第14話 ゴッド牧瀬の弱点

簡単に言ってしまうと、その日は夜までゴッド牧瀬と話す事は無かった。

更に言えば、ゴッド牧瀬がこの家に再びやって来る事も無く。

そんな俺は自室でゴッド牧瀬の事を考える。


『お前とは暫く話さない』


相手は仮にも成長期の女の子だ。

少し言い過ぎたかな、と思ったりするのだが。

だけど、少し調子に乗り過ぎなのは事実なのでこういう厳しい教育もゴッド牧瀬には必要な気がする。

悩む部分だ。


「.....」


そんな事を考えながら、俺は自室に籠っていた。

クソ妹の顔を見ずに過ごせる暖かな場所だからだ。

俺は勉強しながら電脳文庫の有名小説、○ロ○ンガ先生を読みつつ。

アニソンを聴く。

その際に、右隣の家を見た。

今、そら、は何をしているのだろうか。

気になった。


ピコン


「.....あ?」


その様に、考えていると。

俺のスマホにラ○ンが届いた。

音楽を止めて、スマホの画面を見る。

何と相手はゴッド牧瀬であった。


「.....?」


一応、連絡先やラ○ンとか交換していたので通知が入った様だ。

しかし、何だ?

コイツ、メッセージて。

無視しようと思ったが、まあ良いかと思って開く。


(あの.....出来ればで良いんだけど、助けてほしいんだけど。雄大くん)


「.....???」


どういうこった?

俺は見開く。

そして、タカタカとキーボードを叩いてメッセージを送る。

気になって、左隣の窓のカーテンを開けようとした。


(何だ?助けてほしいって)


(その.....えっと.....風で窓がガタガタ言っているから.....怖くて.....)


(はい?)


何だ何だ、驚愕だな。

Gは怖く無いのに、お化けは怖いってか?

俺は苦笑して窓に手を添えた。

その瞬間、至近距離にある隣の家の家のカーテンが開き。

肌がやたらに露出された.....ゴッド牧瀬が。

んがぁ!?


「.....うぉぉわ!!!!?」


「.....」


涙目の少女がスマホを持って立っていた。

それも、ピンク色の乳輪剥き出しの素っ裸で。

いや、角度的に俺以外の近所には見えんけど、何をやってんだコイツ!!!!!

マジで何やってんだこのバカ!?

俺は即刻、ラ○ンの無料通話に切り替えた。


「何やってんだテメーは!!!!!アホなの!?警察に突き出されたいの!?マジで死ぬの!?」


『.....ふ.....』


「ふ?」


『お風呂に入ったのは良いけど.....服を.....風が怖くて.....着替え室に取りに行けないの.....』


マジでか?

だが、冗談を言っている様な雰囲気では無い。

そもそも、年頃の女の子がそんな感じで立っている方がおかしいしな。

顔を真っ赤に染めつつ、青くなりながら。

複雑な感じでその様に話す。

俺はそっぽを向きながら慌てて言う。


「.....今からそっち向かうから!落ち着け!とにかくは!」


でもだよ?

でもな!

痴女かこの野郎は!

服ぐらい用意して風呂に入るもんだろ!クソッタレ!

その様に、思っていると。


ビシッビシッ


「.....?!?」


唐突に窓に何かがくっ付く音。

それが後ろの窓から思いっきりに聞こえた。

すると、電話先から叫び声が聞こえて。

恐れをなした言葉が飛んできた。


『ひっ!?何の音!?』


「.....落ち着け。そら、だ。そら、が窓をノックして来ている」


『窓ノックって何!?こんな怖い事を!?少し.....おしっこが漏れたわ!」


「馬鹿かテメェは!何を言ってんだァ!!!!!」


コイツ、痴女じゃねぇ!

それ以上だ!マジであかん止めないと!

って言うかそれだと、そら、はどうする?

このまま放って置いても良いが.....!?


シャッ。ガラッ。ダンッ!!!!!ギュッ。


「.....ヘあ!?」


それは一瞬の事だった。

真正面から何かが飛んで来たのだ。

俺は直ぐに確認しようとする、のだがそれを否定する様に。

前を向きなさい。

と小声が聞こえた。


「.....何やってんだ.....お前!窓を飛び越えて.....!?」


「.....ゆ.....雄大くん。私は.....痴女じゃ無いからね。その.....真面目に怖いだけだから!」


いや、ちょ、何?この状況。

俺の部屋に素っ裸の少女にハグをされている。

明らかに何か起こったら誤解されかねん!

