第10話 ゴッド牧瀬

そら、と撫子さんは3年前に初めて会った。

その際に、そら、の様子を見たがあまりに酷い顔付きだったと言う。

まるで、生きた事を諦めた様な、だ。

撫子さんは決めたそうだ。

この娘に付いて行こう、何処までも、と。

そして今に至ったと聞く。


「じゃあなー!雄大!下僕!そら!」


すまんこの後、仕事立て込んでるからごめんな。

喋っていると撫子さんはその様な感じになったのでお開きにした。

って言うか。

いつの間にか撫子さんの中で真が下僕になっとるwww

俺はその様に抑え気味の笑みを浮かべつつ思いながら、撫子さんに手を振る。

真も満足げに手を振り。

そして、そら、も手を振った。


「.....良い人だ」


「.....そうだな。真。でもお前さ、撫子さんの中で下僕になってんぞ。良いのか」


「おう。ゾクゾクするわ」


駄目だ、マジな変態が居る。

俺は引きながら、そら、を見た。

そら、はちょっと疲れた様な表情を浮かべている。

どうやら、人に会ったので疲れた様だ。

そんな、そら、に言う。


「.....今日は帰るか。そら」


その様に喋ると、そら、が電話を掛けた。

電話の相手は当然、俺だ。

俺は電話を取る。


プルルルル


『.....今日は有難う。付いて来てくれて』


「.....おう」


こんな会話をしていると。

真は不思議そうに俺達を見つめてきた。

そりゃそうだろうな。

至近距離で、しかもボイスレコチェンジャーの会話。

不思議に思っても仕方がない。

俺は真なら信頼出来ると、説明した。


「.....そら、はちょっと昔、色々あってな」


「.....成る程だな。それでその様な感じで」


「.....ああ」


でも今日、撫子さんに。

その事に関して、本当に色々聞けた。

だから心の底から守りたいって。

思う様になった。


「.....あ、俺こっちだから」


「.....ああ、じゃあな。真」


指差した方向を指差して。

真は俺の肩に手を回して、話す。

それから、離れて手を合わせてから。


「またなんかあったら電話してクレメンス」


「はいよ」


その様に話したので、俺達は拳をぶつけ合って約束し。

別れた。

満足げにスキップで帰る、真。

それを俺達は見つめる。


『.....八坂くん元気だね』


「そうだな.....八坂は高校に入ってから出来た野郎だけど、マジで良い奴だよ」


『.....そうなんだね』


俯く、そら。

俺は俯いている、そら、の頭に手を添えた。

そして笑みを浮かべる。


「.....何かあったら真に相談でもしてみろ。結構良いぞ」


『そうだね。.....でも子供じゃ無いから、頭触らないで』


「はいはい」


それから俺達は。

歩きながら色々話しながら。

それぞれの家に帰宅した。



だが、帰宅したとしてもまだ14時だった。

今日1日、話して潰れると思ったんだが。

人生は思った方向にはいかないな。

その為、俺は決意して部屋の片付けをして、アニメでも観ようと思って、カーテンを開けたりしていた。

その際に、俺の左隣、(右は、そら、の家)そこに引越し業者が止まっているのに気が付いた。

俺は?を浮かべて、よく見る。

サ○イ。

まぁ、有名な引越し業者だ。

って、そんな事は誰でも分かるか。

確か、前の住人が引っ越して空き家のままだったな。

何でこの時期に引っ越し?

一応、今、4月じゃ無い6月なんだけど。


「.....誰が引っ越して来るんだ?」


プルルルル


思っていると。

電話が掛かってきた。

俺は直ぐにスマホを取り出す。


プルルルル


「.....そら、か?.....アイツめ」


だが、画面を見て。

俺は首を傾げた。

そこには、そら、と書かれてない。

そら、は登録済み。

だが。


非通知


と書かれていた。

何だこれは?

間違いでも俺に電話を掛ける価値は無いと思うんだが。

うーむ、間違い電話かな?


ピッ


「.....もしもし?」


『初めまして!雄大くん!ゴッド牧瀬よ!!!!!』


「.....」


本当に凄いな、人間って。

かなり無意識に電話を切ってしまったぞ。

何だこれは?

俺に掛かって来る電話って本当に頭オカシイ奴しか居ないの?

思っていると。

また同じ電話番号で電話が掛かってきた。


プルルルル


「.....」


俺は眉を顰めながら。

その非通知を切る。

だが、また電話が、切る。

切る。

切って、切りまくる。

10分経った、6回目。


プルルルル!!!!!


「何だよ!!!!!」


流石の俺も叫んだ。

こんなに電話を掛けて何がしたい!!!!!

文句を言おう。

その様に思い、非通知に出た。


ピッ


「おま.....」


『ちょっと!!!!!何でこんな酷い事をする訳!!!!?あんた鬼!!!!?バッカじゃないのマジで!!!!!雄大くん!!!!!』


「.....」


まくし立てんな!

文句言いたいのはこっちの方だ!!!!!

って、何、雄大くん?

俺は驚愕しながら、電話に言葉を発する。


「.....お前.....誰だ!!!!!」


『何で知っているのかと思っているのでしょ?ふふーん。私はね、超、超能力者なのよ!だから知っているのよ!因みに私は.....覚えなさい。出版部数56万部!ワンピを越えようと頑張っている、ゴッド牧瀬!牧瀬七星よ!!!!!』


バカなのかコイツは。

何で俺の周りってこんな面倒臭い奴ばっか......って何?

ゴッド牧瀬?

確か.....『まだ見ぬ世界へ。〜それでも俺は神をも超える〜』でエッチなバトル系のラノベを書いている.....って!!!!!

おっさんじゃねーのかよ!!!!!

少女の声じゃん!!!!!

また少女かよ!!!!!


「そのゴッド牧瀬さんが何で俺の電話.....ってか.....何で俺の番号を知ってんだ.....」


『そんなものは置いておいて。簡単よ!.....良い?ちゃんと聞くのよ?要件はね、今日から私の下僕になりなさい!!!!!』


おい、重要だぞ俺の個人情報。

俺は静かに眉を顰めた。

マジでバカなのかコイツ。

俺はその様にして、ツッコンだ。

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