第16話 呼び出し
『なぁんですってぇ!!!!?アンタ、女の子ばかりに絡まれてって、ぶっ殺すわよ!!!!!』
なんかデジャブだな。
突然、掛かってきた電話に俺は対応していたのだが。
ゴッド牧瀬は察しが良くて、直ぐに女の子に絡まれているという事がバレた。
何でコイツこんなに察しが良いの?
女の子って化け物なの?
ゴッド牧瀬もそうだけど、そら、も。
「もちつけ。俺は否定したよ。でも相手はイチャイチャしてくr.....」
『アンタは女の子に優しい面があるから気を付けなさいよ!!!!!』
いやいや、お前は俺のオカンかよ。
俺は盛大なため息を吐きながら。
トイレの個室の壁に手を突き、そして言う。
「.....とにかく、俺は大丈夫だ。落ち着けよな。って言うか、何で電話掛けてきたんだ」
『.....う.....それは.....声が聞きたくなったから.....』
「は?」
『馬鹿っ!』
何を言ってんだこの馬鹿?
聞こえなかったぞ。
俺は首を傾げて、腕時計を見る。
次の授業時間まで3分。
ヤベェ!
「.....切るぞ!授業だ!」
『あー、そうね。じゃあね』
「ああ!」
とにかく、あまりミタちゃんに近寄らないでおこう。
何が起こるか分からんからな。
気を付けないと。
☆
「つまり、此処をcosで.....」
数学の授業。
俺は静かに受ける。
横を見ると、そこには転校したてのミタちゃんが居る。
白い着物のままなのは、丁度制服が無いからだがお陰で目立っている。
だが、俺以外に滅茶苦茶に興味が無い様で。
俺以外、誰とも話さなかった。
コンコン
「.....あ、消しゴム.....」
消しゴムがミタちゃんの方向に落ちた。
俺は慌てて、拾おうとする。
のだが、それよりも先に。
ミタちゃんが拾った。
「はい」
「.....あ、サンクス」
ミタちゃんは柔和な笑みを浮かべる。
その顔からは想像も出来ない程の笑みだ。
つーか、大人びてんなぁ。
高校生だとは思えなかった。
俺は赤面しながら、真正面を見る。
「...........」
「.....」
こっちを睨んでいる。
そら、が。
かなり睨んでいる。
って言うか、お前さんよ。
何でそんなに俺達の状態を気にしてんの。
「悠木!前を向きなさい」
「はい」
怒られた。
俺達もそそくさと自分の席に戻る。
その時に、ミタちゃんが俺の手に何かを渡した。
紙切れの様なものを。
「.....後でね」
「.....?」
紙切れを隠しながら広げる。
そこには、とんでも無い事が書かれていた。
俺は顎が落ちるかと思った。
(お父様に話したの。結婚を前提にお付き合い出来ないかって。年収が十分にあるし、私が雄大くんを養ってあげるから、結婚を前提にお付き合いを後でお願いするから.....ね)
俺は青ざめながら、横を見る。
少しだけ恥ずかしがりながら微笑んでいる、ミタちゃん。
いや、ちょ。
困るんだけど。
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