第34話 美少女+雄大=混乱

結論から言って、ミタちゃんとのデートとなった。

まぁ、その前にやるべき事は多く有る。

例えば、小説の勝負とか、進んでない期末考査とか、潾二郎さんと会うとか。

本当に色々だ。


「.....ふあぁ.....」


徹夜で勉強したら滅茶滅茶に眠い。

俺は起きようとして、横を見た。

それで驚愕した、と言うか、壁に頭を打つける。

それはさぞかし、猫が嫌な物を見て飛び退く様に。

思いっきりである。

一気に眠気が覚めた。

しかしまだ夢なんじゃ無いかって思う!

だって、コイツ!


「何やってんだお前!」


「あら?お目覚めかしら?」


エプロン姿のゴッド牧瀬が居た。

銀髪が俺の布団を波打っている様な感じで、女の子らしさを出しながら、少しだけ頬を赤く染めて俺の横で寝ている。

何だ一体!?

マジで何やってんのコイツ!?

心臓が止まるかと思ったんだけど!


「お前.....馬鹿なのマジで何やってんのアホなの!?」


混乱でその様な声しか出ず。

俺はあたふたした。

冗談抜きでマジで動揺したわ!

そんな、俺の様子に髪を整えながら、袖無しのシャツを俺に見せ付けながら。

ゆっくりと起き上がる、ゴッド牧瀬。

そして、怪しげに笑む。


「.....雄大。私は同盟を組むと言ったわね」


「そうだな!だからどうした!」


「これが先ず第一歩よ!敵の視察からしてやるの!うふふ.....不覚悟なさい.....貴方の城は全て破壊してあげるわ.....」


馬鹿ですかー!

やる気が無駄な方向に向かってやがる!

俺は頭を抱えて、そしてゴッド牧瀬に向いた。


「.....お前な.....」


「敵の視察を終えたらまだ有るわ.....ウフフ。その次は貴方の弱さを把握するのよ.....こうしてね!」


「.....!!?」


ドサッと床に落とされた。

そして、ゴッド牧瀬が俺の手を掴み。

自分の胸に俺の手を当てた。

って嘘ぉ!?

何やってんだこの馬鹿野郎!?


「.....アンタの好みを暴くわ.....フフフ.....」


「やめ!誰か助けてー!変態痴女に襲われてる!」


「なっ!誰が痴女よ!」


ギャイギャイ騒ぐ、俺達。

本来なら逆な筈が、俺が叫んでいた。

その次の瞬間。

俺の部屋のドアが開いて。

ゴッド牧瀬の頭部にゴッドブローが落ちた。


ゴズン!


「痛い!」


「何やっているの.....貴方.....ゴッド牧瀬.....」


そのゴッドブローを打ちかました人物は。

この場に居てはおかしい人物であった。

なんと、ジェイソンマスクを着けた、そら、である。

何故、そら、まで居るのだ!?


「痛いよ.....痛いよ.....」


「あのね。そんな事は注文してない」


ゴッド牧瀬を睨み、ジェイソンそら、はため息を吐く。

つーか、いや。

いやいやいや!ちょ!

なんで!?どういう事だ!


「ちょ、え!?なんでお前まで居るんだ!?そら!」


プルルルル


「はい!?」


『簡単に言えば、私達、暫く雄大の家に住む事にしたから』


「.....は?」


俺は眉を顰める。

ちょ、聞き取れなかったんですけど?

今、なんつった?

この家に住む.....え?

まさかだろっ!?


「ダーリン。早くしないと遅刻よ。急いで」


「誰がダーリンだ!.....つーか、え?マジで!?」


「ゴッド牧瀬さん.....」


また、ゴッドブローを打ちかまそうとしている、そら。

何だ!?

一体、何が起こっているのだ。

何故、女子2人がこの家に住むのだ!?

冗談だろ!?



「はい。雄大。ご飯」


「.....」


『雄大。味噌汁』


「.....」


コイツら、マジでこの家に住むつもりか。

俺の世話を甲斐甲斐しくやっている。

頭に手を添えた。

すると、親父が母さんに新聞を読んだままで声を上げた。


「深雪。2人の少女達の親御さんへの許可は取っているのか」


「.....あ、はい出来てますよ。ご確認しました」


「.....ふむ。それなら問題は無いか」


問題有りだと思う。

思春期の男の家に2人の少女って。

ドギマギどころじゃ無い。

親父も止めてくれよ。

そら、なんか隣の家だろ。

いやゴッド牧瀬もだけどよ。


「.....兄貴。どういう事?」


「.....俺に聞くな.....」


「.....雄大。ご飯食べて。遅刻する」


「そうよ。雄大。今日テストでしょアンタ」


葉月も呆れていた。

お前らは俺の奥さんですか?

何でこんな状態に。

俺は盛大にため息を吐いて。

飯をかき込んだ。



「そんで?お前をいつぶっ殺したら良いんだ?」


「.....お前、そんな事をしてみろ。返り討ちにしてやる」


後ろからやって来る、そら、に聞こえない様に。

真に事情を話すと、静かに激昂していた。


「.....お前な。良い加減にしろよ。女ばっかか。殺すぞ」


「おうやってみーや。殺すぞ」


「.....ハァ。まぁ良いや。何かあったら話せよ。お前の友人なんだからな」


俺達は暫く睨み合い。

そして笑みあった。

すると、そら、が話し掛けてくる。


「.....大丈夫?八坂くん」


「ああ。まぁ」


『大丈夫?雄大』


「まぁな」


俺達の状態を確認するなり、そら、は笑んだ。

そっか、と言って。

俺達の様子を見ながら、歩いて行く。

その時だ。


「.....おい。アイツ、羽多野じゃね?」


「.....あ?.....ああ。マジだな」


「何やってるの?アイツ」


羽多野はライトノベルを持って。

本屋の中でウロウロして居た。

謎の動きに俺達は?を浮かべていたが、関わらない方が良いかと。

そのまま、何も見なかった様に歩き出した。

今日はテストなので、構っている暇が無いのだ。



何とか今日の分のテストは終わった。

だが、まだ明日有る。

気を付けないと赤点だ。


「雄大。帰ろうぜー」


「おう」


『雄大。帰ろ』


「.....おう」


俺達は帰路に着く。

ミタちゃんにも挨拶をして、そして歩き出した、と思った次の時。

目の前に巨大な壁が立ちはだかった。

羽多野である。


「.....雄大」


「.....何だ。羽多野。まだ何か有るか。良い加減にしろよ」


後ろで、真と、そら、が身構える。

そんな感じの中。


「ライトノベルって面白いな」


「.....は.....はぁ?」


頬を赤くしながら、その様に話す羽多野。

コイツ、今何っつった。

聞き間違いか?

俺は驚愕しながら、羽多野を見る。

羽多野は、そら、の小説を出す。

そして、目を輝かせた。


「.....人生が変わった気がする。キモオタ小説とか言ってたけど」


「.....?」


「.....有難うな。雄大。.....ただ、それだけだ」


手を上げて、羽多野は駆け出して行った。

そして直ぐに居なくなった。

俺達は目をパチクリして、顔を見合わせて。

そして笑った。


「.....ようやく、問題が解決しそうだな」


「.....そうだな」


『うん』


しかし、原作者を前にして面白いって。

少しだけ頬を赤く染めてるぞ。

そら、が。

羽多野も衝撃だろうな、そら、が原作者だと知ったら。

でも、仲良くなるきっかけになるかも知れない。

今度、会わせてやろう。

そう思いながら。

俺は空を見て、歩き出した。

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