親父来たらジ・エンドだな。

マジで。


ビシッ!ビシッ!


「.....ひっ.....」


だが、そんな事を気にもせず。

ゴッド牧瀬は本気で怖がってやがる。

ヤバイな、そら、に止めてもらわないと。

俺がゴッド牧瀬に絞め殺される。

俺は、そら、に見えない様にゴッド牧瀬に隠れる様に指示して。

意を決して、そら、の家の方角を見た。


シャッ、ガラッ


そして、困惑顔の、そら、が呟いた。

相変わらずの制服ジェイソンが、である。

俺は苦笑した。

それから、スマホに電話を掛ける。


『何故、直ぐ出ない』


「.....すまん。ちょっと色々あってな」


『まぁ良い.....』


そら、はその様にぶっきら棒に言って。

俺に真剣な顔付き?で向いて来た。

ジェイソン面で、だ。

そして、何を話すかと思ったら。


『お○ん○ん不足。見せて』


「見せるか!またそれか!」


直球でその様な言葉を放った。

何を言ってんだコイツァ!

見せねぇと言ったのに!

その様に困惑しながら思っていると。

ゴッド牧瀬が。


「クチュン!」


と声を上げた。

俺は一気に青ざめる。

そうか、素っ裸だったのを忘れていた。

目の前の、そら、はその声に大きく見開く。


『.....雄大。誰か居るの?その部屋』


「.....い、いや?誰もいねぇよ」


『..........』


怪しいなぁ。

という目付きをする、そら。

俺は横に居る、口を押さえている素っ裸ゴッド牧瀬をチラ見して。

そして大きく息を吸い込み、吐いた。

それから笑みを浮かべ、言葉を発する。


「.....この部屋は誰もいねぇよ」


『.....雄大。嘘は止めて。誰か居るんでしょ?』


「.....」


幼馴染は追及を止めない。

さて、どうする?

このままだと、そら、は多分、色々な方法を使いだす。

絶対にヤバい。

誤解されて俺もゴッド牧瀬も社会的に死ぬだろうな。

多分。


『誰が居るの?さっきも凄い音がしたし』


「.....素直に言うから怒るなよ?さっきウチに来たゴッド牧瀬だ。風が怖いからこの場に居るんだ」


『.....ゴッド牧瀬さん.....?ああ、あの.....』


俺は横を見た。

申し訳無さそうな顔付きをゴッド牧瀬はしている。

言い過ぎた、明らかに悪かった。

その様な、感じだ。

俺はその様子を確認してから目の前を向く。


「.....さっきの悪びれたの、アイツは結構、反省している。そら、許してやってとは言わないが.....」


『.....別にもう怒ってないよ。うん』


「.....そうなのか?」


コイツと言うヤツは。

昔からだけどやっぱり優しいな。

俺はその様に思いながらゴッド牧瀬を見た。

ほぼ素っ裸のままなのでクシャミをしている。

おっと寒そうだな。


『ところで、さっきから気になってたんだけど.....』


「.....何だ?」


『なんで顔を見せないの?ゴッド牧瀬ちゃん』


まぁ、そりゃそうなるよな。

俺は顎に手を添えて、考える。

でも、悪いか。

俺は包み隠さずに直球で話した。

その方が良いかと思って。


「.....ちょっと今は事情があってな。アイツ、風邪引いてるんだ。今度話してやってくれ」


『.....あ、そうなんだ.....それなら仕方が無いね。また今度』


「.....ああ」


『でも、イチャイチャや、変な事はしない事。ロリコン』


誰がロリコンか!

しねぇよ!

俺はツッコミを入れる。

そら、はそんな俺の様子にクスクス笑ってそれからお休み。

と言って電話を切った。

俺はカーテンを閉めて、ゴッド牧瀬を立たせる。

そして、着ている服を被せた。


「.....随分と.....優しいわね。そらき.....酷い事をしたと思ったのに」


「.....アイツは基本的に良い奴だよ。.....今度、会ってみるか?」


「.....うん」


俺は静かに微笑んで。

ゴッド牧瀬も微笑んで。

そして赤面した。

下半身が丸見えであったので。

ゴッド牧瀬も現状況を見て、隠しながら真っ赤になった。

この後どうすっかな、と思いつつ。

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