第25話 メイド、ゴッド牧瀬

妻を生き返らせるという夢を叶える為にミタちゃんの父親の潾二郎さんは3年間も部屋に閉じ篭っている。


何だろう。何かがとても似ている気がする。

俺はその様に思いながら、みんなと共にミタちゃんの部屋に居た。

勉強道具を出して、そして勉強をする為に。

って言うか。

この部屋、余りにもデカ過ぎる。

シャンデリアは有るし、食器棚、ドレッサーまで携えて。

俺の部屋の7つ分ぐらい?

きょ、驚愕だ。


「.....私の印税は私が一応、使って良いという事になってますが、そもそもに私は何かと小説にしか興味が湧かないので.....」


「.....そうか。まぁ、時が来たら使えば良いと思う」


俺は口角を引き釣らせながらその様に話した。

そんな中で。

ゴッド牧瀬はそんだけ金が有ったら私はアニメグッズを買い込むわ。

真に至っては御霊ちゃんに飼いならされても良いかも。

などと話している。

お前ら、本音が漏れてんぞ良い加減にしろ。

俺は頭に手を添える。


「.....有難う。雄大くん」


「.....」


俺はそんなミタちゃんに笑む。

何かとお前と俺は境遇が似ているな。

思っちゃいけないのかも知れないが、本当に似ている。

ミタちゃんをちょっと恥ずかしながら見つめ。

その様に考えた。


コンコン


「.....はい」


「お嬢様、皆様。オヤツをお持ちしました」


うん?マジか。

この家、本当に凄いな。

俺はその様に思いながら、入って来るメイドさんに.....真。

オイコラ、写真を撮るな。

プライバシー侵害だろ。


「止めろテメェ」


「.....メイドさんだぞ!本場のメイドだぞオイ!」


「下僕.....」


興奮し過ぎでキモい。

真のキャラクターがぶっ壊れてやがる。

まぁ、でも確かにメイドは珍しいよなぁ。

俺は思いつつ考える。

ミタちゃんが言う。


「佐藤」


「.....はい。お嬢様」


「.....お父様は.....その.....相変わらず?」


「.....お元気です。機械も.....ご主人様ご本人も、お元気そうでは有りますね。一応は安心です.....ね.....」


その様に少し浮かばない顔をしながらも佐藤というメイドさんは話した。

ミタちゃんは、そう、と言いながら、笑みを浮かべる。

その様子を見ながら居ると、ゴッド牧瀬が俺の耳元に近づいて来た。

そしてヒソヒソ話をする。

こしょばゆい!


「.....雄大。ちょっと耳を貸して」


「なんなんだ。ゴッド牧瀬」


「.....あのさ、御霊のお父さんの部屋を覗かない?」


あ?.....あ!?

馬鹿なのかコイツ。

そもそもそんな事をしたら大変だろって俺は思っていたが。

ゴッド牧瀬が俺の袖を引っ張って。

そして言い放った。


「.....トイレを借りても良いかしら?」


「.....あ、はい。.....佐藤。案内してあげて」


「.....有難う」


「ちょ、お.....」


だが、その言葉は。

直ぐに塞がれた。

俺の口を塞ぎながら、ゴッド牧瀬は歩いていく。

佐藤さんの後を付いて、だ。



『さて、どの様な作戦でいくかだわ』


男子トイレ女子トイレを挟んで、電話でその様に喋るゴッド牧瀬。

俺は唖然としていた。

大きな音が出ない様にヒソヒソと話す。


「.....お前、マジか?マジでやる気?」


『当たり前じゃ無い。このまま父親に会えない様な御霊が可哀想だわ。いっちょ面を拝んでやろうじゃない』


「.....いやー。俺はちょっとその、勘弁してくれ.....」


『アンタね!御霊の幼馴染なんでしょうが!男でしょうが!それでもアンタはキン○マ付いてんの!?」


コラコラコラァ!!!!!

女の子だろうがお前!

キ○タマ言うな!

俺は複雑な顔をしながら、聞く。


「.....あのよ、もしそうだとしても作戦はどうするんだ。どう近づくんだ?」


『うん?簡単ね。メイドになるのよ』


「.....お前と言う奴は.....」


『何か文句でも?』


何を言ってんだこのボケナス。

と思ったが、もう疲れた。

どうにでもなれ。

俺はその様に思って、電話を切った。



「.....ゴッツマキマキ.....その格好は.....」


「ゴッツマキマキじゃ無いって言ってんでしょうが!私はゴッド牧瀬!.....驚いたかしら?アンタのお手伝いをするのよ!」


佐藤さんにお願いして。

部屋に戻るとゴッツマキマキは披露した。

その、銀髪メイド。

つまり、自分自身を、だ。

ポニテに、メイド服、更に佐藤さんから貸してもらった、ヘアセットをセット。

メイドに大変身である。

ウインクしながら、ゴッド牧瀬は話した。


「.....急に何でだ?」


「.....真。ゴッツマキマキはミタちゃんにオヤツの恩返しがしたいんだと」


ゴッツマキマキって!アンタぶっ殺されたいの!?

その様な声を無視して俺は顎に手を添える。

ん?そう言えばコイツ、掃除経験.....。

俺は青ざめながら、聞いた。


「.....オイ。ちょっと待て、大丈夫なのか?ゴッツマキマキ、掃除経験は」


「.....ハァ?マジで良い加減にしてよね。.....って言うか、大丈夫に決まっているわ!練習したものね!」


練習って、あれが練習で如何にかなるのか?

なんか嫌な予感しかしない。

俺も付いて行くか。

思いながら、ゴッド牧瀬に付いて行く。


「.....ゴッツマキマキ。無理はしないでね」


「ゴッド牧瀬!」


「.....俺はミタちゃんと話しているわ」


「んじゃ、行くか。ゴッド牧瀬」


そして、俺達はスタートさせる。

なんの作戦かっていえばミタちゃんの父親の部屋に侵入というミッションを。

ミッション○ンポッ○ブルだ。

俺まで巻き込むなよ。

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