第6話 バレた

『.....下半身見せて』


「.....」


そら、の部屋に、そら、に招かれ俺はやって来た。

女の子の部屋で凄いドキドキする。

スマホで互いに通話しながら部屋の中に入る。

下半身を見せて、とだけ無ければマジでドキドキするんだけど。

先程、カッコ良く言ったのを撤回しても良いか?

って言うか。

諦めろよ!!!!!素直に!!!!!

現役の男子高校生がおいそれと下半身を見せるかァ!


「多分、お前の事だから小説のネタに使うんだろうけど駄目だ!考えけどやっぱ駄目!恥ずいし、お前はどう考えても間違っている!!!!!」


『でもネタは欲しいんだもん。雄大が見せないと小説の刊行止まっちゃうよ?』


「お前の小説がどんなものかは知らんが、とにかくは下半身で続き書かれて良い感じのする奴なんかこの世に居ない!」


『むー』


頬を膨らませて可愛らしく、むー、とか言っても駄目だ。

今のジェイソンマスクではそんな感情は湧かんが。

って言うか、思ったけど。

コイツはどんな小説を書いているんだ?


「.....お前さ、どんな小説を書いているんだ?」


『.....ちょいエロな乙女ゲーム小説.....』


「.....あ、そうなんか.....」


俺はため息を吐いてから、ジェイソンマスクそら、を見る。

目の前を見ると。

掛かっている時計は時刻は7時を指していた。

げっ。大変だ。

あともう少しで帰らないといけないな。

親父に何か言われる。

折角、招かれたのにな。


「.....すまん。そら。あと少しで帰らないといけない。親父が五月蝿いから」


『.....明日は土曜日。.....このまま泊まっていけばいい』


「.....何?」


え?マジかよ。

ってか、着替えも何も無いんだけど。

隣だからまぁ良いかもだが。


『.....雄大の下半身を見れる可能性が有るかも知れない』


「やっぱ帰るわ」


『ごめんなさい。泊まっていって下さい』


その場で土下座した。

俺はその様子に盛大にため息を吐く。

そして頭を掻いた。


「.....まぁ、幼馴染家だしな。泊まっていくよ。久々に色々と話したい」


『.....雄大.....有難う。.....だから.....』


「.....だから?」


だからって何だ?

俺は思いつつ、そら、を見据える。

だが、空ははぐらかす様に。

そっぽを向いた。


『.....何でも無い』



結論から言って。

明日は土曜日。

その為、そら、の家に泊まる事にした。

親父の許可も取って。

俺は風呂を借りて入って、そして。

風呂から上がり、そら、の家の廊下を歩いていた。

そら、の部屋をノックする。


「.....そら?お前も風呂に入れって悠木さんが.....」


ガチャッ


「.....何やってんの!!!!?」


コイツ!?

ビキニ姿の、そら、が尻を鏡に向けて。

そして写真を撮っていた。

ドアの所の俺の姿を見て硬直している。

変態だ!


「.....きゃ.....」


叫ぶのを抑えて。

直ぐにボイスレコチェンジャーのスマホを持って電話してきた。

俺は直ぐに電話を取る。

今の状況の説明をしてもらうのに、だ。


「.....何やっ.....」


『バカァァァァァ!!!!!』


「耳がぁ!!!!!」


耳が死ぬわ!!!!!

俺はスマホから耳を離し、その様にツッコミを入れる。

そら、は栗毛色の髪をなびかせて、涙目で駆け出して行った。

何だってんだ!?マジで!


「.....ったく.....ん?」


目の前の勉強机。

そこにノーパソが開いたまま、置かれていた。

そのノーパソを見ると、文章が打ってある。

どうやら、小説の様だ。


「.....ん?.....んん!?」


ドダダダダ!!!!!ガチャッ!!!!!


『見るなぁ!!!!!』


「うお!」


突然入って来た、そら、により。

ノーパソは回収された。

それから、思いっきりに閉じて俺を睨む。

その顔は羞恥に染まっていた。


『.....っ』


「.....その文の言い回しと良い.....その小説.....お前、そらき、か!?」


シリーズ累計発行部数100万部。

超有名作家、そらき先生。

今まで書き記された小説は全て大ヒット。

今現在、(真剣な私はあなたの為に)を書いている。

まさか。

そんな馬鹿な事が!?


『ほ.....本当は、お.....乙女ゲームの話を書きたかったけど、書けなかったから.....その.....ラブコメ!.....わ.....悪い!!!!?』


「.....いやいや!悪い訳無いだろ。.....お前.....すげぇじゃん!!!!!マジ三角形じゃねーか!!!!!」


この言葉に、そら、は驚いた様に見開いた。

予想外の言葉だったのだろうか。

静かに俺に向いてくる。


『.....女の子が.....ラブコメって.....引かない?』


「引かないよ。もしかして、引くと思ったから.....ジャンルとか隠していたのか?」


『.....うん』


って言うかごめん。

下半身に興味示す時点で驚きを凌駕していたわ。

俺はその様に苦笑しながらも。

そら、に近づく。

静かに、スマホから耳を離した、そら。


「.....そらき先生。これからも頑張って下さい」


「.....有難う.....雄大」


「.....何だ。電話越しじゃ無くても十分に喋れるじゃねーかよ。ははは」


俺は、そら、の頭を撫でる。

すると、そら、は電話を掛けて一言。


『.....撫でるの止めて。子供扱い禁止!』


「.....はいはい」


そら、に手を跳ね除けられ。

俺は更に苦笑した。

幼馴染はラブコメ作家だ。

エロエロな。

だけど、いい奴なんだ、と。

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