第31話 謎の再会

羽多野を理解させるのは相当な無理難題かも知れない。

それでも、嫌な事から逃げちゃ駄目だ(エヴ○風)

と言う事で、逃げずに羽多野と向き合い、話す事にした。

俺を心配する撫子さんと、ゴッド牧瀬に感謝の言葉を述べて。

そのまま、お土産とか貰って何もしようが無いので、家に帰って来たのだが。

誰も居ない家の中の筈なのに、俺の部屋でとんでもない人物に遭遇した。

居る筈の無い人間に、だ。

何でや。


「.....何やってんすか.....ちょ、マジで!?」


「雄大くん。久々だな」


その場にいた人物にツッコミを入れる。

まるでシュ○ゲのオ○リンの様な、無精髭を生やした男性。

この人物は潾二郎さんである。

俺の勉強机を利用し、お茶菓子とお茶を飲んでその場に居る。

って言うか、ちょっと待ってくれ。

何やってんすか!?!!?

この家、誰も居ない筈なのに!

本当に心臓が止まるかと思った!


「いや、ちょ!不法侵入ですよ!この家には鍵もセ○ムも掛かっていた筈ですよね!?」


「.....簡単に言えば、この家の鍵を造って入った。と言った所か。セ○ム解除など私にとっては容易い」


「冗談じゃないわっっ!」


この人最低だ!酷すぎる!

泥棒入って来たらどうする気だったんだ!

個人情報もうゴミ扱いだろ!

俺は頭を抱えて、その様に思っていると。

潾二郎さんは相当に真面目な顔で俺に一言、言った。

全く気にする素振りも見せず。


「.....雄大くん。私がこの場に居るのはね。.....御霊の事について少し話が聞きたいと思ったからだ。御霊は大丈夫かね.....?」


「.....あ、学校では至って普通ですよ?良い生徒で。それから、良い奴です」


「.....ふむ。取り敢えず.....は良かれな方向で有るな。安心した」


その様に話して鞄を下ろしながら、口角を上げて苦笑した。

すると、俺を近くで歩いて来て潾二郎さんは見てくる。

ギクッとしている俺に対して。

顎に手を添えて、話す。


「君は.....悩んでいるのでは無いか?」


「.....いえ、大丈夫ですよ。確かに少し悩んでいますが」


「.....何か助けになれるのなら助けるが。娘の婿の事なのだからな」


「.....いえ。もう大丈夫です。潾二郎さんの言葉も励みになりました」


俺はその様に話して笑んだ。

潾二郎さんは心底心配していた様だったが。

少し、俺の晴れやかな感じに。

そうか、と。

ごく僅かに、本当に僅かだが口角を上げた。

それから、隣を見遣る。


「.....所で、この隣はもしや君の恋人の家かね?」


「.....あ、はい.....は!?」


「消し飛ばす必要性は有るかね?」


何故そうなる、と思っていると。

潾二郎さんの額に#のマークが浮かんでいた。

もしかして、あの時の事か!

消し飛ばすって!

俺は直ぐに潾二郎さんの前に立ちはだかり、止める。


「.....この日本で婚約出来るのは1人と限られている。要らないモノは消し飛ばす必要性が有ると思うのでね」


「止めて下さい。それに犯罪です」


「科学の力は強い。RPG7に似た様なものは造れるのだが」


「話聞いてます?犯罪です。」


この人!

俺はその様に思いながら、ため息を吐いた。

潾二郎さんは俺の言葉に諦めた様で。

再び腰掛けた。


「.....まぁ良い。今度消し飛ばすとして.....このカステラは美味いな」


「勝手に人の家の物を食べないで下さい.....あと消し飛ばすの止めて.....」


「うむ。あとでお詫びを送っておこう」


「.....いや、完璧無視かよ!.....でも、潾二郎さん、いきなりですね。何でこの家が分かったんすか?」


俺の言葉に、それはだな。

と、潾二郎さんは話す。

お茶を飲みながら、である。

人差し指を立てた。


「.....何処ぞの悪の組織から入手した」


「個人情報が.....」


「冗談だ。この前、御霊と話して聞いたのだ」


心底安心したわ!

って言うか、何?言葉に俺は見開く。

そして直ぐに潾二郎さんに慌てて聞いた。

信じられない。


「もしかして.....ミタちゃんと話したんですか!?」


「.....ふむ。不本意ながらね。御霊は喜んでいたな。不思議だ」


「.....それは潾二郎さんが話したからですよ」


凄い。

まさかの事に、安心した。

俺は潾二郎さんを見つめる。

この人、そういう所には疎いのかな。

俺はそう、思った。


「俺.....嬉しいです。久々にそんな事になっているなんて」


「.....そうか。多分、全て君のおかげじゃ無いか。君が強く言ってくれた、行動で示してくれたから」


俺はまた見開いた。

そして首を振る。


「.....俺はそんな奴じゃ無いっすよ」


「いや、君は間違い無く.....人を変える力を持っている。そう感じるよ」


「.....」


潾二郎さんの言葉も。

戦いの糧の一つになりそうだ。

俺はその様に思いながら、潾二郎さんを見つめる。

そうしていると、さて、と話して。

立ち上がった。


「.....そろそろ帰らなくては。仕事が有るのでね。.....この部屋は良い部屋だな。また来たい」


「取り敢えず、不法侵入以外なら受け付けます」


「.....ふむ。不法侵入のつもりは無かったのだが」


「十分不法侵入です」


俺はため息を吐く。

そして立ち上がった、潾二郎さんに笑みを浮かべる。

潾二郎さんは白衣に手を突っ込みながら、俺に向いた。


「悩んでいる時は何時でも相談に乗るからな。やって来ると良い。または電話するが良い。たまにしか繋がらんが」


「.....有難う御座います」


潾二郎さんもだいぶ変わったな。

俺はその様に思いながら。

考える。


「私はこれで帰宅する。失礼するよ」


ガチャッ


「.....ちょ、アンタ.....誰!?」


まさかの事態だった。

俺は驚愕する。

何と葉月と鉢合わせたのだ。

俺はしまった、と直ぐに口合わせをする。


「.....すまん。葉月。見なかった事にしてくれ」


「.....??」


驚愕していた、葉月は。

?を浮かべていたが、はぁ?

と言って、意味不明のままだろうけど、去って行ってくれた。

このまま、侵入がバレたらえらいこっちゃだろ。

俺はその様に思いながら、有難うと感謝の意を葉月に持った。

すると、潾二郎さんが。


「.....改めて面白い家だ」


「早く帰って下さい.....」


ツッコンでる場合か。

ふむ?と言う、潾二郎さんを。

早めに押した。

その際に。

俺は笑みを浮かべた。

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