第26話 白雪潾二郎

「.....ちょっとどういう事よ!何でこうなる訳!」


「.....当たり前だろ」


水を廊下にぶっ零したり。

皿を洗っている最中に割ったり。

窓が割れたり。

ゴッド牧瀬の状態は最悪で。

目を三角形にした水瀬というメイド長からメイドのバッジを剥奪されてしまった。

あっという間の出来事である。

ゴッド牧瀬は最早、女の子歩きというか。

崩れた歩き方をする。


「.....あー!ムカつく!」


「いや、つうか、お前が悪い.....」


ゴッド牧瀬は文句を吐くが、本当にコイツが悪いよな。

いや、マジで。

一応に宥めながら歩いていると。

廊下の端の方で壁が盛り上がっている部分を見つけた。

隠し部屋の様な場所を。

ゴッド牧瀬はいち早く見つけた様で。

ワクワクしていた。


「ハ○ーポ○ターの秘密の部屋的な?」


ゴッド牧瀬は隙間から室内を覗く。

そこには、パソコンが無数にあった。

謎の部屋である。

ロボットの様な物も置かれているし。

ちょっと待て、怪しすぎる。


「.....お、オイ。ゴッド牧瀬。この部屋はマズイ.....!」


「.....そうね。でもなんか冒険の匂いがプンプンするわ!」


「O○E PI○CEかよ!あ、オイコラ!」


そのまま、ゴッド牧瀬はその部屋に入って行った。

俺はゴッド牧瀬を止めようとしたのだが。

隠し部屋の扉がバタンと閉まり、暗い部屋に閉じ込められ。

出れなくなった。



「ったく!クソッタレ.....!」


俺はその様な文句を垂れる。

すると、体が何だか重たい感じがした。

よく見ると、ゴッド牧瀬が俺にしがみついている。


「.....と.....突然に暗闇になったから.....その.....」


「.....あー。こういうのお前、苦手だったよな。そう言えば」


「.....に.....苦手じゃないわ!」


ガタガタ震える、ゴッド牧瀬。

俺はそんなゴッド牧瀬の頭を赤面で撫でる。

良い香りがした。

女の子の香りである。


「.....と、とにかく.....明かりが.....欲しい.....」


「そうだな。僅かな光しか無いし.....」


思っていると、躓いてぶっ転んだ。

俺は頭を打ってしまい、頭を抑えていると。

目の前にゴッド牧瀬が倒れているのに気が付いた。


「.....」


「.....」


つまり、俺がゴッド牧瀬を押し倒している様な状態である。

近っ!!!!!

俺は驚愕しながら、ゴッド牧瀬から離れようと。

もがくが、ゴッド牧瀬がニヤッと笑って、俺の袖を掴んだ。


「ちょ!おい!」


「.....私を押し倒すなんて良い度胸じゃ無い.....!」


何を考え始めたのか。

ゴッド牧瀬は胸元のボタンを外し始めた。

俺は驚愕する。

そしてもがくが、頭の近くに何かあり。

もがけない。


「.....嘘だろお前!何やってんだコラ!」


「.....雄大を誘惑している」


「.....馬鹿か!ふざけるなってんだ!」


こんな所で何を!

コイツと言う馬鹿野郎は!

俺には、そら、が居るのに!


「.....女の子がそんな事をしたらいけない!良いか!」


「.....どんなことぉ?私の行動かしら?.....良いのよ別に。私は.....アンタのコト、気に入っているしね」


「.....ちょ、え?それってどういう意味だ.....!」


そしてゴッド牧瀬は俺を引き寄せる。

俺達は唇と唇が合おうとした。

のだが。

次の瞬間、何かが飛んで来た。


バシン!


「にぎゃ!」


「いてっ!」


「何をやっているんだ君達は」


背後を見ると。

若い男性がハリセンを持って立っていた。

相当に若く、イケメン。

科学者の様な白衣を着ている。

高身長で、中肉。

目はクマが有るが、それでもモデルの様な感じを醸し出し。

そこらの女性なら簡単に落とせそうだ。

なんかシュ○イン○ゲートのオカリンみたいだ。

ゴッド牧瀬は叫ぶ。


「.....アンタ誰よ!」


「.....それは此方の台詞だ。何故、私の研究施設に君達は居るのだ。どうやって侵入した」


「.....いや、ちょっと待て。ゴッド牧瀬。この人.....」


ミタちゃんの顔の輪郭に。

似ている。

いや、まさか。


「.....もしかして.....御霊のお父様ですか?」


「.....な.....え!?」


「.....」


俺は起き上がってから。

その様に呟いた。

ゴッド牧瀬は唖然としている。

男性は。

俺の言葉に頷く様に反応した。


「.....如何にもそうだが.....君達は?」


ハリセンを仕舞いながら。

怪しい者達では無いと判断した様で、椅子に腰掛ける潾二郎さん。

こんなに簡単に会えるなんて。

思ってもなかった。

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