第21話 妹、葉月

俺は、そら、の事をよく知っていた。

昔から、そら、はとても元気いっぱいだった。

だが、イジメに遭って。

そら、は人格が死んだらしく。

何でそれを知らなかったのだろう、その事実を3年も俺は。

だから、とても俺は悔やんでいる。

そら、を助けれなかった事を。

だが今、そら、には知り合いが、友達が。

沢山出来ていっている。

その事が俺にとって死ぬほど嬉しい。

俺の気持ちが分かってもらえるだろうか。



「.....」


再び、夜になった。

俺は静かに手をエ○ァのゲンドウの様にしながら。

考えていた。

今日、そら、の家にゴッド牧瀬が泊まっているらしい。

何事も無ければ良いが。


「.....にしても」


エッセイで良かったのだろうか?と今でも思う。

幾ら、仲間に知ってもらうとは言えこの様な感じで。

仲間に分かってもらう。

そんな事が出来るのか?と思ってしまう。

と、その様に思っていると。


コンコン


「.....おぁ!?」


「クソ兄貴。私」


ハァ!?俺は驚愕する。

今まで妹がこの部屋に来るなどそんな事はあった事が無い。

俺は直ぐにドアを開けてみる。

胸元を大きく開き涼しそうな格好をしている妹、葉月が立っていた。

7月とはいえ、その格好は如何なものか。

と思ったのだが、それより口角を上げている事に滅茶苦茶に驚愕した。


「.....入って良いかな」


「.....葉月.....お前.....頭狂ったか?」


「.....ハァ?下半身に蹴りでも食らいたい?」


ヤンキーの様に脅してくる、葉月。

いや、何ら変わってないわ。

どういう事だよ?

薄気味悪いよー!!!!!


「.....まぁ、入りたいなら.....」


「.....あんがと」


俺はその場を開ける。

すると、葉月はゆっくりと入って来た。

それから、ベッドに腰掛ける。

俺は冷や汗を流しながら、葉月に聞く。


「.....葉月。お前、どうしたよ?」


「ん?いや、クソ兄貴は何をしているかって思ってね」


「.....???!?」


あかん。

マジで何が起こっているか分からない。

身体を固まらせる俺。

だが、葉月はそんな俺をゴミ扱いする様な目で手をヒラヒラさせた。


「.....キモッ。固すぎだよ。バカ兄貴」


「.....いや、驚愕だ。お前が自ら俺に近付いて来るのがよ」


「.....簡単に言えばね、見直してみたんだ。アンタの事」


何だと?

俺は驚愕しながら、葉月に見開く。

葉月は口角を上げながら、俺を見つめて言う。


「.....アンタ.....牧瀬から聞いたよ。.....本当に良い奴だってね。何時も助けてくれるってね。.....まぁ、アンタにはエッチな部分もあって気に食わない事もあるけどね.....」


「.....牧瀬.....だと.....!?」


俺は殺人者と対峙した感じで驚愕して見開く。

つくづく何をやってんだあの女は!

とは言え、確かに考えてみたら交換をする様な感じではありそうだ!

でも、それを聞いたからと.....牧瀬と仲良くなるなんてあまりにも考えにくい!

どういう事だ!?

それは心を入れ替えたとしか思えないんだが。

マジで一体どういう事だ!?

何が起こっている。


「.....お前.....」


「.....全て、アンタの行動のお陰なんだよ?分かる?」


「.....!」


俺は妹の心を.....俺の行動で変えていたのか?

だが、それだけでこんな事に?

いや違う、それだけでそうなるか?

もしかして今までの行動を知っていたのか。

それだったら納得がいく。

兄妹だから.....か。


「.....」


「.....ちょ!何で泣くのよ!キモッ!」


自然と俺は涙が出た。

この日をどれだけ待ち侘びたか。

妹と話が自然にしたい。

その日を、だ。


「.....すまん。なんか知らんけど涙が出る.....」


「.....」


何だろうな。

やっぱ俺は葉月の兄だ。

そう、心の底から思った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る