第41話 最悪の結末へのカウントダウン

せっかくの俺の思いやりの手を弾く様な、変な少女に出会って。

俺は不愉快な気持ちになりつつも、とにかく歩いた。

ゴッド牧瀬の居る、総本山へ向かう為に、だ。

そして辿り着いた。

とある、オフィス街に。


「.....ここみたいだな」


「.....確かにヒタリって書いてあるな。.....つーか、やっぱデカッ!」


「流石はヒタリ.....」


俺達は固まる。

敵の総本山はデカすぎた。

階にしておおよそ、100階は有ると思う、六本木に有るあの有名なビルに負けず劣らずの外装、デザイン。

まさかここの出身なんて。

秘密にしてはあまりにもデカすぎだろ、驚愕だよ。

今だって、サラリーマンとかスーツをキッチリ着た様な、声掛けづらそうに行ったり来たりしている人達が居て、忙しそうだしよ。

確か、上場してたよな?

株式で、だ。

そんな化け物級の会社の令嬢かよ。


「.....入るか」


「受付にか?でも直接入っても弾かれるだけだろ。どうすんだ」


「.....どうしようか.....人もいっぱいだし.....」


その様にして、俺達はオフィス街で頭を回転させる。

そんな俺達は何故、こんな場所に居るのかと。白い目で見られていた。

恥じらっている、そら。

真は真剣に考える。

俺もちょっと恥ずいので、周りを見渡す。

すると、オフィス街の横らへん。

端っこ辺りにカフェがあった。


「.....休憩すっか」


「.....それで考えるか?」


「そうだね」


カフェに逃げよう。

その様に思って、俺達は取り敢えず。

カフェに入る。



「やれやれ。まさか株式上場している企業の令嬢とは.....」


「.....嫌いそうだね。確かに。オタク文化とか.....」


「.....そうだな」


パフェを真が、コーヒーを俺が、紅茶を、そら、がそれぞれ嗜む。

つーか、コイツ、またデブになるぞ。

その様に思いながら、チョコレートパフェをほうばっている真アホを見た。

しかし確かに、あのレベルなら。

会長レベルなら、そういうエッチなものは嫌うだろうし。

令嬢規模なら尚更だろ。

目を横にずらして、先程のビルを確認しながら。

その様に思った。


「.....クソッ。案が思いつかん。どうしたら良いのか」


「まさかビルに侵入する訳にはいかないしね.....直ぐバレるかもだし」


「ほなるほ、ほうふへきか.....」


何言ってんだ。

いや、ちょ、飲み込んでから喋れ。

俺はその様に、真を睨みながら。

口の周りにチョコを沢山付けた、幸せそうな馬鹿を尻目に、考える。

クソッタレ。


「.....課題が山積みだな」



「そうですね」



「.....そうだな.....って、え!?」


ギョッとして、身構える。

突然、俺の横に茶髪のボブヘアーの黒縁眼鏡を掛けた小さな女の子が居たのだ。

何事も無い様に、本を読んでいる。

ギョッとした真はパフェの入った器が倒した。

その瞬間、真は悲しそうにパフェの残りを見つめる。

俺と、そら、は直ぐにその女の子に聞く。


「.....何だお前!」


「だ、誰!?」


その女の子はクククと笑った。

まるで、ちび○る子ちゃんの野口さん的な感じで。

俺はその行動にビクッとする。

店内も何事かと見てくるが、直ぐに収まった。

それを確認する様にしてから、その女の子は話す。


「フッ。これぐらいで驚愕とは.....そんな肝っ玉の据わってない男性にお姉様はあげれないです。ね?鋼雄大さん」


「ちょ、何で俺の名前を知ってやがる.....!」


真剣に俺は女の子を冷や汗を吹き出しながら見据える。

そんな横で、真は嘆いていた。

やかましいなコイツ。

そう思った、次の瞬間、女の子はとんでもない事を話した。


「それでも貴方はお○んち○付いてるんですか?本当に男ですか?生物学的に違うのでは?」


「「「.....は!?」」」


何つったコイツ。

○ちんち○かよ!

俺は初期の頃の、そら、を思い出した。

初期の頃もコイツ、おち○ち○をせがんでたよな!

今回は別の意味でヤバイ!


