第42話 真VS青龍、ゴッド牧瀬、白虎

「.....」


「.....」


俺の左右に真、そらと据え置いて。

対面で、俺は静かに腕を組んで。

ゴッド牧瀬、青龍、合流した白虎を見ていた。

青龍は穏やかに俺を見て。

白虎はそっぽを見て。

そして七星、つまり、ゴッド牧瀬は悲しげに俺を見てくる。

何故、こうなってしまったのか。


「七星。これは.....何故、こうなってしまったんだ?」


「.....雄大.....これには訳が有るわ。この会社を救う為なの」


「.....でも、だからと言って.....結婚なんて早すぎると思う.....」


「そうだぜ。ゴッド牧瀬さんって中学2年生だろ?」


首を振る、ゴッド牧瀬。

そして精一杯に俺達に笑みを浮かべた。


「.....でも結婚はまだしないわよ。だけど、予行練習よ。私の事を.....気に入ってくれている、年上の男性が居てね.....4年後に結婚するわ」


「.....年上って.....4年後って!」


「.....」


俺の顔をオドオドと見てくる、そら。

不安げな顔付きをして居た。

俺はその涙目の、そら、を見ながら。

そして真を見ながら。


「.....納得がいかない」


「「え?」」


その様に、言葉を呟いた。

俺は眉を顰めて、そして、青龍を見る。


「.....お前は反対しないのか。おかしいだろこれは。18歳で婚約だぞ。一少女の未来を奪ってんだぞ。妹してどうも思わないのはおかしい」


「私達はちゃんとお姉様のお幸せを考えているんですよ、マラ。その程度も分からないのですか?ゴールデンボールはちゃんとくっ付いているのですか?」


「マラとか暴言の数々だな!恥ずかしい!」


コイツマジで最低すぎんだろ!

俺はその様に突っ込みながら居ると。

赤面して、咳払いをした、ゴッド牧瀬が話し出した。


「.....そう。私は幸せを求めたのよ。私は財閥の矢島耕一郎さんと結婚するから.....雄大.....有難うね。追い掛けて来てくれてね。でももう良いからね」


その言葉に。

バァンと俺は机にそれを叩き付けた。

ゴッド牧瀬の残した最後の手紙だ。

滲んだ文字も全て読める。


「お前な!!!お前この紙に書いたろうが!帰りたいって!ゴッド牧瀬!」


「.....その手紙をまだ持ってたなんてね。持って来たなんて.....馬鹿ねアンタも本当に。でもそれは嘘。帰りたくなんかないから」


「嘘を吐くなよ.....冗談だろ!?」


「本当よ。それにアンタとか他の奴らとの馴れ合いなんて全てが嘘だったって気が付かなかったの?私はアンタ達の事を欺いていたのよ。今までの為に!」


ご、ゴッド牧瀬ちゃん?

涙目になる、そら。

真も唖然とする。

今までの事が全て嘘だった、いや、違う。

コイツは絶対に嘘を吐いている。


「.....お前.....」


「.....話を理解した?じゃあ、早く帰って。私と一緒に居る所をお父様や矢島様に見られる訳にはいかないから」


「.....」


俺は手紙をクシャッと音がなる様に握りしめる。

嘘と分かっていても。

そんな事を聞きたくは無かった。

思って居ると。


いや。


と、一言、聞こえた。

一言は、簡単に言えば真が発した様で。

真は真剣な顔付きで、目の前を見据える。


「ゴッド牧瀬さん。俺は全てが嘘だったとは思わない。アンタ、俺を下僕下僕、言ってから、相当に嬉しそうに俺の額にサインしてくれたの、覚えてるか?あれ、相当嬉しかったんだぜ。俺にとっては」


うわぁ。

ってか、そんな事があったのかよ。

ドン引きだけど、真は真面目にゴッド牧瀬に話していた。

真剣な顔で続ける。


「お前がやってきた事、全てが56万人のファンを欺く為とは思えないな。あんなに嬉しそうな顔は.....欺いているとは言わない」


「.....でも!本当だわ!私は欺く為に!」


「じゃあ何で小説家になったんだ!!!」


「.....!!!」


ちょ、え?

真が、カッコイイ、だと!?

俺は目をパチクリして唖然としながら、気圧されながら。

真を見つめる。

バァンとテーブルを叩いて立ち上がる、真。


「.....ゴッド牧瀬さん。君は小説も欺く為にやっていたのか?それで56万人も欺く為に?それは嘘だ。絶対にな。小説家になるのに相当な努力がいるのを知っているのか?君は。だいたい、5本指の中に入れば良いぐらいなんだぞ。小説家になるには、な。そんな努力も欺く為?ファンを獲得するのも?馬鹿らしい」


「.....え、えっと、わ、私は.....」


涙目になる、ゴッド牧瀬。

そこで、青龍がゴッド牧瀬を遮った。

和かな顔で、真を威圧している。


「.....えっと、すいません。もう止めて下さいね。お姉様が泣いてますので」


「.....まだ話は終わってない」


「いえ、終わりました。もう帰って下さい。皆さん。.....出来れば次は会いたくないですね」


ニコニコ笑顔で青龍は静かに。

奥の方の扉に、ゴッド牧瀬を誘導して行く。

真は追いかけるが、その前に白虎が立ちはだかる。

俺は涙目の真を止めた。


「.....止めんな!悔しくないのかお前は!雄大よぉ!」


「今は引くぞ!これ以上やっても.....青龍が目の前にいる限りは!」


「ゴッド牧瀬ちゃん!!!」


そんな、ゴッド牧瀬は一瞬だけ。

俺達の方を見た気がした。

が、直ぐに消えていく。

儚げに、だ。


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