら。

ふあっと欠伸して、腰掛けた。

すると、そんな白虎にゴッド牧瀬が抱きつく。


「可愛いわね〜。白虎は相変わらず!」


「止めてください。姉さん」


「むぎゅ」


まぁ良いや、取り敢えず、勝手にしてくれ。

俺は思いながら、目線を逸らすと。

そら、と目が合った。

お互いにボッと赤面する。


「.....」


「.....」


「何やってるの?」


ミタちゃんが聞いてきた。

俺達はそのミタちゃんに慌てて否定する。

手をブンブン振って、だ。


「「いや!何でもない!」」


「.....うん?怪しいな.....」


立ち上がってから山手さんが俺に近づいて来る。

そして首に手を回し.....胸が当たっている!

柔けぇけどイカン!


「オマエ.....なんか隠してないか?オトナのお姉さんに隠しきれると思うなよ?」


「いや!何も隠してないっす!」


「うおおおお雄大!お前だけずるいんじゃー!」


ドドドドドと近付いて来る、真。

俺は叫ぶ。


「黙れ真!?ああ面倒クセェ!」


これパーティーとは言わねーだろ!修羅場だろむしろ!

俺は慌てて、お菓子を取りに行った。


「逃げたな」


「逃げましたね」


帰って来たらまた騒々しい事になりそうだ。

と思いながらも俺は笑む。

今が一番、楽しい気がして、だ。



午後3時。

放課後から丁度、2時間が経過。

パーティーは大盛り上がりで。

そんな中、俺はトイレに行っていた。


「.....はぁ。全く」


息つく暇もねぇ。

俺はその様に思いながら、トイレから出た。

そして、気が付く。

目の前に相変わらずの仮面を被った、そら、が立っていた。

トイレなのか?

俺は思っていたが、違う様だ。


「.....どうした、そら」


「.....えっと、雄大。話が有るんだけど」


「話?話って何だ」


盛り上がっているリビングを他所に俺は、そら、に手を引かれ連れて行かれた。

いや、ちょ、何処に行く気だよ!?

俺は思いながら、そら、を見つめる。



「俺の部屋か.....どうしたんだ?」


「.....えっとね、雄大」


俺の部屋、日差しが差し込む中、そら、を見つめていた。

そら、は前を見てこっちに向いてない。

それから、そら、話出した。


「.....色々有ったよね。この部屋で」


「.....そうだな。この部屋でお前と話して。そして.....」


「雄大.....その.....ね.....」


そら、の声が思いっきり震えている。

俺は見開いた。

すると、カーテンがなびき。

俺の方を見てきた。

泣いている。


「.....そ、そら?」


「えっと、えっとね、私は雄大の事が大好き。だから、他の人に取られたく無いの.....この勝負、無かった事に出来ない?」


「そ.....それは.....」


思えばこの勝負は山手さんが切り出した話だ。

つまり、キャンセルも出来るが何をしてくるか分からない。

俺が山手さんに取られる可能性も無きにしも非ず、だ。


「.....その、そら、駄目だと思う。この勝負はーーーーー!?」


「.....」


気が付くと、そら、が仮面を投げ捨てていた。

そして、俺の唇に自らの唇を合わせて、キスをして。

そら、は目を閉じていた。


「.....ぷはっ.....!?」


「.....」


まさかの展開に。

俺は驚愕というか、胸の奥が滅茶苦茶に振動し始めた。

ど、どういう事だ!?!??


「これだけ、雄大の事が好きなんだ。だからね.....お願い.....ゆ.....雄大を取られたく無い.....あまりに.....あまりに.....身勝手だけど.....!!」


涙を流しながら、震える、そら。

俺に縋ってくる。

俺を栗毛色の髪の毛をなびかせて、見てくる。

口を抑えながら、俺は。

そんな、そら、を抱きしめるしか無かった。


「あーあ。そんなの見せつけられたら何とも言えないぜ」


その様な、声がした。

背後を見ると、山手さんが立っている。

不満げな感じで、盛大にため息を吐いていた。


「.....ったく。嫌なものを見ちまった。.....そんなに、そら、お前は其奴の事が好きなんだな」


「.....えっと.....」


困惑する、そら。

俺はそんな、そら、を庇う。

何をしてくるか分からないから、警戒して、だ。


「雄大。.....勝負についてだけど」


「.....なんすか?」


「.....そら」


「.....はい」


「お前らは本気で好き同士なんだな?」


その様に、問いかけてくる。

俺は頷いた。

そら、を確認する。

ゆっくりと、そら、も涙目で頷いた。

手を繋ぐ、俺達。


「だ、そうだが?みんな」


「え?」


ガヤガヤとみんなが出て来て、そして盛大に溜息を吐いた。

全員、その場に居た。

葉月もだ。

どういうこった!?


「.....ったく。雄大、言えよな」


「そんなに幸せになっているなら妨害しようが無いわ」


「そうですね.....」


その様に各々、納得する。

俺達は見合って、見開いた。


「勝負にならねぇな.....全く」


「.....山手さん.....」


横に居る、そら、を見て、そら、も俺を見てくる。

それから笑みを浮かべた。


「.....じゃあ、パーティーの続きをしようぜ!」


「結局なんのパーティーか分からなくなってきたな」


「まぁ良いんじゃないですか?」


この人達は本当に良い人達だ。

俺はその事を横に聞く。

横の大切な人も答えは同じの様で太陽の様に眩しい笑顔で頷く。


それから、数年が経過した。

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