第13話 そら、の願い

『ぬあぁにぃ!!!!?あのクソエッチなラノベ作家、ゴッド牧瀬にそんな事をされたってぇ!?』


「.....流石の俺もカチンと来ました」


アンタも十分にエッチだと思うだが。

その様に思いながらも、口には出さなかった。

俺達は撫子さんとは電話番号とラ○ンのI.Dを交換したのだ。

ラ○ンで知らせようと思ったが、直ぐに話をしたかったので電話で。

相談する人が撫子さんか真ぐらいかと思い、考えたが。

真に知らせたらまた煩くなりそうだったので、先輩という事も有ったので撫子さんに相談した。

撫子さんは俺の相談内容にお怒りである。

相談内容は、ゴッド牧瀬について、だ。


『同じレーベルだな!ゴッド牧瀬め!雄大と、そら、に何という事を!!!!!ぜってーぶっ殺してやる!!!!!』


「いや、流石にぶっ殺す必要はないと思いますが.....でも.....」


俺は俯いて、そして考え込んだ。

あの性格はそのままにしておいたらなんか。

頼れる人を失う様な気がする。

それは小学生の時の俺の様に、だ。



『お前.....だから嫌いなんだ』



かつての、俺の大切な親友が。

その様に話した。

今でも忘れられない。


「.....ゴッド牧瀬は俺に任せて下さい。教育します」


『そんな事をする必要は無いぞ。雄大。.....ぶっ殺す!!!!!』


「いや、ちょ、話を聞いて下さい.....」


真面目にお怒りになっている。

本当に良い人だな。

その様に思いながら、口角を上げる。


『でも、何でオメーが頑張るんだ?そんな奴の事』


「.....アイツは.....昔の俺に似ています。だから放って置けないんです」


『.....ふむ。不思議な奴だな。オメーも。だってそういう奴とは絶交すれば良いのに。切り捨てたりな」


「簡単に言えば見捨てて置けないんですよ。ごめんなさい。俺が優し過ぎるっつーか.....駄目ですね。俺って。まぁ、そういう事です」


その様に話して俺は自室から左隣を見る。

静かに佇む、ゴッド牧瀬ハウス。

俺はそのゴッド牧瀬ハウスを見てから決意を新たにして、そして握り拳を作った。

その時だ。


ビシッビシビシッ!!!!!


窓に何かが無数にくっ付く音がした。

俺は眉を寄せる。

そして窓に近づいて行く。


『おい、何の音だ?』


「.....ちょっと用事が入ったので切ります。すいません撫子さん」


俺はその様に話して。

窓の外を見た。

そこにはおもちゃの弓矢を構えている、そら、が。

相変わらずのジェイソンマスク姿で、居た。


「.....何やってんだお前」


『電話が通じないし、掛かっても来ないし。ふざけている』


「あのな。俺だって用事が有るんだぞお前.....」


お前に毎回毎回、構うのは無理があるわ。

俺だって仕事が.....って。

ん?


「.....お前、俺の事を嫌ったんじゃ?」


『う.....確かに、一度は嫌った。だけど、考え直して、考え直した。そんな事で拗ねていたら馬鹿じゃないのかって。話がある』


「.....?」


首を傾げた。

何だ、話って。

思っていると、そらき、は言い出した。

それも、電話越しでは無い。

直接、仮面を取って、話した。


「.....私は有能さを世の中に猛アピールするから。だから雄大。離れないで」


「.....!!!」


その目は潤んでいた。

お願いだから、私から離れないで。

その、切なる願いが。


「お前はアホか。元よりお前から離れる気なんぞ.....」


『でも、お隣さんを掃除していた』


「.....」


全くと間違いは無いな。

俺は俯く。

確かに俺はお前から離れて、掃除していた。

それも一人暮らしの女の子の家を、だ。


『イチャイチャしていた』


「してねぇぇよ!!!!!!!!!!!」


誰があんな奴と!

俺はその様に頭を抱えて、話す。

目の前では再び仮面を嵌めている、そら、が嫉妬している。

俺は苦笑しながら、そら、に向いた。


「そら、お前から離れる事は無いよ。(幼馴染)として、な」


『.....幼馴染として?え?』


「.....ん?なんかおかしい事を言ったか?俺」


ギィ。シャッ。


唐突に窓が閉められ、カーテンが、って。

ちょ、オイ、何でだァ!!!!!

直ぐに叫ぶと、スマホの画面に何かが表示された。

ライ○だ。


(バカ雄大)


と、一言だけ書かれていた。

ちょ、何が馬鹿なのか!?

俺は多いっきり困惑した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る