第8話 出会い

「.....ん.....?」


しまった、寝てしまっていた。

暫く、そら、の様子を見ていたがいつの間にか。

俺は直ぐに周りを見渡すと、俺に毛布が掛けられていた事に気付いた。

そら、はまだ話している。

あいつめ。


「.....有難うな.....そら」


聞こえては無いかもだけど、その様に俺は呟く。

すると、そら、が。


「.....うん、うん、え?」


その様に話して。

突然に俺に向いてきた。

そしてスマホをそのまま渡してくる。


「.....ん?」


「.....」


渡されたスマホは通話状態だ。

つまり、このまま何か話せって事ですか?

俺は、うーむ、と言いながら。

電話に出る。


「.....もしもし。代わりました」


『おお。雄大か。オメーさ、今度会わねーか?丁度、時間が有るし話がしたい』


「.....マジすか?」


『いやー。そらき、は家に滅多に人を入れない。それなのに、そらき、の家にお前が居るという事。一体お前は何者か。その部分が知りたいんだわ』


撫子さんは至極本気の様だ。

ってか、マジかよ。

有名イラストレーターの撫子さんに会えるとか。

ヤバすぎる。

真が嫉妬するだろうな。


「.....じゃあ、今度会います?」


『おー。有難うな。じゃあ今度の日曜、そらき、ん家の近くのファミレスで会おう』


そして電話は切れた。

俺はスマホを、そら、に返す。

そら、は眉を顰めて、俺を睨んでいた。

電話し始めた。

な、何だ?


『このロリコン』


「ハァ!?誰がだ!」


『.....ぶー』


何で嫉妬してんだ。

俺はようわからないまま。

そら、を見つめていた。



日曜日になった。

土曜日も結構色々と、そら、と話せて。

俺は幸せだった。

有る意味、幼馴染と会話するのがこんなにも楽しいとは思わず。

つい、弾んで会話してしまった。


「.....」


「いやー。楽しみだな」


「何でお前が居るんだ.....真.....」


ファミレスには計3名居た。

居ないはずの奴を加えて、計3名。

俺、真、そら、とその3名だ。

って言うかちょっと待てコラ、何で真が居るのだ。

俺達しかこの情報は知らんはず。

おかしいだろ!


「お前な、何処で俺達の情報を手に入れやがった.....」


「第一刷のこのコレクション本に撫子さんからサインしてもらうんだぜ。へへへ」


「話聞けって言うか.....居るよな。そういう奴.....」


もういいや。

俺は頭に手を当てる。

って言うか、第一刷を集めている奴って本当にたまに居るよね。

何が目的で集めているのやら。

思っていると。


「.....あ、来た」


「何?」


その様に呟いた、そら、の言葉に俺は周りを見渡す。

すると、さっき入って来たファミレスの入り口。

そこで小学生低学年のらしき子供が店員と言い争っていた。

迷子と間違われているな。


「.....ん?んん?」


「.....」


そら、は指差す。

って言うか。

嘘だろ、本当にか?

ただの幼女じゃねーか!!!!!


「だから違うって言ってんだろ!!!!!オレはガキじゃねー!!!!!これでも17歳だボケ!!!!!」


「はい、分かりました。では、お母様とお父様は何処にいらっしゃいます?お待ちですか?1人だと危ないですよ」


「違うって言ってんだろーが!この分からず屋!!!!!」


私、ちょっと行って来ます、とその様に、そら、は言って歩いて行く。

ドン引きしている俺と真は顔を合わせた。

そら、は言い争っている店員と話して、その子供を引き連れて戻って来た。



「.....」


「.....」


え?マジで17歳?

ガチで見えないんだけど?

俺達は別の意味で固まった。

ツッコミどころ満載だな!!!!!

容姿は童顔が基本で、それでいて整った顔立ち。

地面まで有りそうな長い髪を2つに結んで。

髪の毛の色は茶髪。

地毛かどうか知らんが。

そして、ダボダボの白ネギと書かれた、白に黒ばつ文字のTシャツに。

短いジーパン。

それで、完成された、明らかに小学生と間違われる。

撫子?さんが立っていた。


「あのな?固まるな。何か言いたい気持ちは分かるが」


「.....うん.....」


「こらオマエ!オレッちの事、ガキ扱いしてるな!?ドン引きすんな!」


プンスカと怒りまくってバタバタする撫子さん。

流石の真も、合法ロリだな、と呟いて顎に手を添えている。

俺は頭に手を添えた。


「.....此方が撫子さんと言う事になります」


「シクヨロー♡」


「「.....」」


ここまで完成されたロリっ子だと。

俺達がなんか変質者に見えるんだが?

俺達は仮にもオタクだから。

と、思いつつ、オレは、そら、を見た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る