「.....生物学的には男だ俺は.....って言うか、お前.....女の子だろ.....って言うか、誰だよお前!」


唖然とする、そら、を見てから。

横の変態少女を見る。

いや、マジで誰なのコイツ。

色々ツッコミたい部分が有るんだけどな!

コイツの正体だよ先ずは!

って言うか、いつまでイジイジしてるんだ真!


「.....あれ?(お姉様)の部分は気にしないのですか?双子の白虎から聞いたので、駆けつけたのですが。貴方達はお姉様を取り返しに来たのではないのですか?」


「.....え?それって.....」


そら、がその様に呟き、見開く。

その側で俺は思い出していた。

一瞬にして、だ。

何故か今日は良く頭が働くのだが白虎とは、つまり。


『触るな!』


あの、失礼な少女の事では無いのかと。

俺は目の前の本をまた読んでいる、変態少女を見据える。

変態少女は俺を見て、そしてほくそ笑む様な笑みを浮かべた。


「私の名前は牧瀬青龍。えっと、先ず初めに、お姉様は取り返せません。警告しておきますね。でも、お姉様を追ってここまで来た事はお褒めしますので、せめてもの最後のお別れに案内しましょう。私達の家に.....フフッ」


「.....どういう事だ。オイ」


ようやっと顔を上げた真が、その様な威圧感をもって話す。

俺も青龍に威圧をする。

のだが、そんな威圧は効かないよ、という感じで。

青龍はニコニコしながら。

本を閉じて、歩いて行った。


「.....付いて来て下さい」


舐められた感じがするし、それに、罠の可能性も有る。

だがこの希望を逃したら。

もう二度と。


『それでも男!?情けないわね!』


アイツに会えない様な気がして、罠に乗るしか無い気がした。

そら、と真が、複雑な顔付きをする中で。

俺は握り拳を作って。

そして青龍を見据えて、言った。


「.....仕方がねぇ。お前の提案に乗ってやる」


「.....それでこそ、男です。流石ですね」


牧瀬七星。

お前って妹が居たんだな。

その様に思いながら。

敵陣へ突っ込む準備は整った。

俺はお金を出してそして机に静かに置く。

それから、敵の総本山へ向かう為に、カフェを出た。



どれだけ願っても。

手に入る物は少なかったりする。

だから、動くしか無い。

今がその時だ。

革命を起こす時だ。


「これが.....」


「そう、家ですよ」


高級街に並ぶ、マンション。

形的に、多分あれだ。

所謂、ローマのポンペイとかに有りそうな、家のイメージだろう。

そんなデザインの感じがした。

俺は静かに見ながら。

早く案内しろと、青龍を威圧した。


「.....そんなに脅すなんて貴方は勃起して興奮でもしてるんですか?」


「変態だ!」


小学生の少女が言うな!

そして真剣なイメージが台無しだろ!

その様に思いながら歩いて行くと、ガーッと音がして高級マンションの扉が開いた。

俺はビックリマークを浮かべて。

そしてまた真剣な表情になる。

すると、そら、が。


「.....気を引き締めようね」


「.....そうだな.....」


その様に話した。

だが、その決意と裏腹に俺達は何故か食堂に案内された。

そして、室内に入った瞬間。

大きな部屋に、その光景に愕然とした。

ゴッド牧瀬が居る。

のだが、その姿に目を奪われた。


「.....どういう事だ.....」


「.....ゆ.....雄大.....?」


巨大な透明なステンドグラスに十字架があしらわれ目の前に有る。

その日差しに当てられ、まるで、結婚するかの様な花嫁衣装に煌びやかなヴェールを被って居て。

ブーケを持って、予行練習でもしているかの様な、ゴッド牧瀬が居た。

ちょっと待て、まさか。

まさか!


「.....ゆ、雄大.....というか、な、なんでアンタ達まで.....!?」


愕然とする、ゴッド牧瀬。

ハッとしてから、直ぐに姿を隠した。

この姿だけは見られたく無かったのに。

そんな感じで、だ。

そして、唖然としている俺達の目の前で。

青龍が幸せそうに和かに話した。


「お姉様は結婚しますから、もう貴方達の元には帰らないのです」


俺達を挑発する様な、言葉では無い様な感じで。

そう、一言、だ。

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